8章-02 空に蒼い流星だよっ
多芸なのも問題なのかもしれない
名バティシエだって、駄菓子が食べたくなる事だってあると思う
愉しみをワクワクを取らないでー
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赤茶色の地味な色した巨大な円形の布にマミさんが大きな刷毛を走らせている
布自体は薄いものだけど直径30m近い、この辺りはほぼ無風だけど、風で飛ばされたりしないように周囲に転々と石を乗っけて固定しての作業
「なにやってんだーマミ、そろそろそいつも使うぞー」
「いいじゃないのさっ、マークの1つくらい入れたって、
別に性能とかに変化とか出ないでしょ?この程度」
いや、白塗料でマーク入れたら岩肌に溶け込ませる保護色がダイナシだと思う・・・
「濃い地色がしっかり染まってるから、発色悪いわぁ」
・・・ったく、どんなマーク入れるつもりなんだろう
赤茶色の地に白でマークなんて、目立つぞ~
さすがに30mはある地面に敷いた布に描かれた絵を、隣に立っていてる状態で見てもよく分かんない、ただでさえアタシの身長は低い
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「西へ行くって行ったら、これが必須になるだろうって渡されたモンがあるのよ
あの細っこい。学者のにーちゃんだかねーちゃんだか判り難いのから」
たしかケルフィさんだったよね。酷い言われようだ
まー、タツアンは悪気無いんだろうだけどね
アタシもナヨナヨした男子はチャラい男の次に苦手だ
当のタツアン箱の様な篭のような大きなゴンドラを組み立てている
3m角くらいの正方形床板から1mほどの手すりとドアが付いてる。中央辺りには操作パネルと簡易舵輪・・・組み立て式の乗り物?
ゴンドラにワイヤーをつなぐ、ワイヤーはマミさんがいじってた広がった布へつ繋がっている
けっこー本数多いのね
「そして、コイツで起動する」
取り出したのは拳くらいの赤い石、操作パネルから伸びるアームに取り付けると、アームはするすると伸びていった
「この石がこの地で発掘された『フレームジュエル』って鉱石、エネルギー源みたいなモンなんだってさ」
鎧さんが巨大布へとつながった枠を持ち上げて支える、アームがその中央へと伸びると
袋が勢いよく膨らみ丸く広がる、あ、これやっぱし熱気球だったんだ
熱気が伝わってくる
「さ、乗った乗った! いちいち係留用のアンカーなんてやってられないから膨らみきる前に乗り込んじゃって・・・質問は後」
単に手すりの間をつないだだけの簡易ドアを通ってパーティメンバーがゴンドラに乗り込んでいく
「じゃ、安定するように重い僕から・・・」
鎧さんが真っ先に乗り込む、軽いアタシは後のほうでいいかな
マーくん、タヌ子、オギ、マミさんと次々ゴンドラへ
熱気球なんてこの世界にもあったんだー、アタシも乗ったことは無かったんだよねー
わくわくだよっ
目の前でパタンとドアが閉じる
「え?」
「おーちゃんには、大事な役割があるっさね」
キンペー戦のときに使った通信インカムが渡された
えっ、えっ? アタシだけ乗っちゃダメなの?
「護衛よろしく、TOP-NYAN」
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今、アタシは一人、青雷竜の上で警戒を続けている
ザッ・・・「すまないねー、一応は護身用のバリスタとかもあるんだけど、こっちは鈍足で」
無線が入る
まー、気球が高速で飛べるわけがないのは分かるけど
もしワイバーンと空中戦をしなければならないとしたら、最低で飛行機・・・複葉機ではかなりきつい、ジェット機とはいかなくともレシプロ単葉機の戦闘機が必要だ
だから、今回の機体は、最強最速の、青雷竜のアムル君に再登場いただいた
イーグルでも良かったんだけど、一応彼は対地攻撃機だし・・・
一人だけ仲間はずれにされた鬱憤を一暴れして晴らそうかとも思ったけど
ここは専守防衛に徹しないといけない
ここのワイバーンたちを壊滅してしまうと、温泉地帯から東一帯、ベースキャンプまで魔物があふれてしまう可能性があるのだよっ
「アムル、いい? 基本的にワイバーンは殺さないようにね」
「ぐうう・・・」(※1)
「ブレスも全力吐きはダメ、最小出力で細かく連射するように、『ブレス・バルカン』だよっ」
「ぐわうわ、ぐわるぅ」
「アンタが火力全開にしちゃったら、周りへの影響が大き過ぎるのよ
あの大きな丸いのなんて、ちょっとでも掠ったら破裂して落っこちちゃうんだからね」
「ぐるるぅ」
「ほら、早速きたよっ、迎撃開始!」
「ぐうぉん、がぉ?」
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ヴアアアアアアアッ!
瞬間的ブースト(※2)で一気に肉薄すると、急上昇からの撃ち下ろし、ハイ・G・ヨーヨー(※3)からブレス・バルカンを浴びせる
ワイバーンもブレイクをかけて直撃を免れる。やっぱこの戦い一筋縄ではいかない
ちょっと掠った程度かなー
両者激しい空戦機動の応酬、ループ(宙返り)、インメルマン、スプリットS、シャンデル、スライスバック(※4)・・・使える機動は何でも使う
背後取ればバルカンを放ち、取られた時はアイスブレスが飛んでくる
見た目は派手でカッコイイかもしれないけど、掛かるGがとんでもない、
ヨーロピアンスタイルのバイクのように前傾姿勢でライディングしてるんだけど、マニューバの毎に押しつぶされる、アタシのボディにはクッションなんか付いてないんだって、
むー、今後の身体発育に影響出たら嫌だにゃあ
もードッグファイトなんてやりたくない・・・
ザッ・・・「すまん、こっちにももう1匹来た! 上からなんで気嚢がジャマで迎撃できない」
無線が来た、うわ、ヤバいってこれ
大昔から、フワフワ浮いてる風船ってのは、鳥とかに突っつかれるってお約束が・・・
動きを読む、空中戦は「3次元のチェス」
ミニMAPの表示を参考にしながら位置取りを探る、シャンデラマニューバで斜めに移動
- ここっ! 自分と2匹のワイバーンが、ほぼ一直線に並ぶポジションっ! -
「アムル、電圧最大でブースト! でも直接ぶつけちゃダメだよ、ちょっとだけ掠らせる程度ね」
「がぅっ!」
ヴォオオオオ・・・ン!!
コロナ放電を纏った紡錘形の大気の繭が一直線に宙を翔る
キナ臭いオゾン臭が少々漂う
もしかしたら瞬間的に音速近く出てたかも
超高圧電流の繭に掠められたワイバーンは一瞬気を失い
ヒラヒラと木の葉のように十数mほど落下・・・地面に激突する前に何とか立て直したみたい
うん、電圧最大っ
『ボクの名はオーリ、気球は狙われているっ!』なんてね(※5) (¬▽¬;
つい口をついて出るヲタ台詞、順序的には逆だけどね
走れメ○スのように~
この隙に気球は崖の上まで到達、もどかしくなる速度で水平移動(※6)
アタシは周囲を旋回して睨みを効かす
地面のあるところへ届いたら急いでバルブを開いて降下する。
ほぼ真上から眺めてみると、気球にはでっかく猫マーク、シンプルにデフォルメされた絵柄
白い染料使ってたみたいだけど、地の色が透けてピンクにしか見えない
まー可愛いけど
ワイバーンははるか上空に逃げていった、別に深追いする必要なんて無い
最初っから追っ払えればよかったんだしね
気球の着陸と、ワイバーンの影が無いことを確認して、アタシも崖の上に着陸する
「おつかれですぅ」
「何とか無事にたどりついたー」
「ドラゴンかっけー!」
「なんかすげーもん見ちまったな」
うん、空戦ドッグファイトなんて頻繁にやるもんじゃない
やっと緊張から開放、メンタルがぐだる・・・ぐだりついでに聞いてみよう
「ところでマミさんや、気球に描いてたマーク、アレなんなの?」
「でゅふふ、アレは~おーちゃんのぱんつに付いていたワンポイントのマーク。
かーいいでしょ?」
∑∠(○△○;)ゝなー!!
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【余談】
その後ほど、熱気球の上面には、ワイバーン避けになるとの噂から
ピンク色の猫マークが描かれるようになったとかならないとか・・・
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
ブルーライトニングドラゴンつおいじぇ!
これでワイバーンたちの脳裏には、青い竜とピンクの猫マークがトラウマのように刻まれた?
ちなみに「猫マーク」のデザインは、某変身魔法少女(初代)の穿いていた
あのパンツです
【解説】
(※1)「ぐうう・・・」:前にも説明したけど(5章-15) ドラゴンは声帯の構造上音声による人語は話せない。
だけどテレパシー的な能力があるので会話は可能、発生している音声に意訳を重ねてます
(※2)ブースト:ドラゴン固有のスキル、急加速のアフターバーナーと思っていただいてOK
初出は5章-15、大気・イオン化推進方による超高速が出るけど、乗り手にとってはGがとっても辛い
(※3)ハイ・G・ヨーヨー:一旦上昇して速度を高度に変換し減速、相手の背後上方を取って攻撃する空戦機動の基本。相手より速度が勝っている時に使用する
逆に速度で負けているときは急降下から機首上げで攻勢に転じるロー・ヨー・ヨーというマニューバもある
(※4)インメルマン、スプリットS、シャンデル、スライスバック:同系列のマニューバの基本技、この4つでやる事は基本的に同じで『高度と速度の交換』、異なるのは曲がる方向のみ
インメルマン(上方向)、スプリットS(下方向)、シャンデル(斜め上方向)、スライスバック(斜め下方向)
(※5)『ボクの名はオーリ、気球は狙われているっ!』なんてね:分かる人だけ笑ってください。その直前の「電圧最大っ 」も同系列のネタです
(※6)もどかしくなる速度で水平移動:この気球、気嚢の各所にある弁を開くことで、一応ある程度の移動ができるらしい、速度はお察し
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』