7章-09 使命は忘れてないよっ
今までは、1つの国の中で、作られた迷宮や作られた舞台・・・
いわば『箱庭』的なクローズフィールドなシティ・アドベンチャーだったわけだよねっ
そう、これから始まるのは大自然の中の冒険・・・であって欲しいよっ
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カポ~~ン・・・
実際こんな音していないしするはずもない
オノマトペ(擬態語)とゆーか、脳内に勝手に流れているか(※1)
・・・だって、いまアタシたちは天然の露天風呂にいるのだから
「はぁぁ~~っ、疲れや肩コリが流れ出ていくのですぅ
ポカポカのプカプカなのですぅ」
タヌ子よ、気持ちはわかるけど敵を作る発言は控えるよーに
誰もがお湯に浮ぶ顎乗せクッションを持ってるわけじゃない
人によっては殺意すら持たれる可能性も・・・
ギリッ
あ、どこかで誰かが奥歯をかみ締めた
無意識に警戒して周りの小さな音を拾ってしまう癖は、今だけでも控えよう
せっかくの温泉なんだし、のんびりしないとね (でもネコミミを外す気は無い)
えっと・・・今入っているのは・・・もらった地図と照らし合わせてみる
『豊満の湯』だって?
どーりで、今アタシの周りで入浴中の女性たちが、皆そろいもそろってスレンダーなのか
・・・浮いてるよタヌ子、アンタ一人だけだよ、
おっきなフーセンを2つ、お湯に浮かべてるのは
地図には他にも色々な温泉が湧き出てるって書いてある
『傷癒しの湯』、これは鉄板だね、湯治の基本かも
『毒抜きの湯』、デトックス効果ってやつ?
『瞑想の湯』、魔法使いにお勧めってあるからマナ回復かな?
『痩身の湯』、ダイエット効果? タヌ子はこっちへ入るべきでしょ
『マッス湯』、なんやこれ・・・筋力増強?
まー、こうやって効能とかの噂を付加価値として付けておくってのは
観光地としてやっていくのにいいかもしれない
温泉の効能なんて、血行促進による健康面への効果と、成分による皮膚への影響(保湿とかピーリングとか)そういった湯治的なものは素直に信じるけど、説明のつかない特殊な効果はイメージ戦略と受け取らせてもらうよっ
駄肉たっぷりは遠慮したいけど、アタシももー少しだけ滑らかなライン欲しいにゃあ
お赤飯前の身体なのは理解してるけど、も少し『ぷにっ』としたカンジが欲しいかな
なーんとなーく温泉の成分が身体にしみ込んで来ているような気がする
むー、『イワシの頭も信心から』だよっ
周りは、比較的若い女性ONLY状態、タオルを巻いてる人、湯浴み着を纏うもの様々
くつろぐというより祈っているような表情が多く見られる
だけど、ここにいる皆が皆共通して細身なので、キレイだなーとは思っても圧巻な迫力はない
・・・たった一人を除いて
うん、お肉って意外と重要、ディナーはもちろん、目の保養的にも多少は必要って再確認
大事なのはバランス・・・とゆーよりバリエーションだよねっ
ほとんどの人はベジタリアンでも草食系でもないんで、
お肉と野菜バランスよく(※3)だよっ
え?ちゃんと男女別れてるのかいって?
少なくとも『豊満の湯』に入りたがる男性はあまりいないんじゃないかなー
「筋力増強」とか「回復」の方の温泉に集まってるんじゃない?
ぷかー
となりをタヌ子が通り過ぎていく、2つの丸いフロートを橋渡しするタオルに顎を乗せたままたゆたっている
確かあの辺りって深かった気がする、足着いてないよね多分
別に泳いでるわけじゃないからマナー違反って訳でもないけど・・・
[くっ・・・これ見よがしに・・・]
[ソノ馬鹿デカイふーせんモギ取ッテ鍋ニデモシテヤリタイ]
あーあー、無声でつぶやく声拾っちゃった
このままではこの場にいる面々のヘイトを一人でかき集めてしまって、タヌ子の命が危ない
「タヌ子~、あっちの温泉も入ってみよっ」
「はいですぅ、ししょー」
タヌ子を連れて湯から上がる。
とびだしちゃって問題ないの?
ご安心を、アタシはちゃんと水着きています、どシンプルなセパレートビキニ
こーゆースパ用の水着は余計なお湯を染み込ませない、飾りとか厚さ、布地総量の少ないものがいいって聞いてるよっ(※2)
タヌ子、アンタは少しは隠せ
獣人族は裸を恥ずかしがるって概念がないからねぇ
衣類ってのは防具かオシャレであって必須品ではないらしい
入る時もってきてたタオルを巻きなお・・・とどかない?Σ( ̄□ ̄;)
あの温泉、ホントに増量効果あったの?
そーいや、アタシもなんか心なしか、う~~っすらと全身にぷにっとした層が出来たよーな出来てないよーな、ちょぉぉ~っとだけビキニの紐がくい込んでいるよーないないような・・・
地図に注釈がついてる
『効能については個人差があります』
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ちょっと前の事も語っておかないと、流れがわかんなくなっちゃうよね
うんうん、メタ視点能力バンザイだよっ
優雅に過ごすつもりがキンペーと戦ったりタコパしたりと、思えばアレコレあった船旅も終わりを迎えた
小さな港に船は着く、ここがクエスト説明で聞いたジッソ港かぁ
「ようこそ、ジッソ・フロンティアベースへ」
基地常駐の隊員さんたちが冒険者一同を歓迎してくれた
フロンティアベース・・・
聞こえはいいが、即興で作り上げられた村、
村というよりベースキャンプといった辺りだろう
ここを拠点として開拓の為の調査観測を進めていくのだという
「はじめまして、ボクはナイヤン、ここで物資の管理を担当してるよ
取り寄せたいものがあったらボクに言って欲しい
この基地は、本国からの定期便が通ってくるから物資的な心配はあまりないよ
・・・贅沢しなければね、はははっ」
褐色肌のラテン系青年が少々ちゃかした口調で説明をしてくれた
基地の事、この付近の地形の事、現在どの辺りまで調査が進んでいるのか等
「ここはまだ産業とかもないけど、とりあえず観光地にはなるかもね」
灰色の長い髪をしたローブ姿の駐在員さんがポソリとつぶやく
ナイヤン氏がフォローを入れる
「こいつはケルフィ、この地固有の鉱石とか化石とかを研究してる石ころ博士だ」
「調査隊の方は、そんなにあせらなくっていいと思う。前にも予定通りに帰ってこなくてざわついた事もあったけど、ひょっこり返ってきたりしたからね、ここはのんびりした所だから急く事はないよ
とりあえずは地形把握が優先だね、地図をうめたい」
途中までしか出来ていない地図をくれた
色々と注釈の書き込みがしてある
・・・・・!
「温泉?」
「この近くに何種類か湧いてるよ、とりあえず長旅の疲れを癒すのもいいんじゃないかな」
こりゃもー、行くっきゃないよっ
「ちなみに、温泉地帯の奥が、今回の調査隊が向かった先
意外とばったり出会っちゃったりするかもね」
どんだけ楽観的なん? ナイヤンさん
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「きゅぅぅ~~・・・魔力回復の温泉なんて初めて」
「マーベリックのダンナ、随分と痩せちまったな」
「うきゅ? やせたのボク? ほんと? タツアンさんっ」
「全身2割くらいシュッってなっちまってるぞ」
「船の中ではあんまし動いてなかったから、てっきりダイエットした分戻っちゃったと思ってたんだけどぉ」
「多分今の姿だけ見たら別人にしか見えねぇぞ」
「なんかうれしいなー、だけど何事も程々が一番だと思うから、上がるね」
ぶるるるるるっ!
体についた水分を全身を震わせて弾き飛ばす
・・・もふっ
「おいっ、元通りかよっ」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
温泉回・・・といってもいいのかな? 7章はここで一区切りです
マーくんがぽっちゃりして見えるのは、毛が多いせいだったという事実判明
タヌ子が事あるごとに増量していくのは体質のせい
(間違っても作者のTwitterタイムラインが肉肉しいのばかりだったりするせいではない・・・ハズ)
もちろん、この後ダイエットの湯に放り込みましたよ
なお、生真面目な鎧さんは、周囲警戒して温泉には入ってません
(人前で脱ぎたくなかっただけなのかも)
ちなみにマミさんは、のぼせるまで『豊満の湯』に浸かってました。
【解説】
(※1)オノマトペ(擬態語)とゆーか、脳内に勝手に流れているか:銭湯や大浴場の室内巨大風呂でない限り、こんな音はしない・・・露天風呂に天井はない
(※2)スパ用の水着は余計なお湯を染み込ませない、飾りとか厚さ、布地総量の少ないものがいいって聞いてるよっ:極力水分を含まない薄いものがいいらしい、今着てるアタシのビキニブラにパットは入ってないよっ、絞ってもお湯はほとんど出てこないよっ
悲しいくらい布が張り付いてるだけってカンジ(T△T)
(※3)お肉と野菜バランスよく:「エルフは野菜」ってどっかで聞いたような
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』