7章-07 ここで終わる筈もないのに・・・だよっ
メタ成分フルに言っちゃうと5月なのだよっ
この『すぱさま』も連載開始してもうすぐ1年になるのです
そして、連載スタートの時に言ったとおり、作者さんの誕生日が来るのです
メッセージやイラスト等のお祝いが何よりのパワー源になります
なにげないヨタ話も大好きです。お気軽にヨロシクです
この世界存続のエネルギーを分けてください! お待ちしております
【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】
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「総攻撃開始!」
ヴァッ! ヴァヴァッ!! ヴァッ!
ボートに設置きた大型弩が一斉に射出される
「火炎槍!」
「風精霊の鎌!」
空中浮遊の魔道師隊からの攻撃呪文
出だしは順調のようだ
最大の脅威である巨大触手(※1)の直接攻撃は、バリスタ隊の設置した機雷ラインによって今のところ押さえ込んでいる
「タツアン、一旦戻るよ! 弾薬補給」
「だな、こっちの手持ちは空っぽだ」
ザッ・・・「こちらイーグル、一旦帰投する。甲板上に機雷とカジキ弾を並べておいて!」
ザッ・・・「了解、数量は?」
ザッ・・・「機雷は収納袋に用意できるだけ、カジキは2本、ランディングコースに合わせて並べといて!」
ザッ・・・「俺っちの弓もバッグに入れといてくれ」
ザッ・・・「了解! 至急手配します」
ふっ、40秒で支度しな・・・とは言わないけど1分程度でそっちには着いちゃうよっ
ひゅるる・・・どすっ ぼぉうんっ!
本船カタパルトからのカジキ弾がほぼ真上からタコに突き刺さると炎を吹き上げた
カジキに火炎系呪文のチップを仕込んであるのかな、効果は期待できそう
アタシは急速反転して、旗艦へと向かう
「タツアン、甲板に補給は置いてあるけど、着陸停止しないで行ける?
・・・背面低空飛行辺りでキャッチできると嬉しいんだけど」
「ムチャ振りきたな、100%の保障はないけどやってみる。
あ、背面はナシで」
フック付きロープをとりだしてみせてくれる
船の甲板後方からやや長めの距離をとって一直線に滑空、高度は極力合わせてほぼ水平に
「この高度&速度を保つから、タイミングは自分でお願いね」
ランディングコースに乗る、クルーは退避済み、フック付きロープも伸ばされる
「・・・3・・・2・・・1・・・タッチ、アンドGo!!」
甲板ギリギリを滑空したまま2本のカジキ弾をストライクが文字通り『鷲づかみ』にする
一瞬遅れてフックがマジックバッグを引っ掛ける
「補充完了、戦場へ戻るよっ」
「へいへい、忙しいこって」
タッチ&ゴー(※2)から一気に高度をとる
海の上と言う圧倒的に不利な相手の土俵で戦う以上、アタシには引き受けなきゃいけない事がある
その役割とは『タンク』
ただし壁でも盾でもなく、相手の注意を一身に引き付け続ける『回避型タンク』
小船や魔道師達に、大蛸キンペーの攻撃をさばく能力はない
小口径(?)の水流攻撃くらいなら防御は出来るかもしれないが、圧倒的にサイズが違うのだ
巨大機動兵器に相対する歩兵と同じく、直撃を食らったら即死確定
巨大であるが故の大振りな一撃を避けてかわして叩き潰される前になんとかカタを付ける
それだけが唯一の人類側の勝ち筋
わざと目を引くようキンペーの真正面から一直線に接近する
迎え撃つようにタコ口、いや漏斗が砲身のようにこちらへ向けられる
たぶんに墨汁の射出攻撃だと思うが、射程も火力もまったくの未知数(※3)
発射のタイミングで回避、それ以外にないだろう
ザッ・・・「攻撃来るぞ、注意せよ!」
無線が入る、チャンネルオープンだから前線の誰かだろう
狙われてるのは十中八九アタシだよっ
「タツアン覚悟して、ここからはフルに空戦機動かけていくよっ」
「お、お手柔らかにな」
「いんや、これからフルにまとわり着く、アタシ達以外に注意が向かないように
ヘイトとタゲ(※4)は全部受け持つ!」
「ムチャクチャな・・・いやそれしかないんだろうな、つきあうぜ!」
「攻撃は任せたよっ、アタシは機動に専念する・・・きたよっ!気合入れなっ!」
どぱっ!!
キンペーの巨大な漏斗が律動し、たぶん毒であろう墨が射出される
機首を引き起こして緊急回避、ブラックアウト(※5)寸前のGを気合で耐える
捻りこむ様にロールしながら急角度で高度をとる
墨攻撃はショットガンのように拡散しながらアタシたちの数瞬前までいた空間を貫いていた
速度が下がり過ぎないように、そこそこの高度で引き起こして背面飛行に入る(※6)
背面のままキンペーの頭上を通り抜ける、同時に機雷投下
「さてとー、ヘイト稼ぎますかー」
「ひゅーっ、多芸だな、アタマの下がる思いだぜ」
「アタシかて万能じゃあないよっ、ヘイトのスキルなんか持っちゃいないから、船からカジキを持ってきたんだよっ」
「ストライク、サイドワインダー展開」
くぇえ・え・え・えっ!!
鷲に指示をだすと、波打つように気合の声を上げる
「何を指示した?」
「このコも少しだけ魔法が使えるの」
翼の下に左右2本ずつ、計4本の氷の槍が出現する。背面飛行中なので日の光を浴びきらめく兵装、やっぱミサイルは翼の下がしっくりくる。
「高度も背後も十分取った、一気にぶちかますよっ!!」
巨大な敵は背後から攻めるに限る、デカくなると180度回頭するのにも時間が掛かる
背面飛行から引き起こす、すなわち垂直急降下、位置エネルギーを速度に転換
さらに機首上げを続けて海面ギリギリで水平飛行に移る瞬間
「カジキ魚雷発射!!」
最大限に速度の乗った状態でカジキを射出する
水切りのように水面を跳ねるようにカジキがとすっ飛んでいく、たしか『反跳爆撃』っていうんだっけ?
2本ほど触手がガード態勢に入ろうと動く?
「サイドワインダー、ターゲット指定は触手の方、曲射で中央を空けさせるわよ、FIRE!!」
4本の氷の槍がきらきらとした軌跡を残しつつ飛翔、ガード態勢に入る前の触手を穿つ
動きを止められガードを崩されたその直後に本命のカジキ魚雷が突き刺さる!
背後の腹部の中央付近左右、たしか鰓と心臓がこの辺りにあったはず(※7)
派手な爆発こそしなかったけど、組み込まれた魔道チップが突き刺さった箇所の内部を焼いているはず。致命傷とまでは行かなかったけど、それなりのダメージは入ったと思う
速度を落とさないまま触手の間を潜り抜け、あえて視界に入るように上空でターン
さぁ、これでもうキンペーはこの戦闘攻撃機から注意をそらせなくなったはず
何よりの証に、タコ特有の横スリットの入った巨大な双眸がこちらを出来得る限り追ってくる。触手の攻撃もこちらに優先的だ
ザッ・・・「タゲは取ったよっ、総攻撃開始!」
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押せ押せで総攻撃が続く
ボートのバリスタ隊は、リロード役の戦士がバテるかの勢いで矢を放ち続け
上空の魔道師たちはマナのありったけを込めて攻撃呪文を浴びせ続ける
アタシはキンペーの注意を引き続け、バリスタ隊に近づく気配があれば機雷投下
魔道師へと伸びる触手があればサイドワインダーとタツアン氏の矢がタゲを引き受けなおす
どれくらい時が過ぎただろう、無尽蔵とも思えたキンペーの体力も削れて行き動きが次第に鈍くなっていく
触手や胴体のあちこちが裂け、部分的に焦げ目の見えるキンペーの動きが変わった
振り回す触手が攻めていると言うより身を守るかのようにみえる
ザッ・・・「こちら測量班、目標の進路に変化が見られます」
ひょっとして逃げようとしてる?
むー、へたれキンペー
「タツアン、進路をふさぐための機雷は?」
「もう残ってねぇよ」
ここで倒しきれずに逃げられたら、海が、魚たちが、航路を通る船、全てが荒らされ奪われる
そんな横暴、許しちゃいけないよっ!!
「何をする気だ」
「止めを・・・刺しに行くよっ」
「ストライク、空の魔道師や小船たちを守って、サイドワインダーの無制限使用を許可する」
「お、おいっ!」
アタシは四肢を広げ宙へ身を躍らせる
「ブレイジングタービン、起動っ!」
この尻尾の動く限り、足場のない空中であったとしても身のこなしに不自由はしないよっ
本能的に危険でも感じたのだろうか、8本しかない触手の1本をアタシに向けてくる。むしろ好都合
伸ばされる触手の上に着地し、その上を走る!
足元で筋肉の塊の動く感触があったけど吸盤が大きすぎて小さなアタシの足には吸い付けない様子、吸盤ってのは吸着部分より小さいものにはくっ付かないんだよっ
揺らしても振り回してもムダだよっ
もう1本の触手でなぎ払おうとするがアタシはそのまま体を水平にして蛸足の側面を走り続ける
グリーブの爪先についている爪を引っ掛けて、走る走る銀河疾風っ(Do it!)
物理法則無視したムタクタなチート行動と思うかもしれないが、べつに理不尽な事はやってない
タービン起動中のアタシは、『地球ゴマ』なのだよっ
体重分だけ支えきれる足場があれば、上にまっすぐ立っていようとも体軸を真横になるまで傾けていようとそのまま安定した姿勢を保つ事ができる、地球ゴマとはそういうもの
『到着っ! 中心部顔面直前、改めましてこんにちわっ』
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回想とゆーか、ダヌパの訓練所での事が脳裏によみがえる
「ドウギ、あの奥義の時に感じたズシっと重い衝撃、なんなの?」
「ひょっとして、剣圧のことでござるか?」
「アタシの剣は鋭く切り裂くばっかしで弾き飛ばすような圧力は生まれない、地味な剣だよ」
ノックバックが発生するのは2太刀目からだ、1太刀目から発生する武器もあるにはあるけど連撃には向かないんで愛用してない
「鋭利な、斬られたことを理解させない剣というのも剣士の目指すもの
しかし覚えて置いて損は無かろう」
ゆっくりと剣を振ってみせるドウギ、引き斬りではなく切っ先の速度を最優先にした剣線
「刃を引くのではなく押すのだ、切っ先を走らせると先端に弾ける様な圧が生まれる」
ほほぅ、音速の壁ってやつね
「その圧をかき集めるように押し出すのだ、斬るより打つ感覚に近くなる。
切れ味と言う点では落ちるが慣れれは放つ事も可能となる」
ほう
「だがこの剣圧、複数を交えてはいかん、干渉しあって危険な事になる」
「何が起きるの?」
「爆ぜるのだ、無作為に・・・遣い手も巻き込まれる」
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触手の根元まで駆け抜けてきたアタシは、再度宙に跳ぶ
巨大な横スリット瞳孔の目玉の中間点、俗に言う『眉間』へと肉薄する
『ベラトリックス・サイフ!』
右斜め最上段からと左下段からの逆袈裟切り上げを同時に放つ
2刀流なればこその挟み込むような同時斬り
『ベテルギウス・リゲル!』
防ごうとしたが間に合ってない触手が上下から迫るので、全身をジャイロのトルクで支えるように、上下2箇所で水平に薙ぎ怯ませる
『ミンタカ・アルニタク!』
上下で薙いだ切っ先をまた中央へと集めるように打ち込む、そのまま切っ先を振り切らずに中段でクロスさせる様にさらに切り込む
『そして、アルニラム!!』
そのまま中央に2刀を突き込む、そのまま全身ドリルのように1回転、抉り込むように押し込むと即座に離脱
少々荒削りな付け焼刃だけれども9太刀を一気に凝縮した連撃、名づけて・・・
「Trace The Orion !(※8)」
ドウギ氏の『琴座斬り』にならって星座のラインをなぞってみた。鼓の形の有名なあの星座
2刀流なのに9太刀と、ドウギ氏には1歩及ばず・・・改良の余地はあるね
空中に離脱したアタシをキャッチしてくれたF-15、とりあえず一時離脱
ジグザグと機動を行わせた大量のサイドワインダーにまぎれるようマニューバの連続で目的の位置取りをする、ストライクの得意技『Board Field サーカス』、攻防一体の空戦技
巨大タコの両目の間に傷は残るもののサイズがサイズなので、手ごたえ的にも
いまひとつパッとしない
確かに刀傷自体はたいしたことがない、でもこの技は単に斬ることを目的とした技じゃない
『剣圧』の発生と、『剣圧同士をぶつけてみたらどうなるか』の実験
とりあえず8つの剣圧をぶつけ、重ねて奥へ押し込んでみたんだよっ
- コレデオワリカ、オレハ マダ イキテルゾ・・・ -
離脱の際に集金Payが目で語ったかのような気がした
・・・そうかしら?
グ・・・ボパァァッ!!
キンペーの頭部から巨大な腹にかけてが、一気に爆ぜた
ぶち込んだ剣圧が干渉しあって体内で大暴れしたのだろう、両目の間の奥にはメインの脳が、そこから腹の奥の辺りに中央の心臓があったはず。ほぼ確実な致命傷
・・・そう、オリオン座をなぞったんだもの
「ここで終わるはずもないのに」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
剣士ってのは意外と不便だ。
基本的に剣の届かない位置ではダメージを与えられないし、そのダメージ自体も剣の長さまでの範囲
対人戦のように大体近いサイズの戦いでは駆け引きとか細かい攻防が出来るのでしょうけど、今回みたいに敵のサイズここまで大きくなると途端に不利ばかりが目立つ
新必殺技(?w)「Trace The Orion !(βテスト版)」
習いたての技術『剣圧』の応用技、元となった『琴座斬り』は1刀で5連撃なのに対して
2刀流で8つの剣圧を生み出し対象の奥深くにまとめて押し込む9連撃
描写ではゲシゲシと殴りつけているように見えますが、実際の第三者には『キリキリと回りながら突き刺した』程度にしか見えません。一般的な『1太刀』の間にいくつもの連続攻撃を行っているのです。
余談ですが・・・スポンサーロゴを身体に貼り付けたりはしてませんし、見切れ職人とかもやりません、
トラウサでは ウサギよりトラ派ですw
【解説】
(※1)巨大触手:一般にタコ足と言われるけど、アレは足じゃなくて『腕』、放射状に8本と均一に扱われているが正確には2本1組の『4対』で微妙に使用され方が違うんだとか
(※2)タッチ&ゴー: 着陸後に素早く離陸体勢に入り再度離陸する。本来は滑走路のコンディションの確認や訓練として行われる。間違っても止まらずに弾薬補給を受ける為の機動ではない
でも、猛禽類ならフツーにできる、地面にいる獲物を捕まえるのに一々着陸はしないものだ
(※3)墨汁の射出攻撃だと思うが、射程も火力もまったくの未知数:タコの墨は煙幕、イカの墨はデコイと言う事はそこそこ知られてますが、タコ墨には麻痺毒が含まれてたりするそうです
イカ墨料理はあってもタコ墨はない理由はこの辺りもあるのでは?と思う
(※4)ヘイトとタゲ:前にも述べた事あったけど再述。MOBのこちらに向ける敵意が『ヘイト』
ヘイトの値が高いほど攻撃意思が向けられる、これが『タゲ(ターゲットの略)』
(※5)ブラックアウト:人体は下方向にGが掛かり過ぎると血液が下がって目が見えなくなる。
だからジェット戦闘機のパイロットは全身に圧力をかける耐Gスーツというものを着るのだけど、そんなものはないから気合で耐えるしかない
急上昇時に捻り込みロールしたのは、せめてGの掛かる方向を散らす為
(※6)引き起こして背面飛行に入る:翼と言うものは水平飛行時に上向きの揚力を発生させるようにできている、だから『引き起こし』こそが一番翼の持つ力を引き出せる。マニューバの基本は全てここに通じる
(※7)たしか鰓と心臓がこの辺りにあったはず:タコの心臓は3つある。中央に1つ、左右の鰓付近に1つずつ。
脳に至っては、中央に1つ、各触椀の付け根に1つずつの計9個の脳を並列稼動しているとの事
学習能力は高く、ねじ式の蓋も自力で開けることができる。
全身の9割近くは筋肉で眼球には 脊椎動物にはあるはずの盲点が存在しない上に偏光を検出する能力もある、無脊椎とは言えハイスペック生物なのだよっ
(※8)Trace The Orion :直訳しちゃうと版権問題?
突進・肉薄しながらモーメント・ジェネレータ(6章-12参照)に頼り切った軌跡で放つ連撃技
欠点はどう考えても対人戦には使えない大振りの太刀筋、巨大な敵専用って事
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』