2章-01 村に着いたよっ
子供の身体になったら、子供っぽく振舞いたいって思っちゃうのって
心が老けている証なのかなー
ポクポクと荷馬車は進む
鋼の巨人とその肩に乗った小さな女の子を乗せて
道の終わりは大きな岩二つの間へと続いていた。
天然のゲートだね
馬車はその間を抜けて村へと入った
村の入り口はやや開けた草地になっていて、2台ほど馬車が停めてあるのが見えた
「鎧さん、オカエリ~」
「いいもん、はいっだか?」
甲高い声と低いダミ声、村入り口ゲートの脇に建てられた小屋の方から
緑掛かった肌の巨人と、色白な小人・・・茶色で統一したベストとズボンを身に着けている。制服なのかな
「鎧・・・さん?」
「あ、アダナだよ。交易商会の担当さんとはかれこれ長いからね
親しい人は皆こっちの名前で呼んでるかな
ちょっと待っててね、手続き済ませてくる」
アタシを肩から下ろすとアマドさんは小屋へと職員さんと入っていった
-交易商会なんてのもあるんだ、商人ギルドって所かな
小屋から話し声がする、普通の小屋だし距離も離れていない
盗み聞きは良くないかもしれないけど、聞こえちゃってるなら仕方が無いよね
ネコミミフル稼働だー
『はい、積荷は鉱石、インゴット、後、依頼のヴァンドールウィスキーの樽、以上ですね』
『ええ、樽以外はいつも通り工房に』
『かんしゃだな、よろいざんのもっでくるさけ、おでたちオーガのだいこうぶつだかんな』
『ワタシは、マーハのワインの方が好きですけどね』
『次はワインにしましょうか』
『ぞぉいや、かだのうえにのっけてだのはなんだぁ?ごねこでもひろってきただかぁ?』
『迷子を一人見っけたんで連れて来たんだよ、それに子猫じゃあないよ』
『しょうがいのるーるで、うまとかたべちゃいけないこどになってるんけんでも、かりしたらすこしまわしでぐんねぇか』
『デルク、やめんか!
気を悪くしたら申し訳ない、後でしっかり言い聞かせときますんで』
『はは、オーガ流のジョークと取っときますよ
あの子は猫じゃあない、しいて言うなら、ラズハ黒ヒョウ・・・
お前さんでも逆に食われちまうぞ』
『あの子供、そんなに強いンかい?』
『ああ、大きな声じゃ言えんが、まだ幼いが僕より強いかもしれない』
- あの~、ナイショって言っといたんですけどー -
『おいおい、“不倒”の鎧氏がなにをおっしゃる
ジャイアント流のジョークですかい?』
『あはは、その2つ名はやめてくれ・・・おっと、外に待たせてるんだっけ、
それじゃミッコさん、確認と帳簿付けが終わったら工房までおねがいしますね』
あ、小屋から出てきた、巨漢の方といっしょだ
「とりあえず馬車は任せて村に入ろう」
鎧さんはアタシをひょいと肩に乗せると歩き出した
すれ違いざまに、巨漢オーガくんににぱっと微笑むと、ビクっと硬直、わたわたと愛想笑いの表情・・・
- たべないよっ-
八重歯見せちゃいけなかったかな・・・
オーガって食べられるのかな? オーク料理して食べてる主人公は意外といたよーな記憶あるなー
交易エリアの草原を北に進むと川が流れていて、橋を渡ると麦畑
日が傾いてきたんで、夕焼けの赤に染まり始めててキレイ・・・
道なりに進むと広場に出た、広場を囲むような建物が並んでいる
あそこに見えるのは教会かな?シンボルは十字架じゃないけど
「あそこが食堂、その向こうにあるのが雑貨店、宿屋は雑貨店と連なっていて、入り口はそこの道を入った所だよ」
「意外と人通りが少ないのね」
「何を言ってるんだい?もう夕方だよ、」
いけない、中世の基本常識をうっかりしてた
現代人は夜遅くまで活動しているし、ゲームの住人は夜だろうと行動する
ここはどっちでもないんだもんね
「そうね、宿を取っておかないとね」
「ここ、ティルの村はいい所だよ、キレイな水が豊富だしね
僕の工房も宿屋から少し奥にいったところにあるんだよ
とりあえず宿屋に行こう」
「うー、がぉ」
目の前にあるフルヘルムの頭に、握った手を招き猫のように載せる
「なんの真似だい?」
「ラズハ黒ヒョウだよっ」
ちょっと引きつった笑いがエコーつきで聞こえた気がした
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
ラズハ黒ヒョウってのは、ラズハ地方に出没する黒ヒョウ型の魔物で、その地方に突然現れる強敵、フィールドボスモンスターの名前です
ぶっちゃけ、「出会うとヤバいものの1つ」程度に思ってください
「たべないでください」ネタは、オーガくんにやらせるのはちょっと自重
♪じゃぱりぱーじゃぱりぱー
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よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




