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7章-02 Weigh Anchor - 抜錨だよっ

メタ視点だけど、アタシの作画参考資料っつーかイメージラフが公表されたみたい

お世辞にも上手くないよね・・・( ̄△ ̄)


ラノベっぽい話ってヒロインの可愛らしさだけで引っ張ってるのがほとんどなのにね

先生ッ! 挿絵が欲しいです(べつにバスケはしたくない)


ケイティさんには拡散防止口止め料として、レシピを渡す

料理研究家ならこの価値は分かるはず。


「干し肉ってのは一般的だけど干しスープなんて斬新よねぇ」


「乾燥させたのは、旅に持って行く為だよっ。

 これスープのまま煮込みのベースに使う方が美味しいからねっ」


実際、このスープストックはこの時代より少々先の調理だ、食材を大量に使っての出汁の概念は、食料の供給が安定化して贅を尽くすのがステータスとなるようになってからのお話

料理無双の方向へ向かわせようとするテンプレのカミサマよ、流れに乗ってなんかあげないよっ


花嫁修業として親に半ば強制的に通わされた料理学校

前の世界では大して役に立たなかったけど、今はとっても役に立ってます

スープストックなんて、市販のを使うから自作する人なんてあまりいないもんね

どうだぁっ! 世の転生チーレムな「なろーしゅ」主人公さんたちよ、知識チートってのは下地が必要なのだじぇ!


スープストックと同時進行で煮込んでおいた通常サイズ鍋の中身を裏ごしして瓶詰めしておく

この中身? ナイショ、え?気になる?

これをしばらく寝かせると調味料になるんだよっ、船旅中に程よく熟成されると思う


せっかく食料品店にいるのだから、長旅に備えて色々仕入れる

主に調味料、ハーブ類、そしてほかの町で買うと割高になる小麦粉

ティル村の小麦粉はいわばブランドなのだよっ

未知の土地へ行く場合、一番気をつけなくちゃいけないのは『食』

衛生面は当然としても、それなりに美味しい食事ができなければ元気が出ないよっ



あとやっとく事、旅先の『住』はキャンプセットもってくくらい、チートに家ごと運ぶなんて無理だから現地調達しかないよね。しばらく家を開けるから掃除して腐りそうなもののは処分しとけば準備完了。

『衣』に関してはアタシ個人的には問題ない、衣類保管専用の召還獣(ペット)が居る

それ以外のの分はタヌ子にまとめさせた


これで『衣・食・住』出来る範囲の準備は完了っ! 忘れ物は無いよね?

みんなと合流しよう


――――――――――


困った事が発生した。原因はアタシではない、戻ってくる時ドラゴンは使ってないよっ

問題となったのは、参加資格のこと

今回の旅はあくまで冒険者ギルド依頼のクエストミッション、冒険者資格が無いと参加できない

当たり前と言っちゃあ、当たり前なのだけど・・・


「じつは・・・一応資格ならとってあるのです」


おずおずとタヌ子が冒険者登録カードを取り出した

意外や意外、クラス『Housekeeper』 つまりは『家政婦』、

レベルは6、発行は『ドンヴ支局』ってなってる


「アタシが取れるのはこんな職業(クラス)くらいだったのです」


タヌ子は自嘲気味に言うがバカにしてはいけない、戦闘力は確かにないけど「衣・食・住」の管理能力に特化した上位クラスとは言えないまでも複合職、生活系スキルのエキスパートであり、戦闘以外についてはほぼ何でもこなす便利職。

とある評論家は「治療師(ヒーラー)が身体の癒やし手なら、家政婦(メイド)精神(メンタル)の癒やし手だ」と力説する

・・・素直にメイドさんに癒されたいと言えばいいのに (¬~¬;


高レベルを極めると一気に戦闘力も身に着けるとも言われているが、これはウワサの域に過ぎない

戦闘メイドなんてのは、既に戦闘職やってたのがメイドになるか、メイドに擬態しているのが実際

執事がやたら強いって誤解されてるのも、同様のテンプレなんだってば(※1)

『執事のたしなみですから』で何でも済ませてしまうのもテンプレだよっ

ちなみに、執事さんは絶対初老紳士に限る! 若いイケメン執事なんてホストにしか見えない


まー、タヌ子は役に立つ、長旅においては特に


問題は・・・オギ、10歳に満たない彼はまだ冒険者の資格を持っていない

10歳のアタシですら最下限、ほとんど特例みたいなもんだ。実際は10代中盤以後からなるものだしね

冒険者稼業はスポーツ競技じゃないんだからウエイトや年齢、性別でランクが分かれるなんて事は無い。

デカかろうが小さかろうが老齢だろうが幼かろうが、老人・壮年・青年・子供一切関係ない無差別級、それしかない世界

しかも負けたときに失うのは自らの命、全ては自己責任、シビアな世界。

だから、誰もが無理を押し通したりはしない。戦士といえばゴリマッチョばかりで、スラリとした美形の剣士に出会っていないのも、膂力や体格に恵まれてない者は よほど技術に自身のある者以外前衛職になろうとはしないから

ロマン求めて資質の無い方向に進む愚者は居ない。厳密にはいても生き残れない

その代わりというには些細過ぎる事になるけど、実力が伴っていて生き残れているのなら一切の差別が生じないのが冒険者だ。

種族、性別、外見、出身地、年齢、家柄etc・・・何一つ関係ない、実力さえあればいい

差別の無い優しい世界

・・・あぁ、思考が脱線する、問題はそこじゃないんだよっ


「どうしたんだい? アタマ抱え込んじまってよ」


聞き覚えのあるテナーボイス、

前にパーティを組んだことのある仲間だ、ツンツンした髪型に三白眼、


「タツアン、お久しぶり(※2)」


「開拓中の新天地と聞いたんで、駆けつけてきた」


「ボクも行くよ、パパの説得がクリアできたからね。きゅ~」


ふわもこ犬型獣人(アヌビン)マー君(マーベリック)も来てた

獣人勢はイヌ科で統一?(タヌキもキツネもイヌ科)


「そーいや新しい顔が増えてるな、ヨロシクな嬢ちゃんと・・・ボク」


そーいや、タヌキ&キツネ(そばうどんコンビ)とは初対面だったよね

今回の悩みは、この少年(オギ)なのよ


「ふっ、大体察したぜ。やっぱ一人でお留守番なんて可哀相だよな」


見下ろすタツアンと見上げるオギの視線がぴったし合う

黒髪&八重歯(牙?)同士、なんとなく似た雰囲気あるかも


「ボウズ、何が出来る? ここにいる面々の中で誰にも真似できない事あるか?」


オギは必死に考えている。幼児にこの質問は少々ハード過ぎやしませんかねタツアンさん

しばしうなって考え込むオギ、あ、ひらめいたみたい

獣人は耳と尻尾見てればなんとなく感情が分かる


「オイラ狐になれるよ、ねーちゃんはタヌキになれるけどキツネになれるのはオイラだけだ」


とーん、ぼふっ

バク宙をかるくきめると黒狐の姿に変化するオギ、青と金のオッドアイ、尻尾の先だけが白い

年齢が年齢だけに小さな子狐、反則的にカワイイ


「ほぅ、レアだな」


したたっとタツアンの周りを走って一周すると人間形態に戻った


「キツネの姿だと速く走れるけどうまくしゃべれないんだ、キツネとなら話せるけど」


キツネ型獣人(フォクシ)は変化できるって聞いてたけど見事なもんだな」


「きゅ~・・・いいな、ボクは変身なんて出来ない」


マー君、アンタが子犬になっちゃったら別の意味でチートでしょうに、ハーレムでも作る気?(※3)


「よし、ボウズ・・・いやオギ、俺と組め」


「なるほど、バディ登録か」


鎧さんがポソリと補足説明


「おうよ、俺のサブ職はトレジャーハンターだからな

 あの能力は狭いところの隠しスイッチ操作とかに役に立つ」


遺跡等の罠を掻い潜ることが日常となるこの職、基本的にツーマンセル行動がデフォルト

遺跡等の人間対象の罠には、2箇所を同時操作したり、交互に安全を確保しながら進んだりとかよくあるケースだしね

大抵は一人ではカバーしきれない所を補い合う「バディ制度」、技術者や学者が組むことも多い

つまり「バディ」は冒険者に限定されない。よかったねオギ


「おじさん、ししょうって2人いてもいいもんなのかい? オイラにはネコミミししょうが・・・」


「師匠じゃねぇ、バディだ。それに俺はまだオジサンじゃねぇ」


確かにアタシよりタツアンの方がオギの指導育成には向いているような気がする。

アタシにとってショタは「めでるもの」であって「鍛え上げるもの」じゃない

幼女に、そして元一人っ子の喪女に育児スキルを求めたって無理というもの

オギの件はタツアン氏に一任

脱線はともかく、一番の杞憂は解決、さぁ出発だよっ


・・・・・クエスト登録を済ませてラディ港へと向かう


常時オープンなゲートから潮の香りが漂ってくる

灯台、桟橋、倉庫、野積場、物揚場、貯木場、給水施設、船工房etc

典型的な港だー

一応一般的な町にありそうな酒場兼食堂とか露天商とかあるけど、ほんの体裁程度

そりゃそーか、すぐ近くにそれなりに賑わっている(ダヌパ)があるんだし港としての設備さえあれば十分なんだ


案内もあったけど乗り込むべき船はすぐ分かった

船のほとんどが貨物船と漁船で、客船に見えるのは2隻しかなかったから


・・・なんか様子が変だ


いかついガタイに頭部をバンダナで包んだ『いかにもな海の男』が苦笑いの表情で現れた


「すまねぇな、出航は少し延期になりそうだ。

点検したら船体に一部損傷があるのが見つかってな、現在修理中だ」


船の周りには、厳ついが繊細そうな職人さん達が何人か話し合っている

雰囲気からして船大工さんなんでしょね


おせっかいとゆーか鼻を突っ込むとゆーか、ついつい状況が知りたくなってウズウズしてきた


『望遠集音MODE-ON』


久しぶりにネコミミの集音機能を作動させる、チートだけど欠点も多い機能なのでご容赦願いたい。

何せ自分たちの乗る船だ、不調な箇所があるなら知っておきたい


『まさか根元に亀裂が入ってるとは、このまま出航したら途中でポッキリ行くぞ』

『交換用マストはまだ届かんのか』

『少し遅れているようです』


マストかー、帆船の心臓部だもんね

よく、嵐にあったりすると切り倒すってのを聞いたりするけど交換できるもんなんだ


「親方ァ、柱が届きやしたー」


長い、トレーラーのような台車を継ぎ足した馬車が駆け込んでくる

長い丸太が運び込まれてくる


「よし! 大急ぎでやるぞ」


よかったよかった、これで安心だねっ

・・・ん? 船大工さんたちの顔色が余りよくない?


『誰だ、発注かけたのは?』

『あっしで』

『誰が丸太を持ってこさせた? このままじゃ使えんぞ、今から削り出してたらこの人数じゃ2日はかかる』


あーもー、なんでこう艱難辛苦襲い掛かってくるのかなー

『関われ』ってカミサマの悪意を感じるよっ

一応、消息を絶った調査隊の捜索ミッションだよね? ウチらが請け負ったのって

のんびりした世界とはいえ急を要する案件だよね?


アタシ達の他にも冒険者のパーティは集まってきている。人手が足りないなら手伝ってあげるべきだ

あーあ、悪目立ちはしたくないんだけどなー


「おーい! ここにいる冒険者の中で、木工できる人いたら名乗り出てー!」


おせっかいとは知りつつ、大声を上げる

年齢(トシ)相応の甲高い声だけにそれなりによく通る

点在する乗船待ちの冒険者パーティたちにざわめきが起こる


「な、なんだ?」

「子供が何か叫んでるぞ」

「俺は知ってるぞ、あの娘」

「鬼教官」

一撃仔猫(ボーパル・キティ)・・・」

地獄の仔猫(Hell Kitty)だろ」

「逆らうな・・・張り倒されるぞ」

「焼き払われる」

「切り刻まれちまう」


あーもぅ、『ヘル』でも『ポーパル』でもいーから、とっとと片付けちゃおうよ( ̄△ ̄)


「木工できる人は船大工さんのサポート、力持ちは人足くらいできるでしょ!」


「サブ職、大工やってた」

「おで、木こり」


何人かが名乗り出る

なんとかなりそーじゃん、アタシも仕上げくらいなら手伝えそう


「お嬢ちゃん、ありがとよ

おかげさんで人手はなんとかなりそうだ」


船大工の親方が声をかけてくる


「アタシも仕上げ表面処理辺りなら手伝えそうね」


怪訝な顔をする親方に、ゲーム内(転生前)に愛用してた木工用(カンナ)を手渡す


「職人なら、そいつを見れば使えるかどうかくらいは分かると思うわ」


いちおー木工スキルはMAXのマスターランクもってる。手渡した鉋も熟練度MAXの使い込み抜いた一品だよっ


「作品が見たいってんなら、お見せ・・・」


「結構だ、仕上げは任せよう」


――――――――――


木工できるサブ職持ちは船大工さんと力を合わせてマストの加工

戦士系は力仕事、軽量級は高所作業、鍛冶屋や彫金師は工具の手入れ

治療師(ヒーラー)僧侶(プリースト)は回復に、魔法使いは各種強化(バフ)

アタシも表面のカンナ掛けとか手伝った、うん、スベスベに仕上がった(※4)


マンパワー強制投入という力押しで作業は進み、お昼を過ぎ、夕暮れにはまだ早い頃

船の修理は完了した。

焚き付け役でしかないけど、こういったことは一人で無双できるもんじゃなし

むしろパーティを超えて連帯感が深まったんじゃないかな、結果オーライだよっ


「助かったよ、完工の宴と行きたいところだがこれから任務なんだってな」

「こちらもいい経験になった、帰ってきたら一緒に()ろう」

「いってきな、無事を祈ってるぜ」


こんな会話があちこちから聞こえる、一緒に仕事した仲間意識的なのって気持ちいいかもね

冒険者たちは乗船を開始し

船大工さんたちは次の船へ


- 海の向こうに助けを待ってる人がいる -


さぁ、

Weigh() Anchor() っ!


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


100万PV突破しました、皆様の熱い支援のおかげです。

遅筆ではありますが、生きてる限りエタるつもりはありませんので今後ともよろしくお願いいたします。


最近事を起こす度に鬼だの化物だの言われまくってるおーちゃんですが、これはダヌパ近郊限定ですよー

訓練所の連中がグチってたのが尾ひれ付いて広まったってのが現状

ダンジョン拉致事件(3章参照)の当事者のほとんどは黙秘してくれてます、Hellネタがどこから広まったのか真相は不明


本人も一応善意で動いているので、あまりいじめないでくださいまし



【解説】


(※1)執事がやたら強いって誤解されてるのも、同様のテンプレなんだってば:実際本当の執事はかなり有能優秀で、秘書官や経営アドバイザー的な業務もしており、相当万能超人でないと勤まらない。実際かなりの高給取りだったらしく、執事の仕事を分業化し廉価版にしたのがメイド。見た目的に多数のメイドにかしづかれる様は様式美にも見えるが、貴族の間では「あそこは執事が雇えないから多数のメイドでカバーしてる」と言われる事もあったとか


(※2)タツアン、お久しぶり:2章-14を参照、斜に構えたポーズが好きな盗賊(シーフ)

メタな説明しちゃうと彼も実在するモデルがいる、実の息子と仲良く同じMMORPGをプレイしちゃうパパさんだったりする


(※3)ハーレムでも作る気?:ふわもこトイプー獣人のマー君は事あるごとに女の子に囲まれる、そのせいで一時期引きこもりしてたんだとか


(※4)スベスベに仕上がった:長~い柱を鉋がけ、絶対に腕のリーチが足りない。部分的に削るとムラが出る。だから全身使って箸から端まで1ストロークで走りぬけた。

そんな雑巾がけみたいな事して安定できるのかって? そこはそれ、今のアタシにはジャイロ・スタビライザーがついてるから

別に船のマストがスベスベかどうかなんかで世の中は大きく変わったりしない。

罪のないチートの使い方だよっ



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『メタもベタも極めてみせるよっ!』


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