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超サマルはテンプレなんかに負けないよっ!   作者: 吾流峰子
6章 ものづくりクエスト
114/212

6章-12 ブレイジングタービン起動だよっ

小さいときに遊んだオモチャ、不思議な動き

少し大人になって原理が解ってくると応用したくなる

結局は実用性とか効率とかコストとかで机上の空論で終わるんだけど・・・もし

本当に作れてしまう環境が手に入ったなら・・・ロマンよもう一度!


※今回の【解説】は※2以後 小難しいへ理屈ですので、物理とか好きでない方は読み飛ばし推奨です。


・・・!


ふと感じた殺気

これだけ強い気迫なら特定するのは難しくない、その発信源は自らこちらに歩み寄ってくる


身長2m近い獣人、ピンと立った耳、長めのマズル、黒に近い濃いグレーの体毛、ハスキー犬の犬型獣人(アヌビン)?いや違う

犬じゃない、狼獣人(ヴォルフェン)(※1)だ


「これは、かの時のしの・・・!!」 わしっ!


アタシの手が鼻先と下顎をまとめて握り押さえる

一部のケモノ顔の獣人は、長めのマズル(飛び出した鼻っ面)があるので手のひらで口を塞ぐ事ができない


『・・・なんて事言うのよ、塞の一件は隠してるんでしょ』


『すまぬ、迂闊でござった』


ほとんど回りに聞こえない無声会話。お互い集音性の高い耳を持っているからこそできる


「儂にも一番付けてもらえないかな、教官殿」


ざわ、ざわ、ざわ


「お・・・おい、こないだの新人か・・・」

「無謀だぞー」

「傭兵上がりとはいえ、アレは別格だ」

「実力差の読めないお前では無いだろう」


むー、ギャラリーさんサンクス。思い出すきっかけにはなった

東の国の剣士 堂義(ドウギ)、鉄牙一刀流という剣術の使い手だったかな

タラエージ塞で出会った傭兵集団のリーダー

あの時は和風の甲冑に身を固めていたからイメージ違い過ぎて思い出せなかったよっ


「いいでしょう、ウォーミングアップは終えてますし」


再入場がてら小声で一言


『前回のリベンジってところ?』


『ここを教えてくれた恩義だ。(それがし)、不器用にて武術しか応える方法を知らぬ』


『なら、忍びではなく剣士としてお相手するわ』


両者試合開始の位置に付く

ドウギ氏の武器は細身のバスタードソード、この世界では日本刀は貴重品

できるだけ取り扱いの近い武器をセレクトしたといった辺りかな


「演習試合、オーリ教官VSドウギ訓練生、開始!」


一礼して試合開始

剣士として真正面から戦うのは初めての相手


「感謝しようぞ、このめぐり合わせに」


キンッ、キンッ


速い!、前回 不意打ちとブラフで乗り切ったのは正解だったかも

気合入れないとヤバいかも


「三連突き!」


シュッ、シュッ、シュッ!

ひゅん、ひゅん、ひゅん!


「にゃあ~っ、いっぱい(ちゅ)き なんてねっ」


ここは『んなぁ~』の方がよかったかな

むー、速い、鋭い、気迫のってる

ジョーク言ってられる余裕なくなってきた


呼び動作一切なしで、瞬間的に身体を平行移動させ、突きを回避する

これ、尻尾のAI に登録しておいた動作パターン『フェリシアステップ』

この動作、物理的に慣性の法則を無理をしているように見えるけど、実はほとんど重心移動をしていない。重い尻尾で重心位置をずらし、中心の重心位置に身体が来ないようにしているという種明かし。

曲がったブーメランの回転中心位置(=重心)は何も無いのだよっ

なぎ払う攻撃に対応しきれないけど、突きや飛び道具に対しては十分

回避スキルよりお手軽かつ発動前後の隙がない、スタミナ消費もほぼ無い


「ほぅ、今のを避けるか」


「楽しませてくれそうじゃない」


「(この間の)礼として、こちらも奥義で答えよう」


・・・嫌な予感がする、次の攻撃は多分躱せない

『MODE-Defence』、尻尾のAIに指示を出しておく


鋭い踏み込みで間合いをつめてくる、交差法?


「奥義、琴座斬り!」


ギャガガギャキィィン!!


やや袈裟に斬り込んだ刃が急に角度を変えて戻り、切り下ろしから下段薙ぎ再度斬り上げる

一瞬で5太刀、音符『♪』を左右反転したかの様な軌跡、そうこれは琴座の星並びだ

一見抜き胴(すれ違いざまに胴体を薙ぐ)のように見えるモーションから縦方向に広がる連撃、これは生半可な事では対処できない


あらかじめ上段下段両方にガードを展開しておいたから何とかなったようなもの

カバー範囲の広い2刀流でなかったらやられてた、

5太刀中、前方からの3太刀は何とか防いだ、背後からの2太刀分はシッポが防いだ。

Auto(半自律)・Tail様様だよっ・・・背面からの致命的な攻撃等は優先に反応してくれる


「試合とはいえ、奥義で勝負がつかなかったのは初めてだ」


はわわ、この技はヤバい・・・かろうじてマグレで避けられた。

オオカミ顔は表情が判り難い、ひょっとしたらまだ本気を出して無い?

新しい切り札、ここで切らざるをえないみたい


斜めに広く脚を開き前傾姿勢、尻尾を後方斜め上へ・・・身体を低くして反動に備える


「ブレイジング・タービン始動ッ!」


ボフっと尻尾の毛が逆立つ


シッポの骨格フレーム内に仕込まれた爆裂魔法紋章(ブレイジング・チップ)が小さな爆発を発生する

中空のチェンバー内の爆圧は、側面に開けられたポートからフレームの外へと伝わる

骨格フレームには円筒状のフライホイールが被せられており、そのアダマンタイトのタービンは軸からの爆圧により流体軸受として浮き上がり回転を開始する。(※2) 

(ちなみにそのさらに外側には同素材のカバー装甲があるのでタービンは毛皮には触れない)


ィイイイィィィィィン・・・・・


起動時には骨伝道で響いてきた回転音がすっと収まって安定する、起動完了!


まずは、空中機動のテスト。軽い助走から前方回転蹴りを放つ


「浴びせ蹴り?」


頭頂部を狙ったけり脚を受け止めるべく刀が上がる


フィンッ!


『ピッチ・コントロール』

シッポが折り畳まれるように曲がると同時に挙動を大きく変える


すぱぁん!!


上から覆い被せるように放った前転蹴りが、逆方向へ軌道を変え

バク宙式に下顎を蹴り上げる


常識的にありえない動きを読める訳も無く、ドウギはそのまま反り返るように弧を描いて地面に叩きつけられた


()()()()()していた全身が、足場の無い空中でいきなり逆回転、()()()()で蹴りを放ったのだ


ジャイロ効果(※3)により足場や推進剤噴射を一切必要とせず、3軸任意の回転力を得る

『モーメント・ジェネレーター』、 Auto-Tail の切り札機能


「今度はアタシのターン!」


アタシは転倒したドウギに駆け寄る、格ゲーで言う『起き攻め』


「水月ッ!」


起き上がりざまに放たれる低い斬撃、脚っ払い

軽くジャンプして回避


「跳んだな、竹取ッ!」


脚払いの斬撃のフォロースルーをキャンセルしての逆袈裟の斬り上げ対空技

飛び上がったら着地するまで挙動は変化させられない?

甘い甘い、『モーメントジェネレーター』は慣性の法則も重力すらもある程度捻じ曲げる(※4)秘密兵器


斬撃を見切ると跳び上がった体を強制的に着地させ、右後ろ回し蹴り(ソバット)を放つ


「主の事だ、大方この攻撃も布石なのだろう」


ぶんっ


ドウギは顎を上げ身体を引いて蹴りを回避する


ひゅっ!


空振りした蹴り足の反動を足がかりにするように左の回し蹴りが即頭部を狙う


「見切った! 最初の蹴りは頭部をこの位置へもっていかせるためのフェイントなのだろ」


攻撃を予測していたのか頭部を下げて左の蹴りをも回避する。

両足を共に回避され、無防備に背中を向けてしまう事に


「ざ~んねん、こっちが本命」


ばしぃぃっ!!


左足の軌道に追随させて視線から隠した第三の脚、アダマンタイトの尻尾が後頭部へと巻きつくように当たる


「なっ・・・」


やや波打たせる様に曲げた関節をインパクトの直前に伸ばし、ジャイロ効果による角速度の変化&加速を追加。鞭のようなしなりをもって放たれる一撃

手(?)加減したとはいえ、両手剣より重い約6kgのアダマンタイトの棍棒

側頭部から後頭部にかけて打撃をモロに食らったドウギは白目をむいてうつ伏せに倒れた


「勝負アリ! 勝者、オーリ教官!!」


一礼して剣を納める


・・・ィィィイン


フライホイールのパワーをOFF、Auto-Tail 通常MODEへ移行

『ブレイジング・タービン』ならびに『モーメント・ジェネレータ』

テスト結果は十分過ぎるくらいの及第点

内装のルラクター魔池(マナ・バッテリー)だけでは数分の稼動が限度かな

アタシ自身のマナを使えばもっとブン回せるけどね、

まだまだ使いこなせてるとは言えないけど十分『切り札』の1枚にはなりえる


切り札ってのはね、なけなしの1枚を切るんじゃなくって、人知れず影で量産しておくものなんだよっ



拙い作品をお読みいただきありがとうございます


地球ゴマって知ってます?近年復活したみたいですけど

小さい頃、片方しか支えて無いのに水平を保ったり、回転軸を振ると振った方向と異なる挙動を見せたりと、科学の不思議を体感した思い出が浮かびます


姿勢制御といえば、何かにつけてバーニアをボーボー噴かすのってをよく見かけるけど、ロケットエンジンの売りは最高速であって初速は意外と遅い

必要なのは瞬間的角速度とトルクであって長距離の最高速度じゃないはず

ロケットパ●チはよほどの巨体か距離が取れ無い限り、加速しきる前に当たる事になると思う



【解説】


(※1)狼獣人(ヴォルフェン):文字通り狼の獣人、誤解を受けやすいが狼男(ワーウルフ)獣化呪い(ライカンスロープ)とは別物なので混同してはいけない

月夜限定で能力が変化したり銀製の武器以外が無効といったチートは無い

ただ、狼形態へ姿を変えられる者もいるらしい


(※2)浮き上がり回転を開始する。:要するにこの尻尾は、マナの爆発力を用いたタービンで駆動される『地球ゴマ』を連結した構造になっている。

なお流体軸受けとは、液体や気体で浮かせて直接擦れるところの無い軸受け、磨耗しないので超高速回転にも対応できる。(もっとも素材的に磨り減る事はほとんど無い)


(※3)ジャイロ効果:ジャイロ効果とは以下のような『物理・力学の基礎』である

1:円盤が高速で回転運動をしている間、外部からの力が加わらない限りは回転軸の向きが常に一定不変に保たれる。

2:回転軸にいったん外力を加えると、その加えた力とは直角(垂直)の方向へ回転軸が移動する。


(※4)慣性の法則も重力すらもある程度捻じ曲げる:地球ゴマは水平な軸の片方だけを保持しても重力に抗うように水平のまま回り続ける事が出来る。(あくまで見かけ上)

その状態で軸を左右に振ると、慣性を無視するかのように上下の方向に挙動を見せる。(これも力でねじ伏せている)


具体的に言うと、水平に伸ばした状態の尻尾に右回転(ねじを締める向き)させておいて右へ振ると根元側には持ち上がる力が発生する。実際は単体ジャイロを左右に振るのは保持力が働いて難しいので、逆回転する2機を左右逆に振ることで相殺対応するというアイデア

尻尾フレーム1節に1機あるジャイロタービンは隣り合ったものが逆向きの回転しています


この応用で『モーメント・ジェネレーター』は複数連結されたジャイロの軸を駆動する事により、噴射の反動などを一切使用せずに物理的な駆動力を得る事ができる。

『足場や推進剤噴射を一切必要とせず』と言うところがポイント

なお『モーメント・ジェネレーター』では、ジャイロ効果だけではなくタービン回転の加減速の反動も駆動に使ってます



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『メタもベタも極めてみせるよっ!』


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