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1章-06 黒金の機動要塞だよっ


ファンタジーゲームの世界は戦いの歴史、

初期のRPGは「歩く事」と「戦う事」しかなかったのだよっ

今あるRPGシステムだって戦闘関係がメインを占めているのが何よりの証拠



この世界に来て初めて出会った巨人族(ジャイアント)の戦士、アマドさん

定番過ぎる流れかもしれないけど、練習試合をする羽目になってしまった


スキルランクは1/3に下げてあるし、負けても構わないとは思っている

この世界の中堅冒険者がどれくらい強いのかを確認するんだと自分に言い聞かせムリヤリ納得させる


「僕はこれを使わせてもらうよ」


アマドさんが馬車の荷台から取り出したのは、体格に合わせた真っ黒な巨大な盾と、長い木刀

こちらは黒檀ではなく白木ではあるがとにかく長い、両手剣(ツーハンド・ソード)のサイズだ


「遠慮なんか要らないからね」


向き合ってみると、なんだかとてつもなく不利過ぎるような気がする

身長で2倍以上、剣含めてのリーチは3倍近く違う。多分ウェイトなら10倍以上違うと思う


「それでは、「よろしくおねがいしますっ」」


両者一礼して模擬戦がスタートした


・・・タンクと言うことは、攻撃を受けきって反撃するタイプだろうと思う

だけと初手ガードブレイクは隙が大きすぎて危険過ぎる

とりあえず、仕掛けるなら・・・


アタシは一気に駆け出した、2歩目でトップスピード近くまで加速

ベテランを相手にするのなら、本領を発揮させる前にカタを付けるのがセオリー


ガンッ!


相手の右脇腹へ一太刀斬り付けると、そのまま駆け抜けるように見せ掛けて逆サイドの左側を転がりぬける

剣撃のフォロースルーを転がり回避(アヴォイドロール)でキャンセルして駆け抜け軌道を捻じ曲げた


「やっぱり奇襲してもダメかぁ・・・」


アタシの奇襲はしっかりとシールドでガードされた、ディフェンス後の反撃は来なかった

もっとも回避スキルで転がりぬけているので当たる事は無いのだけど


「なるほど、防御された後の反撃は、こうやって避けるんだね

あの軌道でよけられたら、こっちは自分の盾が邪魔になって反撃できない」


しまったにゃあ、冷静に観察されちゃったか・・・

あまり手の内を知られちゃうと、取れる選択肢が減ってっちゃうんだよね


「こちらからも行かせてもらうよ」


剣撃が飛んでくる、一見ゆったりとしたスイングだけど切っ先はすごく速い、そもそも長さが違う

一撃目の袈裟斬りはサイドステップしてかわす、返す剣が横殴りに襲って来るんで盾で受ける


ディフェンス成功、反射的に剣を振るが届かない・・・ゲームの時とは違う?!


む~・・・リーチの差って大きいにゃあ、戦士が巨漢おっちゃんばかりなのが納得できてきたよ


圧倒的なリーチの差で防戦が続く

剣線が大体判ってきた、全て上段・・・上半身に集中してる・・・まてよ?!

あの巨体、通常のフォームからではアタシの下半身は狙えないのかも

肩の位置が2m近い高さだから小さなアタシの下半身を凪払うには姿勢を低くせざるを得ない

見た目だけで攻撃が予測できるなら、まだ攻め手は十分にある!


バトルっては確率論だ、難なく捌けている攻撃も何かの拍子に手痛い一撃を食らう事はある

ならそのアンラッキーが発生する前に決着を付ける必要がある


向こうだってベテランだ、上段攻撃で固めて下段で勝負をかけて来るのだろう


ならその機を崩す! 勝負に出られる前に仕掛ける!


最上段からの斬り下ろしがくる

アタシは盾を斜め上に掲げてなおも間合いを詰める・・・この盾はフェイント

盾に剣が当たる直前、アヴォイドロール!

普通なら左右に回避する所を直進した

転がるアタシは巨躯の脚の間を抜け所で立ち上がる『狙い通りっ!』


ガンッ!、ガンッ!ガンッ!


一番オーソドックスかつ基本、パワーの乗りやすい中段攻撃三段

でも攻撃の当たっているのは右膝の裏側


ノックバックが発生し、重心の掛かった足が弾かれて滑る


転倒させれば模擬戦の決着は着く


「ぬぅおおぉぉ~っ!」


今まで紳士的だったアマドさんらしからぬ渾身の掛け声

前後開脚の股割り直前状態を剣と盾を支えにギリギリ耐えてる

この状態で鎧の隙間に剣を差し込んだらゲームセットなんだろうけど、それはポリシーに反するので()めときたい

だって、今目の前にある隙間って股関節中央だし、ここを突くのは気分とノリが許さない

武士の情けってヤツ?


アタシはてくてくと歩いて正面まで回り込むと、体勢が整うのを待った


『おもしれェ』


誰かがつぶやいたような気がした

空耳か心の声か・・・でも今は勝負の最中、気にしてはいられない


「貴方の剣は見切ったよっ!

 その巨躯には致命的な死角があるもの、次でひっくり返してあげるわ」


布陣は張った、うまく掛かってくれるといいんだけど・・・

あー作戦の為のブラフとはいえ、嫌みなセリフだぁね


「ベテランの年期、見せてあげよう」


アマドさんが盾を捨てた

地面に倒れ砂埃を巻き上げる盾、どれだけ重いんだろう


両者駆け寄り間合いを詰める

アマドさんの身体から一瞬だけ気合いのオーラの様なものを感じた、経験からすればスキル使用の証、大技が来る!?


先に仕掛けて来たのは向こう


「グランドメレー!」


身を低くかがめての薙ぎ払い、巨体がコマのように大回転する

あのまま突っ込んでたり、回避スキルを使用して転がっていたらホームランされていた

初撃をギリギリ減速してかわし、そこから恐れずに再加速して踏み込む


そう、狙いはここ

二回転目の剣撃に合わせてスキル『カウンター』を発動


『(対象の攻撃力+自分の攻撃力)×ランクによる計数』の火力が一撃に収束されて叩き返される

いかに熟練の戦士でも、防御特化の壁役でも、自身の渾身の一撃を倍化させて返されたらひとたまりもないはず

計算を裏切る事無く巨躯の戦士はその体を宙に浮かせる


チェイス・ストライク(ダウン追い討ち攻撃)!」


反射的にスキルを発動、吹っ飛んだ相手を追うように跳躍する

うわ、これ試合だよね・・・狩りで仕留め損なった時の癖でとどめ用スキル使っちゃヤバい

強制的にスキルを解除、キャンセル間に合った?


黒金の巨体が地面に叩きつけられた直後、アタシの剣はその頭部をかすめ、すぐ脇の地面に突き立てられていた


「・・・ま、まいった」


アマドさんが剣から手を離し降参を宣言する

仰向けに倒れたその胸の上に片膝立てて乗っているアタシと視線が合う・・・気まずい


そそくさと胸の上から降りると剣を収める

うわっちゃ~、やっちゃったよー・・・テンプレ展開

だってフツーありえないでしょ、冒険者にもなってない子供がベテラン戦士倒しちゃうなんて

なんで自重しなかった? なんで勝ちに行った?


「ごめんなさい・・・なんか熱くなっちゃって・・・」


「あ、それ、僕のスキル」


「え?」


「最初の防御、『タウント・ブロック』っていうへイトを高めるタンクスキルなんだ

 君が全力で掛かってきてくれるようにって使ってみたんだけど・・・」


知らないスキルだー、なんかゲームと違うぞー

アタシゃ『術中にはめた』と思いつつも相手の手の内だったんだ、さすがはベテラン


「完全に術中にハマっちゃいましたー、熟練の冒険者は違いますね」


「おいおい、勝ったのはキミの方なんだよ」


「マグレですってー、『窮鼠、猫を噛む』ってヤツです」


よし、この方向で押し通すぞー


「・・・僕は猫に張り倒されたんだけどなぁ」


上からじぃ~っと見つめられる視線、

その先にはアタシのネコミミが、謙虚さのかけらも無く「どやっ」と立ち上がってピクついていた



拙い作品をお読みいただきありがとうございます


ヘイトコントロールスキルに引っかかって自重まったくできてませんでした

どーしましょ

ヘイト管理ってGAMEによってはすごく重要だけど

PVP(対人戦)でヘイトってどーなるんでしょ 


主人公も作者も、有名所の異世界転生作品はハマりきってます、エッセンスがにじみ出るのは意図的です

あ、コノブブンハアノサクヒンノエイキョウダーって探してみるのも1つの楽しみ方かもしれません

(今回のラスト1行は、ネコミミと言えばのあの作品)


ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが

ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです

よろしくお願いいたします!


『メタもベタも極めてみせるよっ!』


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