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サラリーマン、トカゲを拾う

ごく普通のサラリーマンとトカゲ時々ドラゴンが現代の世界で魔物やら何やらと戦ったり日常を満喫したりする現代ファンタジーです。

 俺、竜宮寺 誠(りゅうぐうじ まこと)はいつものように仕事をして、いつものように帰りを待っている愛しいペットの姿を思い浮かべながら今日も帰宅を急いでいた。


 ふと、通りかかった公園から猫の鳴き声が聞こえた。このあたりはペットを飼っている家が多くーーかくいう自分もそうなのだが……動物の声だとかそういったものは別段珍しくはない。

だが、その時は何故だか気になったのだ。


 野良猫かな?となんとなく声の聞こえてきた方へ近付き、見てみるとどうやら野良猫のようだ。しかしよく見てみると何かにじゃれついているような、イタズラしているような…。


「……っ!コラ、やめなさい!」


 あることに気が付いた俺は慌てて猫を追い払う。

逃げて行く猫を見送り、ふーっと息を吐きながら先程猫がいた所に近づいてしゃがむ。

 そして、ボロボロに傷付いた白いトカゲをそっと両手で持ち上げた。


 可哀想に、どうやら野良猫にいじめられていたらしくあちこちの鱗が剥がれたりして傷だらけだ。

 眉をハの字に下げながら指先で撫でてやると少しだけトカゲが身動ぎした。まだ息がある!


 下げていた眉を上げながら、さっと荷物を手に取った俺はいつもより急いで自分の住むマンションへ向かった。




 慌ただしく帰ってきた俺を出迎えたのは美しい青のボディに白と黒の模様がまた素晴らしい60cmほどのオオトカゲ、コバルトツリーモニターのサファイアちゃんだった。


 彼女は普段と違う様子の俺に首を傾げながらもおかえり!とばかりに玄関で待機していた。かわいい、流石俺の天使(マイエンジェル)

 じゃなくて、今は緊急事態だ。

 ただいま、と頭を撫でて足早に自室へ入る。ティッシュを何枚か重ねて机の上に置き、その上に先程拾ったトカゲをそっと乗せた。


「何処にやったっけなー…えーっと、これだ!」


 クローゼットの奥に置いてあった爬虫類用のケースを引っ張り出し、机の上に設置する。

 これはサファイアちゃんが小さかった頃のケースだ。もう本人は大きくなってしまったのでしまっていたのだが、まさかこんな時に役立つとは。

 小さなホットライトと余っていた床材、レイアウト用の小さな木と水飲み容器を入れた俺は完成したケースにうむ。と頷く。


「って、そうじゃない。ちょっと動かすぞー…ごめんな……」


 はたと当初の目的を思いだし、そっとトカゲをケースに入れて一息ついた。

 そして改めて拾ってきたトカゲをじっくり観察すると、暗くて気付かなかったがどうやら尻尾の先へいくほどに白い鱗が綺麗なメタリックブルーになっているのがわかった。


 この特徴を持っているトカゲは一匹しかいない。


「ニホントカゲの子供かな?それにしても白いな…ニホントカゲのアルビノってこうなるのか。初めて見たぞ」


 思わずしげしげと眺めてしまう程には綺麗な色をしていたのだ。俺のサファイアちゃんがこの世で一番綺麗だがな!フフフ…。と頷いていると、ふと大事な事に気が付いた。


 我が家には小型トカゲ用のエサがないのだ。幸いにもなのか、白トカゲは目を固く閉じて微動だにしない。お腹は動いているので生きているのは確実だが、まだ食べる気力はないのかもしれない。


 明日、帰りにコオロギを買ってこよう。そう心の中で呟きリビングへと出た。



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