夢の中の自分。
落ちがホラーっぽいですが、一応ファンタジーでお願いします。
うとうと…
布団を大きく被り、睡魔が来るのをひたすら待ち続けた。
…ようやくやってきた睡魔に、心の中で小さなガッツポーズを作り今日の一日に終わりを告げる。
…がしかし、終わりは訪れなかった。
いつまでたってもこの意識が消えない。
おかしいな?
いつもと違う感覚に妙な違和感を感じながらも、目を閉じ続ける。
…………
ついに違和感に耐えきれなくなり、目を見開いた。
え?
ここは…どこ?
目を開くといつの間にか自分は立っていた。
それに、ここは自分の部屋ではない。
…真っ白。
第一に感じたのがそれだった。見渡して見たが、白。
白、白、白。
いったいここは何処だろう?
「何しに来たんだ?」
後ろから声が聞こえ、振り向いた。
「答えろよ。」
顔はぼやけていてはっきりとは確認できない。
「ん?どうした?」
声、どこかで聞いたことがあるような…。
あれ?この声は…
「あんた、誰?」
そう聞くと、彼は笑い
「おいおい、それをあんたが聞くかい?」
…そう、答えた。
「もしかして…俺?」
「ははは、その通り。あんたは俺で、俺はあんただ。」
奇妙な気分だ。目の前に立っているのは俺。
普段聞き慣れない自分の声。
本当に奇妙だ。
「…なぁ、なんでこっち来た?」
?
…俺が聞きたい。謎の問いに頭が少しおかしくなる。
こっち?
いったいどこを指すのか?
「さあ?わからない。」
そう言うと彼は少し驚いた様子を見せた。
「そうか、なら仕方ないよな…。」
何が?…わからない。
「ここは何処?」
「うーん、そうだなぁ。まあ簡単に言うなら、夢の中だな。」
は?夢?
そうか、きっと眠ってたんだ。あの違和感は夢を見ていたからか。
「俺、そろそろ帰りたいんだけど。」
「え?もうかよ。
せっかく会えたんだから少し話そうじゃないか!」
そう言って彼は話し出す。
俺の過去のこと。
あの時、こうすれば良かったのに。
あの子ともっと親しくしておけば、つき合えたかもしれない。
もっと真面目に勉強すれば、いい生活ができたかもしれないのに。
もっと本気で夢に向かって頑張れば、…叶ったかもしれないのに。
拍子のない話だが、話した事は全て自分の記憶。
今までにこれほどに自分をさらけ出せたことがあっただろうか?
そうか、彼は俺。経験してきたものも同じ。
しばらくの間、他愛のない話で盛り上がった。
彼とはすごく気が合う。
話していて楽しかった。
今までは過去の話で盛り上がっていた。
「それでさぁ、来年こそは…」
「お?…もうこんな時間か。…名残惜しいがサヨナラだな。」
「え?」
まだ…話足りない。もっと話たいことが山ほどある。
「最後に会えて良かったよ。」
「なあ、もう会えないのか?」
少しうつむきながら言った。
「…ああ、もう会えないだろう。
俺と会えるのは、一生に一度きりだ。」
「…そうか。」
「それじゃあな。」
そう言うと彼はスッと姿を消した。
…楽しかった。こんなに馬の会う奴がいるなんて思わなかった。
そんなことを考えているうちに意識は途絶えていた。
・・・・・・・・・・・
朝、目が覚めて仕事の支度をする。
夢の事なんて、ハッキリ覚えている訳はなく、ただ覚えてはいないが、楽しい夢をみたな…としか思わなかった。
身支度を整え、車に乗り会社に向かう。
その道中、とんでもないことが起きた。
何気なく運転していたのだが、急に少女が道路に飛び出してきた。
危ない!ぶつかる!
ハンドルを思いっ切り左にきる。
少女をかわすことができた。
しかし、少女は不適に笑った。
視線を戻すと目の前には電柱。
ガシャーン!
……………。
(ピーポー、ピーポー…)
俺の意識は、永遠に回復することはなかった。
・・・・・・・・・・・
俺とあっちまったのか。
…仕方ないよな。
せめて最後にいい思い出を。
自分の分身。
またの名を、<ドッペルゲンガー>。
彼らとの出会いは気まぐれ。
もしかすると、あなたも出会うかもしれません。
お読み下さって、どうも有難う御座います。
皆さんは、ドッペルゲンガーというものをご存知でしょうか?
出会ってしまうと死んでしまうらしいです。(確か、ぬ〜べ〜でやってました 汗)
その出会い方について私が思ったものを書かせていただきました。
きっと、分身は自分の死を予期して出てくるんじゃないかな?って思ってます。