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彼女はモニターを注視していた。モニター画面に映るその顔はまだ若い。幼さすら感じられる。
肩まで切りそろえられたまっすぐな黒髪に彩られたその顔に緊張が走る。
そしてモニターに映し出された地図に、紅い光点が表れた。
彼女の唇が笑みの形に吊りあがった。それは何の温かみもない笑みだった。
異常事態を伝えるシグナルに、彼女はたたき起こされた。
ゆるくウェーブのついた短い金髪を掻き揚げつつ簡易寝台から這い出すと、あわただしく。横に置いておいた手荷物を片手に現場へと向かった。
彼女が来たとき、すでにそのブロックは閉鎖され、モニターごしにしか現場を確認できない状態だった。
モニター画面の中では確かにあったはずの部屋は跡形もなく爆破されている。
同じようにモニターの前で茫然自失状態の同僚の襟首を掴んだ。
「いったい何があった!?」
やや垂れた目をした、色白の美人。そんな表情をしてもどこかコケッティッシュだが、その容姿とは裏腹に冗談が通じない堅物で有名だ。
「わからない、対象は、一人であのあてがわれた部屋に入った。それからかっきり五分後に、爆発したんだ」
どこか茫然とした表情で閉鎖されたブロックを見ている。
この向こうは宇宙空間だ。おそらく爆破された遺体はすでに周辺に散ってしまっているだろう。
「部屋に爆発物はなかったはずよ」
対象を預かるにあたって、何よりも厳重に室内はそれこそ天井板を引っぺがす勢いでチェック済みだ。
そして、私物に関しても爆発物のチェックは怠っていないはず。
彼女は唇をかんだ。
「中に入れないかしら」
「爆発の影響で気密室が破壊された。宇宙服を持ってこないと」
身体を翻して宇宙服を調達しようとするのを同僚は慌てて止めた。
「おい、まだ安全は確保されていないぞ」
「これだけの規模の爆発よ、爆発物が他にあっても誘爆しないはずないでしょ」
彼女はたたきつけるように叫ぶ。
「まず探査だ、闇雲に飛び出してもたいした成果は上げられないぞ」
宇宙ステーション内での対象ごと爆破、随分と荒っぽいやり口だ。
どこから爆発物を持ち込んだのか、自分の目で検分しなければならない。
流行る彼女を抑えて、周辺の探査機を作動させる。不意に引っかかるものを感じた。
「どうやら、さっきからこちらを探査している誰かがいる」
同僚は目を細めた。
「発信ではなく?」
電波で、遠隔操作で爆発物を爆破したのではないかと確認する。
「いや、探査だ、おそらく確認のために」
「確認?」
「対象が確実に爆破されたかどうかを」
彼女の顔が憤怒に染まる。
「位置把握できるか」
「今割り出す」
同僚は端末を操作する。
「どうやら、ここの反対側のブロック。B3035エリアが怪しい。こちらからの信号を一切受け入れない」
その言葉に、身を翻す。
「そこの端末で、こちらの様子を探ってるわけか」
ここからB3035まで、かなり離れている。自分の足で走っていってもおそらく間に合わない。
エリアごとに配備されている。ボディーソーサーに乗り込んだ。
人一人が乗る円盤状の踏み台と体を支えるためと操作用のバーが取り付けられている代物だ。
最大時速は40キロ。ステーション内ではぎりぎりの速度設定だった。




