表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

帝国の檻

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/05/26

「改めて伝えるが、今日の任務は野営地にいるブライド王国の将軍の暗殺だ。手順としては……」

 

 拳が振り下ろされ、通信端末が砕け散る。

 

「うるせえな。何度も何度も俺を物覚えの悪いジジイだと思ってんのかよ」

 

 青年がイライラした様子で言う。まだ若いがその目は光を吸い込むような暗さをしていた。赤い髪に細身の体。茶色い布切れのような服を着て、服の端からは傷がいくつも見える。

 

 その傍には同年代の女性がいた。白い長髪。顔立ちは整っているが、神経質そうな顔、目元には隈がある。体は細いが筋肉質で、黒いローブを着ていた。

 

 ここは洞窟の外だった。魔法灯が点々と着いた洞窟の入り口には金属の柵が付けられ、二人はそこから出てきたところだった。

 

 太陽が暗闇から出てきた彼らを見下ろしている、二人の首元の赤い金属の首輪が光を反射した。

 

 二人の傍には鎧を着て、剣を腰に佩いた騎士たちが沢山いた。二人からは一定の距離を置き、敵を見るかのように侮蔑的な目をしている。

 

「はあ、外だ外。待ちくたびれたよずっと。なんで外に出してくれるのがこんなにも遅いのかな。それに関して答えるべきじゃない? 私ずっと聞いたよね。なんで答えなかったのかな?」

 

 白い髪の女が騎士に詰め寄る。

 

「離れろ。近寄るんじゃない」

 

 騎士が後ずさりしながらも警告する。

 

「うるさいうるさい! 答えないなら死ね! お前なんかいらないんだから!」

 

 女が突然叫びだし騎士に手をかざす。その手に強力な魔力が集まる。

 

「おい! 『座れ』!」

 

 騎士が手に持った石を掲げ、叫ぶ。

 

「ああ!!!!」

 

 すると女が悲鳴を上げながら地面に座り込んだ。首を絞めつける首輪を両手で抑え、必死に声を出す

 

「いだいいだい。やめてやめてやめて」

 

「なら従え。いいか」

 

「分かった分かった!!」

 

「よし。いいだろう」

 

 すると首輪は緩み、女の身体が弛緩する。

 

「はあ、はあ」

 

 女は息も絶え絶えになり、その場に蹲った。

 

 青年はその光景をイライラした様子で見る。

 

「いつまでやってんだよクソ野郎ども。任務だろ。さっさと終わらせるぞ」

 

 そう言って彼は歩き出す。

 

「おい待て! 勝手に動くな。作戦通りにしろ!」

 

「ああ?」

 

「あ……」

 

「いいか、おい。お前がこの首輪で俺を服従させるならな。解放されたときに直ぐにお前を殺すからな。分かったか」

 

「……はい」

 

「ちっ」

 

 青年はそのまま女や騎士たちを置いて歩き出した。

 

 そして歩きながら呟く。

 

「さっさと任務を終わらせよう。そして檻に戻ってこんな世界忘れよう」

 

 そう決めるのだった。







他の掌編、短編は作者ページへ。気に入ったらブクマ/評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ