Prologue
別サイトで投稿していたプロローグ。
一年前のgdgdっぷりを存分にお楽しみください。←
…自分でもよくわからなくなってきた件(・ω・`)
欠けた月が三つ、藍色の空にぽっかりと浮いている。
包帯の巻かれた右腕を押さえながら、私は****を追った。
何処に行くんだろう。
****は足が速い…ぁ、見失っちゃった…。
むぅ、でも魔力を追えば、遅くても****に辿り着けるはず。
夜のお散歩も悪くない。ゆっくりついていこうかな。
―と、思っていた矢先、****の魔力の波動が消えた。
少し先から、血の臭い。それから、数十の魔力の影。
これは―――…
嫌な予感がして、走り出す。
でも、走って間もなく、体力が尽きて座り込む。
自分の体力の無さを恨む。今度***に鍛えてもらおうかな。
「しょうがない……っ」
立ち上がって、手を空に翳す。
怪我を負ったままの腕が、悲鳴を上げた。
痛みを無視し、魔力を足元に集め、そこに風を起こす。
黒くて長い髪が、足元の風で舞い上がるのを感じ、頃合を見て無言でジャンプ。
「あい・きゃん・ふらい!」なんて言っている場合じゃない。
****が危ないと、本能で感じていた。
地面から飛び立ち、まず上昇。少し経った後、魔翼が背に浮き出てきた。
飴細工のような細い翼。
確認するまでもない。深呼吸をすると、一気に****の向かった方角に飛ぶ。
「****…!」
僅かに残っている****の魔力を肌で感じ、冷や汗をかいた。
飛び立ってから数分、血の臭いが濃くなってきて、下を見た。
目に映ったのは、赤い髪と…鮮血。
「****っ!!!」
声に気づき、****を囲んでいた魔法師は、一斉にこっちを向いた。
皆、黒いローブを羽織っている……昼間の人たちだ。
向こうは一斉に詠唱を始めた。炎、水、氷、大地……属性が多すぎる。
魔法陣が、彼らの足元に溢れ出す。
――何故、攻撃するんだろう。
色とりどりの魔法陣の片隅で、****は呼吸していた……虫の息で。
****の赤い髪は、自身の血で鮮やかさを増していた。
この人たち…****になんてことを…。
そう思ったとき、私の中で何かが音を立てて切れた。
「――――――…」
風を起こす。
光を呼ぶ。
助けなきゃ。
****を、助けなきゃ…!
「 」
幾つもの光の筋が、私を包んだ。
ズキン、と右腕が叫び声をあげる。傷口から、血が滲み出てきたことが解る。
でも、詠唱は止めなかった。
「 」
魔法師から、数万はある数の魔法が同時に放たれる。
しかしそれは、光の筋が一つずつ包み込み、光となって消えた。
怯まずに、第二弾。炎が、私を襲おうとした。
…そう、この時。
この時、私の魔法は成立した。
空中に浮いたまま、手を祈るように握り締める。
背にあった魔翼が消え、金色に輝く光の粉となり、辺りを一瞬明るくした。
その一瞬の後――――…
――真っ暗。
何も、見えない。
何も、映らない。
闇の中で一人。
ここは…?
「**!」
誰かが呼んでる。ううん、叫んでいるみたい。
誰が?誰を?
「**!!」
聞こえないよ。聞き取れない…。
誰を呼んでいるの?
何も見えない…彼方は誰?
―耳鳴りがする。
私は、何で此処に居るんだっけ…。
…苦しい。
怖い…。
此処から出して。お願い、出して…!
誰か…!
「**!!!」