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脳内お花畑の親友さん

「はぁ……モテたい」


「既に美女侍らせてるギルマス殿がなにいってるんだ?」


そう切実に呟いたギルマスであり、俺の親友でもあるミモリに対して突っ込みを入れる。ミモリはこのゲーム、【WORLD ORDER】で俺の入っている【HAIZIN】というギルドのマスターをしている。といってもやる事はほぼ普通のプレイヤーと変わらないが。今ではこうやってたまに酒(子供用)を飲んで愚痴を言い合う仲だ。


「前から言ってるけど、ボクが目指すモテとはハルキ……君のような人物だよ?」


「は?非モテな俺への宣戦布告か?いいぜ外来いぶちのめす。あとハルキって呼ぶな。ここではサンドだ」


「勝てないからやだね。普通にモテてると思うけどなぁ。告白された回数は?」


「0」


「デートに行った回数は?」


「クエストでたまたま2人になったときを除けば0」


「……手を繋いだ回数は」


「0」


だんだんと顔がひきつっていく勇者を見ながら己の傷を癒すべく酒をあおる。少し大きい声だったのか、周りから同情の視線が集まる。


「これでも一応、Sランクのプレイヤーなんだけどな……」


「マスターこの店で一番高い酒を彼にッ!」


「それいらないから同じ値段分ビールくれ」


「あいよ」


「『ファントム』……あんたも苦労してんだな」


「妻子持ちに慰められる気持ちは?」


「全員まとめてぶっ飛ばす……!」


俺の傷を代償として酒場に笑顔が広がった。こいつらマジで……!


「それで?僕に相談ってどうしたの?……じゃなくて、どしたん話聞こか?」


「言い直す必要ないだろ……。気になる女がいる」


パリーンといろんな場所から皿の割れる音がする。厨房からも。はっ倒すぞ。


「へ、へぇ~?相手は?」


「(【Arthur Night】の『剣聖』レイラ)」


俺はミモリにだけ聴こえるような声で告げる。『剣聖』レイラは神威というスキルを使う、プレイヤーで一番の剣士だ。美人で器量も良く、人望も厚い。


「あの人かぁ……僕苦手だなぁ」


「好き嫌いは人それぞれだからな。で、告白しようと思うんだ」


「は?今の関係は?」


「たまにゲームで挨拶するくらい」


「当たって粉々に砕けてこい」


こいつを粉々にしてやりたい。


「悪寒が……まあいいや。デートどころかリアルで顔合わせもしてないのに論外でしょ」


「でもお前が持ってきた……まんが?ではこういう感じだったぞ?」


「漫画って、あれはセンシティブなコンテンツだからそうなだけであって普通の漫画は大体デートしてるから!」


「普通にエロ漫画って言えよ。いつも言ってるじゃん」


「黙りなさい!」


平手打ちしようとした手を転移スキルで避ける。


「いやここは食らえよ……」


「攻撃されるのわかっててタンク以外が避けないとか馬鹿か?」


「これだから廃人はさぁ……なんか世知辛だな。しゃーない、僕が三種の神器をやろう」


廃人はお前もだろ。…そう言って取り出したのは三冊の本のリンク。


「なになに……【人妻女騎士と寝とられえすいーえっくす】、【転生したので女騎士を分からせる】、【女騎士さんと純愛えっちする本】……全部エロ漫画じゃねーか!」


「大丈夫!最初の以外は純愛物だ!」


そこじゃないだろ!?二つ目はグレースレスレだし!?


「……とりあえず読んでくるわ。また明日」


「おー……」


ゲームの電源を落とし、早速読むことにする。一冊目、【人妻女騎士と寝とられえすいーえっくす】から読むか。


数分後


よし、次の読もう。あれは鬼畜にもほどがある。何で夫の前でおっ始めるんだよ……。【転生したので女騎士を分からせる】、これにするか。


数十分後


「ぐすっ……ひくっ……!」


なんていい話なんだ……!まさか主人公の転生した理由がヒロイン(分からせ女騎士)を助けるためだったなんて……!そして唐突にヒロインからもたらされる最初から好きだった発言。それも最後のシーンが性交ではなく指輪をはめた手が絡み合っているシーンとは……すぐにでも一般漫画化するべきだろ。最後、【女騎士さんと純愛えっちする本】。


数分後


……なんと言うか、その、読む順番を間違えた。幸せないい話だったけど、順番を間違えた俺が悪い。


次の日、俺はミモリに感想を言っていた。


「てな感じだった」


「純愛分からせ気に入り過ぎだろ……」


「というかやっぱり全部最初にデートなかったぞ?」


「…すまん、これは僕が悪い」


「じゃあ告白してくる」


「あぁマジでいくのね……。後で続編貸してあげる」


「おう」


いざレイラの元へ!

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