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常に進化し続ける、流行最先端の案内人

現実世界:渋谷ダンジョン


「さあ、今日も賑やかな一日が始まるわね!みんな、どこへ行くのかしら?迷子にならないようにね!」


渋谷ダンジョンは、そう言いながら、ハチ公前のスクランブル交差点を見下ろす。彼女の身体は、いくつもの高層ビルが聳え立ち、その周りを含めて常に新しいショップやカルチャーが生まれる、単なる商業ビルや地下街、商店街に納まりきらない、まさにダンジョンと呼ぶに相応しい存在だ。地上にも地下にも車や人が溢れ、縦横につながる道は彼女の血管のように、大勢の人が乗降する複数の路線は体内を巡る神経網のように張り巡らされている。スクランブル交差点にひしめく人々は、彼女の体内を巡る最も強いエネルギー源のひとつであり、その活気こそが彼女の生命力なのだ。


彼女の日常は、常に変化と刺激に満ちている。朝から晩まで、いや、夜中まで、途切れることのない人々の流れ、聞こえてくる様々な言語、流行の音楽、そして生まれては消えていくトレンド。その全てが、彼女にとっての「活力」であり、「栄養」なのだ。


「あら、そのファッション、最先端じゃない!どこで手に入れたのかしら?私も真似してみようかしら。」


「へえ、あのカフェ、新しいメニューが出たのね!今度行ってみようかしら。あっ、でもその前に、こっちの期間限定スイーツも捨てがたいわね!」


彼女は、流行に敏感で、常に新しいものを追い求めている。ファッション、音楽、グルメ、アート……あらゆるジャンルの最先端を自らの体内に取り込み、そしてまた新しい文化を外へと発信していく。彼女の体内にいる「モンスター」たちは、流行の先端をいくファッショニスタ、インフルエンサー、そして若き起業家たちだ。彼らは、常に新しいものを生み出し、渋谷ダンジョンの活気を保つために一役買っている。


彼女の喜びは、人々が彼女の中で新しい発見をし、楽しんでいる姿を見ることだ。初めて渋谷を訪れた観光客が、その規模とエネルギーに圧倒される姿。若者たちが、流行のショップで買い物を楽しみ、カフェで語り合う姿。ストリートミュージシャンが、道行く人々を魅了する姿。その一つ一つが、彼女にとっては何よりの喜びなのだ。


彼女の真価は、訪れる人を戸惑わせる空想のダンジョンも顔負けの迷路だ。


「あれ?この道、この前まで通れたじゃない……。もう!どこ通ればいいのよ!」


彼女の身体は、現在も工事や再開発によって姿を変えている。道が突然封鎖されたり、新しいビルが建設されたり、地下通路が増えたり……。そのため、昨日まで通れた道が通れなくなっていたり、新しい道が生まれたりするのは日常茶飯事だ。しかし、それは決して意地悪からくるものではない。彼女は、人々が変化に適応し、新しい道を探し出す「対応力」を身につけることを望んでいるのだ。


そして、彼女には、明確な「ゴール」などは存在しない。渋谷ダンジョンの成長にも終わりはない。彼女は常に進化し続け、新しい自分へと生まれ変わっていく。しかし、あえて言うならば、彼女の最大の「見どころ」は、スクランブル交差点に集まる人々のエネルギー、そして、その中心にあるハチ公像だろう。


「さあ、行ってらっしゃい!またいつでも、私に会いに来てちょうだい!次に来る時には、もっと素敵な私になっているはずだから!」


それぞれの一日を終え、それぞれの人々がそれぞれの場所へと帰っていくのを見送ると、彼女は満面の笑みを浮かべる。彼女にとって、人々との出会いと別れは、永遠に続く終わりなき物語なのだ。彼女のあちらこちらの姿は、人々の心に残り、また渋谷を訪れたいという気持ちを駆り立てる。


しかし、時にはこんなことも。


「ちょっと、そこのキミ!そんなところにへんなもの置いていかないでよ!私の身体を汚さないでちょうだい!」


「あらあら、酔いつぶれちゃったの?だからってそんなところで寝ちゃダメよ。どんなことになっても責任取れないわよ!」


たまに、ポイ捨てをする不届き者や、飲んだくれて道端で蹲る人々を目にして、思わずため息をついてしまうことがある。そんな時は、少しだけ彼女の身体を流れるエネルギーが淀むが、それもすぐに新しい活気によって浄化されていく。


「はぁ……。まあ、それもまた人間だから仕方ないことなのかしらね。」


彼女の日常は、ひたすら「変化」と「受容」の繰り返しだった。しかし、その根底には、限りない好奇心と、未来への願いが込められていた。彼女は知っていた。人々が彼女の中で新しい自分を見つけ、成長し、そしてまた新しい文化を創造していくことを。


その日のために、彼女は今日も体内を行き交う人々を眺め続ける。彼女は、単なる街ではない。彼女は、常に人々を魅了し、新しい時代を切り開く「流行最先端の案内人」なのだ。時折、ビルの谷間を吹き抜ける風が、彼女の新しい創造を世界へと運んでいく。


そして、また一人、彼女を訪れる者がいる。渋谷ダンジョンは、今日も静かに、しかし温かく受け入れるのだ。


「さあ、存分に私を見て回りなさい。あなたの知らない『新しい何か』が、きっとここにはあるから。」


これは、常に進化し続ける都市の中で、多くの人々が新しい自分を見つけ、物語を紡いでいく、とある街の、とある日常である。その名は「渋谷ダンジョン」。流行の最先端を走り続け、人々を魅了し続ける、永遠のファッショニスタだ。


名称:渋谷ダンジョン

所在地:東京都渋谷区

知名度:★★★★★

来訪者数:測定不能

リピート率:★★★★☆

見どころ:スクランブル交差点、ハチ公像、明日への神話、etc.


どうか哀れな筆者にリアクションのお恵みを (人ω<`;)

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