【第7話】可愛ければ非常識でも好きになってくれますか?
「十二星道、星瞳、傷刻⋯⋯〈破滅〉──」
「やっぱり、まず気になるのはその辺りだよね」
どうやらこの宇宙には十二星道なるものがあるらしく、そこそこ有名な話らしい。私が知らないなら大したことでもないだろうと思っていたが、全然そんなことはなかった。
「この“特定の星道に傾くと瞳孔に模様が現れる”って文章、まんま今のロゼだよ」
「うん。でも、その前段階の“星傷”っていう模様が出てない」
この本によると、星瞳が現れるより先に身体のどこかに特殊な傷が刻まれるらしい。
「分かるのかい? 出てるとか出てないとか」
「まだ確かめてないけど、無い気がする」
「星瞳には気付かなかったじゃないか」
「⋯⋯確かめればいいんでしょ、確かめれば」
と、私は魔法衣を脱ぎ始める。
「ち、ちょっと待って。ここで確認する気?」
「そうだけど。だってアストが文句言うから」
「いや、別に文句を言った訳じゃ⋯⋯一旦確かめるのは後にして、先に本を読んじゃおうよ」
「んー、たしかにそうした方が良さそう」
隣でなぜか胸を撫で下ろしているアストをよそに、私は更に本を読み進める。
「──これ、気になる」
「⋯⋯〈権能者〉、それに〈星権者〉⋯⋯か」
「アストみたいな名前」
「残念だけど、まったくの無関係だよ」
〈権能者〉──これは、一般的に星傷を持つ者のこと指す。
星傷を持つ者は、常人の十倍近くの“世界への影響力”を持っているため、“世界を干渉することができる”という意味を込めてそう呼ばれる⋯⋯らしい(参考元、本)。
〈星権者〉──これは、一般的に星瞳を持つ者のことを指す。
星瞳を持つ者は、権能者の数百倍の“影響力”を持っており、規格外の存在。これまで、各星道に数人ずつしか確認されていない⋯⋯らしい(参考元、本)。
「この影響力っていうのは、戦闘力とは別の話なのかな」
「戦闘力“も”含めた話だと思う。そうじゃないと、あの強さはおかしい」
私は、あの仮面の男を思い浮かべる。しかし、癪なのですぐに思い沈める。
「というか、これが本当なら──ロゼ、君は星権者ってことになるんだけど」
「意外かもしれないけど、心当たりはない」
「そうだろうね」
それからしばらく本のページをめくるだけの時間が続く。
「⋯⋯これくらい?」
「一旦、気になるのはそれくらいかな」
「分かった」
私はパタン、と本を閉じる。
「その本の著者は外の人みたいだし、書かれたのも外⋯⋯それなのに、一体どうしてここにあるんだろうね」
「さあ。落ちてきたとかじゃない」
「ロゼじゃないんだから」
言いつつ、アストは立ち上がる。本を元にあった場所へ返しに行くらしい。
「⋯⋯」
私は静かに服を脱ぎ始める。
感覚では、私に星傷なんてものはない。でも、星瞳の件もあったし⋯⋯あまり私の感覚は信用できない。
だから、実際に確認するのが一番早い────。
「──ちょっと待ったあああっ!!」
「なに、すごくうるさい⋯⋯」
アストは全速力でこちらに駆け寄ると流れるように私を小脇に抱え、素早く図書館の出入り口へと向かった。
「お騒がせしましたーっ!!」




