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星の涯 〜魔法を失くした魔法使い〜  作者: ねひつじ
一章 ■■■編

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【第10話】客観的極悪人。


 「これ?」


「うーん⋯⋯多分、それだね」


 私はその場にかがむと、白い花を2本ほど摘み取った。


「どうやらその花は、傷を瞬時に癒す薬に使われるそうだよ」


 と、手に持っている本を見ながらそう言うアスト。

 ちなみにその本は、薬草採取に向けて図書館から借りてきたもの。


「ポーション」


「おお、正解。よく知ってるね」


「私の生まれた世界にも似たようなものがあった」


「それにしても傷を瞬時に癒すって、すごい技術だよね」


「魔法でも同じようなことはできる」


 治癒魔法──習得はそこそこ難しいけど、その有用性から多くの魔法使いが習得している魔法。


「あはは、魔法って何でもできるね。逆に、魔法にできないことってあるのかい?」


「──⋯⋯」


 私は、言葉を発そうと開いた口を、すぐに閉じた。


 そして再び、ゆっくりと開く。


「────ある。魔法は万能だけど、全能じゃないから」


 そう言って、私は立ち上がる。


「いこう」


 これでいい。

 ()()は、アストに話すことじゃないから。


「訳アリっぽいね」


「⋯⋯そういうのは普通、思っても言わない。デリカシーない」


「もしかしたら言ってくれるかなって」


 先を進む私の後ろを着いてくるアスト。腰には剣の収まった鞘が提げられている。


「言わない」


「絶対?」


「絶対」


「残念。それじゃあこの話は()()()()だね」


「⋯⋯」



● ■ ●



 「順調すぎやしないかい? 結局、その魔物とやらは一度も見なかったし」


「良いこと」


「まあ、それはそうなんだけど⋯⋯何か引っかかるんだよね」


「⋯ん、私も気にはなってる」


 門番さんに初めて会ったとき、門番さんは“魔物の活動が活発になっている”って言ってた。だけど、私たちからすると寧ろ超沈静。


 私たちの運が良いだけという可能性も捨てきれない。


「というかいつの間にか僕たち、列車の近くまで来てたんだね」


「私がそう歩いてたから」


 目当ての薬草も目的数採集し終えたので、ついでに寄ってみる。


「おお、さすが」


 もしかすると、丁度助けが来てるかもしれない────、


「い、いたぞっ!!」


 ────なんて私の考えは、次に聞こえてきたそのセリフによって掻き消される。



「〈破滅〉の星権者(アストラ)だ! 気を抜くな!!」


 列車の前には、二十名弱の人間が群がっていた。その一人がこちらに気付くや否や、そう声をあげたのだ。


「⋯⋯」


 それが、私を指しているのは分かる。


「そこのお方、今すぐその少女から離れてくださいっ!!」


「ま、待ってくれ! 君たちは何か勘違いを────」


 アストの言葉は少しも届いていない。


 その証拠に、既に私たち⋯⋯いや、私を包囲するよう陣形を広げ始めている。


「すごい嫌われよう」


 極悪人になった気分。



「──横にいる男は絶対に傷付けるな。あの星権者は生け捕りにしろ。〈破滅〉の星権者⋯⋯殺したら何が起こるか分からない」


 ざわざわとした集団の中から、低く冷静な声が一つ。


「はいっ!!」


 その人物こそ、この集団のリーダーであることは自明。


「うーん──」


「どうしようロゼ。彼ら、聞く耳を持ってないよ」


 この状況から、私たちが得ることができる最善の結果は────。



「────私に、作戦がある」


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