【第9話】喧嘩するほど仲が良い。
「登録手続きは以上になります! 依頼はあちらの掲示板にございますので、依頼書を私のもとまで持っていただければ受注できますよ!」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
私は冒険者ギルドの受付嬢さんにお辞儀をした。
「君って意外と礼儀正しいよね」
「それ、失礼」
「君と僕の仲じゃないか」
「親しき仲にも礼儀あり」
「親しい仲なのは認めるんだね──うぐっ!」
ドスッ、と杖で軽くどつく。
ということで現在、私達は冒険者ギルドに訪れていた。理由は単純明快、お金が欲しいから。それも、今すぐ。
この勝手の分からない世界だと、自分のペースで進められる冒険者ぐらいが丁度いい。
「どれにする」
私のような身長の人にはギリギリ配慮されていないような位置にある掲示板を見上げる。一番上とか、普通に手が届かない。
「できれば武力は使わない方向で行きたいね。それは、最終手段だ」
掲示板には多種多様な依頼が掲載されている。魔物の討伐から薬草の採取、街の清掃依頼なんかもある。
「掃除する?」
「それでもいいけど、僕は街の外に出たいな」
「危ないよ」
「個人的に少し気になることがあってね⋯⋯もちろん、ロゼは街に残ってくれていいよ」
「違う。私はアストの心配を──⋯⋯」
「え?」
「⋯⋯いや、いいや。何でもない」
「ええっ、気になるよ!」
私はこれ見よがしに「はあ」と軽くため息を吐き、掲示板から薬草採取の依頼書をはがした。
「行くなら一緒に行こう」
「そ、そうかい? 君がいいならいいけど⋯⋯」
そういうわけで、私とアストは街の外へ向かうことにした。
◯ ● ▲
「よかったね、剣」
「本当にね。何か返せたらいいんだけど⋯⋯」
街を出た私達は、すぐに例の門番さんに引き留められた。
何やら「剣も持たずに外へ出るのは危ない」とのことで、予備の剣を貸してもらったのだ。ごもっとも。
「アストって剣振れるの」
「僕ってそんなに非力に見えるのかい? これでも人並み⋯⋯いや、人並み以上には剣を扱える自信があるよ」
「珍しく自信アリ。期待できそう」
「実は僕、故郷では剣術を習っていたんだ。といっても、ほぼ強制みたいなものだったんだけど」
「言われてみれば、ぽい」
何となく、只者じゃなさそうだなとは思ってた。なんか感性がおかしいし⋯⋯。
「⋯⋯なんだかとても失礼なことを言われている気がするよ」
「私とアストの仲」
「親しき仲にも礼儀あり、だろう?」
「違う、親しくないから失礼でもいいの」
「最悪だっ!!」




