【第8話】非常識だけど、思慮深い?
「まったく⋯⋯ロゼ、君には常識ってものがないのかい?」
「列車に置いてきた」
「⋯⋯」
「冗談」
「⋯⋯ああ、良かった。今からあの場所まで取りに戻ろうかと思ったよ」
図書館を飛び出して数分、人目に付かない場所まで運ばれようやく解放されたかと思えば、早速説教をかまされた。
「でも聞いて、アスト。服を脱いで注意されたことは、今までない」
「君がどんな世紀末じみた世界を旅してきたのかは知らないけれど⋯⋯いいかいロゼ。それは恐らく、君の行動があまりに奇妙だから誰も関わりたがらなかっただけだよ」
すごい言われてる。
「星傷はなさそう?」
「うん、なさそうだね」
「ほら、言ったでしょ」
言いながら、私は服を着る。
「うーん⋯⋯それじゃあ今のロゼは少し特殊な状態にあるってことだ。星傷を飛ばして星瞳だけが現れてるっていう」
「星傷がなくても特に困らないし、別にいいんじゃない。これもどうせアイツのせい」
アイツとはもちろん、例のアイツ。
「それじゃあ、ロゼの状態についてはひとまず保留にしようか」
「ん、保留」
アストの手を借りつつ、魔法衣まで完璧に着終える私。
「結局、最後まで読んでもこの世界の発展具合については分からず仕舞いだったし、これからどうしようか」
アストの言葉に、私は軽く首を振る。
「もし外の世界との交流があったら、もっと関連する本が見つかったはず。だから、平均的なルドス星系の発展具合って考えていいと思う」
図書館に寄ったのは、外に関する資料があってもなくても判断材料になりうるから。
何となく外との交流がないのは街の雰囲気で分かっていたし、十二星道や星傷についての収穫があったのは嬉しい誤算だった。
「たしかに⋯⋯」
「そういえば────」
私は、空を見上げる。
「────ステラターミナルの人たちは、いつ助けに来るの」
「⋯⋯?」
「考えてもみて。ステラターミナルを出発したルドス星系を走るあの列車は、墜落してるんだよ。それも、予測不能の緊急事態のせいで」
突如として現れた、あの男の手によって────。
「ああっ、そうか!」
「普通に考えて、救助に来ないのはおかしい」
ステラターミナルの技術力があれば、この星の座標がルドス星系の最果てでもない限りすぐに救助に来れるはず。
それこそ、私がダウンしてる間に来ていてもおかしくはない。
「この星に来れない理由があるのか⋯⋯?」
「かも。それか、今頃列車にいるかだね」
ステラターミナルが列車が走らせているのはあくまでも大人数を安心安全(認めてない)に運べるからで、星間を移動する手段はいくらでも持ってるだろうし。
「それじゃあ、僕たちはこれから列車のとこに戻るってことでいいのかな」
「お金が稼げるならこの街に滞在してもいい。定期的に戻ればいいだけだから」
「お金を稼ぐ方法かあ⋯⋯」
「うん。出来れば、すぐに貰えるやつがいい」
「都合よくあるかな、そんなの」
「⋯⋯あ」
私はこの世界について、ある職業のことを思い出す。
この世界ではそこそこ一般的で、私が以前いた世界ではすぐにお金が貰える、いわば日雇いのような職業────。
「────アストって、戦える?」




