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ブルーライトニング 改訂版 第94章

 昼過ぎに、瑞穂が訪ねてきた。

「良かった。元気そうね」

「ごめんね、今日は」

 ベッドから半身を起こしている玲子の手に、瑞穂は手を添えた。

「いいのよ。疲れていたのよ。マルスのこと、心配だったんでしょ」

「ええ、あとから考えれば何を悩んでいたんだろうと思うけどね」

 瑞穂の手が、玲子の頬を軽くたたく。

「そんなこと、考えても仕方がない。だって、結果論だもの」

 部屋の外からマルスの元気な声がする。

「お姉ちゃん、瑞穂お姉ちゃん、お茶とお菓子持ってきたよ」

 マルスがお盆にお茶とお菓子をのせて部屋に入ってきた。

「ありがとう、マルス」といって、玲子はベッドの端に座り直した。

 玲子と瑞穂はカップを手に持ち、思い思いに口にする。マルスは玲子の横にちょこんと座って、玲子と瑞穂を代わる代わる笑顔で見つめている。

「マルスはほんとに玲子が好きなんだね」と瑞穂が言った。

「うん、大好き。瑞穂お姉ちゃんも好きだよ。守君も、恵ちゃんもみんな好き」

 そんな思いを抱いて、テロに寝返った防衛軍の攻撃からシティを守ったのだろう。そう思うと、瑞穂もマルスのことが愛おしい。

(だから、マルスはメタロイドじゃなく、アンドロイドなのか)と瑞穂は思う。ソレイユも玲子や瑞穂を守ってくれた。人との絆があるからこそ、守ってくれたのだろう。それから、ソレイユやレナも。

「これからも、マルスとはデートしたいな。できる?」と瑞穂が聞くと、

「うん、たまにはお休みもらえるから」とマルスは笑顔で答える。

 玲子がにこやかに

「今から、二人でデートに行ってきたら」と笑って言うが、瑞穂は、

「また、そんなことを・・・ 私は玲子とも話がしたいの。マルスとのデートはまた今度」

 玲子はふふっと笑う。そんな笑顔も素敵だと瑞穂は思う。やはり玲子には笑っていてほしい。

「あっ、そういえば、トリオとも話をしたいな。呼べる?」と瑞穂が言った。

「マルス、トリオを呼んで」

「はい」としばしマルスは無言になる。口をつぐみ、声を発しないマルスを見て、玲子は(データリンクで呼んでるな)と思った。人間なら声で伝えるが、ロボット同士は無言で呼び合い、伝え合う。程なく、トリオが顔を出す。

「呼んだ? お姉ちゃん」

「瑞穂がトリオとも話をしたいんだって」と玲子が言うと、トリオは瑞穂の前の床に座る。人懐っこいのがマルスに似ていると瑞穂は思った。

「なに、瑞穂お姉ちゃん」

「今度のデートはマルスとトリオを誘おう」と瑞穂が言うと、

「ん?」とトリオは首をかしげる。

 マルスはそんなトリオに語りかける。

「瑞穂お姉ちゃんはね、トリオも一緒に、みんなで遊びに行こうと言っているんだよ」

「うん、いいよ。お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒ならぼくも行く」

 瑞穂はなんとなくお兄ちゃんと言う言葉が最初に来たのが引っかかった。トリオは一番マルスが好きなんだなと察した。玲子を見ると、そんなトリオにも優しいまなざしを向けている。(私はこんな玲子が見たかったんだ)と瑞穂は思い至る。瑞穂のことや、ソレイユのことを大切にしているのに、どこか、空虚な雰囲気を持っていた玲子は、ここにはいない。瑞穂のカップが揺れる。(良かった、ほんとに良かった)と瑞穂は思わずうれし涙がこぼれそうになって、慌てて言った。

「やっぱり、みんなでテニスもしたいね。また、やろうよ」

「そうね、楽しいだろうな」と玲子も返した。

「マルスもトリオもいい?」

「うん」とマルスとトリオはそろって頷いた。


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