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ブルーライトニング 改訂版 第75章

 週末、瑞穂の家が営む喫茶店で、ささやかなパーティーが開かれた。招かれたのはソレイユのはずだったが、彼女の死は外部には伏せられているため、代わりにレナが姿を見せていた。

 レナはソレイユと瓜二つの外見を持ち、声も記憶も受け継いでいる。そのため、外見だけでは誰も見分けがつかない。


 参加者は主催の瑞穂と玲子、高野恵とユリ、マイクとメアリの兄妹、そして守とマルス。 「ソレイユ!」とメアリが無邪気に抱きつくと、レナは優しく抱き返した。

「いつも元気だね、メアリ」

 その声はまさしくソレイユそのもの。玲子と瑞穂は内心驚いたが、他の人々は疑うことなく、ソレイユとの再会を喜んでいた。


 テーブルには香り高い紅茶や、ジュースと甘いケーキが並び、会話は自然と弾む。

「ソレイユはシティには住まないの?」とメアリが尋ねる。

「私はシティを守ることに専念したいの。だから住むことはないけれど、こうして休みの日にみんなと会えると嬉しいわ」


 恵が話題を広げる。

「最近、ソレイユモデルがリースされているって聞いたけど、あれは何?」

「私そっくりの家庭用アンドロイドなの。もうシティには何人かいるのよ」

「そのソレイユも強いの?」

「だいたいユリちゃんくらいね。家庭用だから十分なの」


(それって、ソレイユ並みってことね)と玲子が心の中で突っ込む。

 ソレイユの能力は、すでに一般家庭用のアンドロイドにも浸透していた。なぜなら、身近な人間を守るというのがソレイユのコンセプトであり、ソレイユは本来、軍用ではないからだ。


 玲子の視線の先に、笑みを浮かべる瑞穂がいる。瑞穂は大分はしゃいでいる。

「街のあちこちにソレイユがいたら、ありがたみが薄れるんじゃない?」

「私はいいと思う。妹たちが人々を守ってくれるなら、それで幸せなの」

 そんな言葉が玲子の心を和ませた。


 メアリは目を輝かせる。

「ソレイユがいっぱいになって、みんなを守ってくれるんだね!」

 その笑顔に、店内の空気はさらにやわらぎ、誰もが心地よい安心感に包まれる。


 ソレイユの死を知る玲子と瑞穂は、秘密を抱える後ろめたさを感じながらも、レナがソレイユとして受け入れられていることに安堵していた。一方で、(ソレイユにしては快活な印象を与えるな)と玲子は感じていた。口調がやや明るく、長年付き合いがある玲子には違和感があった。記憶を受け継いでいるだけで、人格をコピーできないと小母の上原に聞かされていたので、それは仕方が無いと思っていた。だが、ほとんどソレイユに会ってこなかったメアリたちにわかることではない。

 

 そんな話をしていたら、今度は何かスポーツをやろうという話になった。お茶だけでは物足りないというのだ。

「前みたいにテニスをやろうよ」と恵が言い出す。

「どこでやる?」と瑞穂が言うとレナが

「土日なら、ダグラス社の社員用コートが開いているし、私も休みが取れるけど」

「じゃあ、ソレイユにあわせてダグラス社でやろうか。どう? 早速、来週、やらない?」

 皆が賛同するなか、マイクだけが残念そうに、

「俺はちょっと先約があってだめだな。メアリ、一人でダグラス家にいけるか?」

 メアリは元気に、

「大丈夫だよ。わたし、行きたい!」

「じゃあ、決行ね!」と早速、瑞穂が締める。

 レナは笑みを浮かべて、

「これからは、みんなといっぱい会えるので、うれしいな」

 玲子の胸がきゅっと痛む。ソレイユは皆と会うことを、ずっと願っていたのだろうか。瑞穂を誘ったように、メアリもちゃんと誘っておけば良かったと、玲子は後悔していた。


 そんな玲子の思いに気づかぬまま、また、みんなで集まろうと約束して、パーティはお開きになった。

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