4話「聖剣を手に! しかし悲劇が……!」
「君は勇者だ! おおうっ!」
教会で儀式を行ってもらった結果、エルローアである俺は『勇者』になれたぞ。
実感は湧かないが、なんか嬉しいぞ。
「おめでたいぜ。そして勇者さま、これより聖剣を引き抜いてみせろよ」
教会を出て、神父さんの後をついていくと広場の中心に、剣が突き刺さった台が見えてきた。
神父は会釈して「どうぞ」と催促された。
俺はゴクッと息を飲んで聖剣の前へ立つ。他の人もぞろぞろ囲んできて緊張に包まれる。
ガシッと聖剣の柄を両手で握り締めて引き抜こうとする。硬い。
神父さんは「ひひひ……。聖剣は代償を払って、始めて真価を発揮するぜ。心して抜けよ。勇者くん」と厳粛に告げてきた。
それにしても引き抜けねぇ、しっかり刺さっていて一ミリも動かねぇ……。
更に力を込める。
「エル、だいじょーぶ?」
側に来たリミアも心配そうだ。
「へへ、大丈夫だ! 絶対引き抜くからな!」
「がんばって!」
ぐぐぐぐ……、力を加算して引き抜いていると、僅かに聖剣が抜けていく感覚を感じる。
ズズン!!
周囲が震え、聖剣の台を中心に亀裂が走っていく。ビシビシビシッ!
広がる亀裂は留まる事を知らず粉塵が吹き出てくる。
野次馬で集まっていた人々はドヨドヨと戸惑っていく。
「これが聖剣の力……?」
「魔王を倒せると言われているんだ!」
「こりゃマジで本物の聖剣か!」
「おい、抜けるかも知んねぇぞ!」
「数百年も抜けなかったって言うしな……」
「見ろ! 抜けていく……」
「おお!」
今まで抜けなかったという聖剣が抜かれるか、と注目した。
「う……うおおおおおおおおっ!!!」
更に力を倍加させて引き抜くと、聖剣が上へと動いた気がした。
ズズッ!!
なんと聖剣の台を中心に大地が隆起してベキベキベキッと亀裂が大きく広がり、それは国中へ侵食していったぞ。
裂けていく亀裂が大きくなっていって、人々が「ウワ~」と落ちていく。
建物も次々と倒壊してガラガラ……。
「何が起きている!?」
「魔王の襲撃か!?」
「見ろ! 亀裂が……!!」
「なにっ!? う、うわああああああ!!」
王国騎士は慌てふためく。まるで魔王が襲ってきたかのようだ。
しかし裂けていく亀裂になすすべもなく「ウワ~」と落ちていったぞ。ついに城にも亀裂が及び、ガラガラと倒壊していって四三〇人もいる王子と姫は体を損傷破壊され、魂がドンと飛び上がって、あの世へ『昇天』した──。
幸いシステムで助かったようだ。(助かってない)
「がんばれー!! エルーっ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおーっ!!」
リミアの応援に後押しされて思いっきり引き抜いた!!
すると眩い閃光が爆ぜた! カッ!
陽リアス王国、リア充爆発!!
各国にも余波で地鳴りがズズズズッと響き、烈風がブオオオオオオオッと吹き荒れていって、人々に戸惑いを招いた。
「魔王の襲撃か……ッ!?」
「な、なんという……凄まじい威力!!」
「一体何が起きたというのだ!?」
「むう……!」
「あっち、陽リアス王国の方向ではないか!?」
「まさか!! 魔王がッ!!?」
陽リアス王国方向からキノコ雲が天高く昇っていて、空震と地響きがしばらく続いた。
それにより世界中の人々は絶望に包まれていく。
「……これが魔王アカバンスの……恐怖!」
ズズズズズズ……ンッ!!
エルローアは聖剣を掲げたまま、無傷で耐えたリミアとともに呆然……。
周囲は甚大な破壊によるデコボコの無残な荒野と化していた。シュウウ……。
「あ……ああ…………!」
「うそ…………!!」
人の影すらもない。跡形もなく消し飛んでしまったのだ。
国はおろか俺の両親もリミア(無傷)の両親もみんな犠牲になったのだ。聖剣による犠牲にな……。
あまりにも代償が重すぎる……。なんという事だ…………。
「魔王め! この聖剣エクスタシバーでやっつけてやるッ!!」
それでもエルローアは憤怒に燃えて、魔王打倒を誓った……。
あとがき
イラストの使い回しが多いって? そーだよ!
描くのめんどくさくなって、使い回してたんだよ!
(謎の逆ギレ)
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(定番のテンプレ)
GT