5話「魔王アカバンスの脅威!」
聖剣を(尋常じゃない怪力で)引き抜いた事によって、陽リアス国はリア充爆発した。
あまりにも代償が重すぎた……。
一つの岩山の影からガラガラとガレキをどかして一人の人間が「うう……」と這い出してきた。
このように運が良かったり、事前に防御魔法で耐え切った人が、あちこちで点在していた。
それらの目は見開き、上空へと見上げた……。
《ふははははははははッ!! コイツが聖剣を抜いた勇者か!》
エルローアもリミアもゾクッと声がした方へ見上げると、渦巻く暗雲からモゴモゴと巨大な黒い顔が象られていく。
世にも恐ろしいものだと、生き残った人々はガタガタ震えていく。
「何者だよ! てめぇっ!!」
《ワシは魔王アカバンス! 人族が長年積み重ねてきた全てを無に帰す存在よ……!》
凄まじい威圧が吹き荒れてきて、エルローアも膝がガクガクしていく。
リミアはなぜかスンッとしていた。
《きさまらも、消し飛んだ国の元へ帰してやろう!!》
黒い稲光が迸ってバチバチッと降り注いできて、エルローアは必死に聖剣を振るって散らし続けた。
周囲に落雷して、あちこちドガンドガン破壊を撒き散らす。
まだ魔王は本気じゃないだろうが、凄まじい攻撃力だ。
やがて黒い稲光を弾ききれず、エルローアは直撃を受けて地面を無様に滑っていく。
「ぐああっ!!」
リミアが「エル!!」と叫びながら駆け寄る。
しかし、無数の稲光が殺到してバババババババンと爆破の連鎖を重ねていった。
悲痛にもエルローアとリミアは呑まれた。
《ふはははははははっ!! 大した勇者ではなかったか!》
満足してスゥ──────と薄れて消えてしまったぞ。早計すぎる。
立ち込めていた煙幕が晴れていくと服がボロボロのエルローアとリミアが「くくっ」と這い上がっていく。
ポロンとミリアのちっぱいが露呈されていたが、見る余裕もない。
小さくてもぷるんぷるん揺れている。
「ち……ちくしょう……全然敵わなかった……」
「そうだね。この国を滅ぼすほどの魔王だもの。アイツがいる限り世界に平穏は来ないよ」
「陽リアス国の仇だ……! 魔王打倒やってやるッ!!」
なんか責任転嫁してる気がしないでもないが、魔王打倒の信念を抱いたのであった。
そして生き残った僅かな人々は世界中へ散って、魔王の脅威を語った。
「陽リアス国は魔王アカバンスによって滅ぼされた!!」ド ン!
天界で陽リアス国の死人が何百万人もぞろぞろと並んでいた。
閻魔大王の城の外側でも遠くまで並ぶほどの人数で、死人の裁判官であるエンマ大王は不眠不休で仕事をし続けて過労死す────……。
あの世でも、普通に死ぬんだ………………。
あとがき
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(定番のテンプレ)
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