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祭典 準備

レギレン王国には、旧統治国であったベレニグ王国の慣習が色濃く残っている。

その一つが誕生会(たんじょうえ)である。

4月8日に行われる祭りで、7歳、12歳、18歳、20歳になった人を祝う祭である。

誕生会で祝われた子は、社会的地位が変化する。

7歳の子は、世間へのお披露目会になる。

12歳の子は、忌み名の取り外しをする。

18歳の子は、労働をする権利を得る。

そして20歳の子は、子供から大人へと変わる成人の儀が行われる。

この日は、国内各地の村、町で祭りや儀式が開かれ多くの子供が祝われる。


この祭りは、ベレニグ王国、初代王の子を祝うために作られた祭りが元になっている。

そのためレギレン王国だけではなく、旧ベレニグ王国領にある国では一般的になっている祭りである。

この日のみは戦争が一時休戦になるほど影響力を持つ祭りでもある。


そして、私は今年で7歳になった。

私も誕生会で祝われる歳になったのである。

王位継承権第1位の私が7歳になると言うこと、それは王太子候補が初めて公式の場で姿を現すと言うことである。

そのことで、国内は大いに盛り上がっていた。

ある漁師たちは、

「次期王に国を任せられるのか」

と国政について話している。

また、ある商人たちは、

「我々の経済力で、次期王を取り組んで政治の世界へ足を踏み入れてやろう」

と腹黒いことを話している。

そして都の女性たちは、

「あの美しいアマブレ様の御子息様はどのような容姿なのでしょう」

と外見のことを話している。

それまでに王太子候補の誕生会は影響力があると言うことなのだ。

また、王太子候補の誕生会は経済効果も凄まじく国内の屋台の数が例年の1.5倍に膨れ上がっているそうである。


今年の誕生会は、レギレン王国で大いに盛り上がるのであった。



誕生会3日前

私は、とても緊張していた。

なぜなら、世話役のものや、官僚が私を世間に出しても舐められないように豪華絢爛な服や装飾を用意しているからだ。

金銀財宝が埋められた服をみて

(これを壊したらどれくらいするんだろう…)

などと言う、お金の話が頭を埋め尽くしている。

どうにかして、この贅沢を尽くしたような服を着るのは辞めたい。


(父と話してなんとかやめさせてもらいたいな。)

と保身的なことを考え、父のいる官邸へと向かった。


「おとうさーん!」

と官邸前で叫ぶと、父の側近の官僚の一人で私を小さい頃から面倒を見てくれているエルダさんが

「王子、本日はどうしたんですか。」

と言い、官邸内からやってきた。

エルダさんに対し父に相談事があると伝えると

「陛下は現在多忙なため、私でよかったら相談乗りますよ」

と言ってくれた。

多分、父が仕事をしている最中にくるなと遠回しに言っているのだろう。

しかし、そんなことで帰る私ではない。

まずは、エルダさんを納得させないと前進しなさそうなため、相談をすることにした。


「えっとね、誕生会のことなんだけど僕自身、あんな豪華なものをつけて誕生会に出たくないんだ。」

と私が言うとすると、すかさず

「それはどうしてですか。」

と聞いてきた。

「王族の最も大切な宝は、民であるよね。

その民から税をもらって僕たち生かしてもらっているわけじゃん?

民の税で生かしてもらいながら、民の税であんな輝かしいものを着るなんてなんかおこがましいと思うんだ。

僕たち王家は、民の上に立って民を導く力を持っているよね。

でも、民を守ために民の上に立っているだけであって、民を苦しませるために上に立っているわけではないと思うんだ。

だから、あんな民からもらった税を無駄にしたようなものを身につけて誕生会に出たくないんだ。」

と言うと、エルダさんはうんうんと強くうなずき、

「王子のお考えに大変感服いたしました。私個人としては、その意見に賛成します。しかし、この誕生会は陛下の采配が多く含まれております。私からも、陛下に助言は致しますが最終的な話し合いは陛下と王子自身でやっていいただかないといけません。陛下は、今から20分後に30分の休憩時間があります。そこで話し合われてはいかがでしょうか。」

それに対し私は大きく頷いた。


(よし、なんとか納得させることができた。次は、お父さんか。)


父の執務室に来ていた。

父とエルダさんが話している。


「失礼します。少々陛下のお時間をいただきたいのですがよろしいでしょうか。」

「うん。いいよ。どうしたんだい。」

「アセロ王子が陛下に相談事があるそうです。」

「え…今アセロが来てるの。」

「はい。」

「なんでもっと早くに言ってくれなかったの。」

「執務中でありましたから。」

「そんなのアセロに比べたらどーでもいいよ。アセロが来たこと伝えてくれたら迎えに行けたのに…」

「これを見越して、陛下には合わせなかったのです。」


なぜエルダさんが、父に合わせたくなかったのかを理解できた瞬間だった。

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