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逢魔時パーキングエリア  作者: 鷹鷺狸夜
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高速道路を泳ぐ鮫

 遠方の友人へ会いに行った帰路。

 深夜に高速道路を走行中、見慣れない看板を発見した。

 数字や記号が並ぶ看板ばかりの高速道路で、それは明かりが少ない状態でも存在感を放っており、目を引く。黒と黄色のストライプを基調に、中央にシルエットと文言が書いてある。

 その文言を確認した時、私は誰かがいたずらで設置したのだろうと判断した。


(鮫出没注意)


 と書かれていたからだ。

 実に馬鹿馬鹿しいが、少し面白いじゃないか。高速道路に1番似合わないと言っても過言ではないかもしれない。

 いったいどこから持っきたのだろうか。ドライバーの目を引くということで、質の褒められるいたずらではないが、SNSなどにあげてみたら注目を集めるかもしれない。

 などと俗物的に考えている最中。

 車の後方から大きな音が聞こえ、同時に強い衝撃が走る。

 ――なんだ、追突された?

 特にペースを落としてもいなかったが、もしかすると後ろの車があの看板に注意を引かれて操作を誤ったのか。

 とりあえず、エアバックは作動していないようだ。

 程度や状態を確認する為、アクセルを緩めハザードボタンに手を伸ばす。そして、バックミラーを確認しようとすると。

 今度は正面に大きな音と衝撃が走る。

 慌てて正面に向き直ると、そこには目を疑う光景が拡がっていた。


「……嘘だろう?」


 有り得ない。

 そう考える脳と相反し、私の目には大きな口を開けながらこちらへ突進する、巨大な鮫が映っていた。

 ギリギリでハンドルを切りなんとか直撃を避けたものの、尾がガラスに当たり大きなヒビが入る。

 しまった。後ろの車は。

 慌てて再度バックミラーを確認すると、なんとそこに車は映っていなかった。

 じゃあ、最初の衝撃はなんなんだ?

 確認するため窓の外へ目をやると、そこにはまたもや信じられない光景が。

 車が通っても大丈夫なほど頑丈に作られているアスファルトが、モコモコと隆起しては復元するという異様な現象。

 やばい。おそらくさっきの鮫が通っている跡だ。

 既に道路に生息する鮫を目の当たりにしていた私は、迷わずそう直感した。

 アクセルを思い切り踏み込み、猛スピードで発進する。もはやこれしかこの場をやり過ごす方法が思いつかなかった。

 結果、タイヤの寿命をかなり消耗させたことと、ガラス3つのヒビや割れを代償に、なんとか事なきを得ることが出来た。


 その後、下道に降りてすぐにドライブレコーダーを確認した。

 しかしそこには、私が見た看板や鮫の姿、隆起したアスファルトは一切映っていない。

 いきなり時間差でガラスにヒビが入ったり割れていくという、狙撃でもされたか、心霊現象としか思えない映像が残されているのみだった。

 ある意味これはこれで、バズる映像かもしれないが。

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