表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逢魔時パーキングエリア  作者: 鷹鷺狸夜
3/42

夢のマイホーム

 初めてその夢を見たのは、ちょうど仕事で物件に関わり、将来私も家が持てたらなぁ、などと漠然と考えた日だった。

 真っ白な外壁、洋風の2階建て。

 日当たりが良く、広いルーフバルコニー完備のまさに理想を体現したような家。

 夢から覚めた後も興奮は冷めやらないほど素晴らしい構造で、将来家を建てるなら絶対これに似せようと思ったほどだ。

 そこから決まって毎週火曜日、この家の夢を見続けた。

 最初は1つも無かった物や家具が夢を見る度に追加されていき、それらは全て私の趣味嗜好に合う最高の逸品達だった。

 大きな暖炉、大理石の浴槽、陽を浴び燦燦と輝くステンドグラス。現実的に考えて実現が困難な物も見当たったが、夢で味わう分には全く問題ない。


 と、思っていたのだが。


 しばらくして結婚した夫が、一念発起し会社を興したことで、私達夫婦は家を建てるのに潤沢な資金を手に入れることが出来た。

 夫とは例の夢を見ている期間、既に付き合っていたので私の理想の家を知っている。

 是非、それに沿った家を建てようと提案してくれた。

 私は理想は理想、現実は普通の家でいいと何度も断ったが、付き合っていた頃から理想を知っていた夫は、本当に私の夢に出てきた家とほぼ同じものを建ててくれた。

 家が完成し、家具が増えていく。


 その度に私は、とても恐ろしくなった。


 当初夫に1つだけ、不気味過ぎて伝えていないことがあったからだ。

 ある火曜日を境に家の夢は見なくなった、までは話したのだが、その日最後に増えたもの。

 それは私の理想の家に全く似つかわしくなく、唯一理想とは無縁のもの。

 真っ黒な仏壇だった。

 ここまで夢の通りに進むのなら。


 おそらく、私はいつかの火曜日に死ぬのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ