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第一話

 おっさんと女子高生のラブコメになる予定です。

 ラブコメが何なのか、よくわかってないけど書いていきます。

 よろしくお願いします。

 夏。

 期末試験の結果が廊下に張り出されるようになったころ。

 年々暑くなってきてマジでヤバい。

 運動部の顧問とかやってなくて良かった。


 一年二組。

 俺が担任をしているクラスだ。

 ちなみに、このクラスの補講該当者は一名だった。

 普通科である一年一組から四組までの補講該当者も一名。


 ヤバいじゃん。

 ヤバいじゃん、本当に。

 俺が担任するクラスでしか補講該当者が出てないじゃん。 

 学年主任に怒られちゃうじゃん、俺が。


「来ねぇなぁ‥‥」


 黒板に寄りかかり、天井のシミを数えながらつぶやいた。

 放課後の教室で、補講の準備をして待っていた俺は三十分ほど待ちぼうけをくらっていた。

 放課後のHRでも補講に該当している、問題の生徒の目を見て「この後、この教室で、補講を行います。該当者は残るように」と伝えたはずだ。

 名指しで伝えちゃったりすると後でPTAなんかが怖いからね。


 でも職員室に教材を取りに行って、教室に戻ってきたっけ、あいつ居ないんだもんな。

 トイレかな?とか思って三十分も待ってたけど、これ、あれだろ、帰っただろ、これ。


「んもぉー!勘弁してよぉー!」


 黒板消しをウィーンってやる騒音の中、俺は叫んでみる。

 てか、いい年したおっさんなのに「んもぉー!」とか言っちゃった。

 なかなか出さないよ、この歳で、こんな情けない声は。


 補講該当者も一人ってことで、補講期間中の放課後にプリントの問題を解いてもらって、最終日に行う小テストで六割以上とってもらうだけなのよ。

 それをクリアしてもらうだけで、夏休み中も学校に来なくてもいいって言ってんのに、何で初日からサボるのかな、あの子は。


 そもそも俺は今日どうしたらいいんだ。

 帰っていい?

 先生もね、別に学校とか好きじゃないから、帰っていいんだったら帰りたいよ?

 早く帰ってさぁ、自分の担当科目の小テストの採点とかしながらさぁ、推しのVtuberの動画とか見てたいのさ。


 とりあえず教室の外に出てみた。

 廊下を見渡すが生徒の姿はない。

 体育館や校庭から聞こえる運動部員の声と、どこかの教室から聞こえる楽器の音を聞きながら廊下を歩く。


「ヤニでも吸ってくるかぁ」


 先生だって人間だから、毎日、生徒とこうして戦うのって疲れるのよ。

 日中はコーヒーばっか飲んでるし、隙あらば煙草だって吸うし、家に帰ったらストロングゼロしか飲んでない。

 カフェインとニコチンとアルコールに依存して生きてる。

 どれか一つでも欠けると、夜は寝られないし、日中なんて手が震えるんだ。


 それでもね。

 先生は頑張って毎日教壇に立って、生徒たちに勉強を教えるんだ。

 お給料のためにね。


 校舎と体育館の間の狭い通路にやってきた俺は、煙草に火をつける。

 本来であれば敷地内は全面禁煙なので見つかったら引くほど叱られるだろうが今の俺には関係ない。

 イライラしてるからね。

 見つかったときには土下座でも何でもするよ。

 靴だって舐められるさ。


 補講に来なかった生徒への明日以降の指導の仕方を考えながら煙草をくゆらせる。


「あーあ、どうしよっかなぁ‥‥」

「何をどうするんですか?」


 俺のつぶやきに、どこからか返事が聞こえる。

 急いで煙草の火を消して声の主を探す。

 すると声の主は、校舎側の窓から俺を見下ろしていた。


「先生、うちって全面禁煙ですよ」

「すみませんね。そんな君は今日は補講のはずなんだけどね」


 喫煙を見つかったのは、補講該当者の女子生徒。

 これじゃ放課後の教室に居なかったことを怒れない。

 いや、怒れないことはないけどね、怒りづらいよね。


「ちょっと探しものしてて、教室から出ちゃってました」

「探しもの?職員室に届けられてないか確認したのか?」

「あー、そういうんじゃないんですよね」


 どういうんじゃないの。

 俺は今年になって初めて担任クラスを持たせてもらった新人に毛が生えたような教師だが、流石に目の前の女子生徒が俺を舐めていることくらいわかる。


「あのなぁ、君は中間期末とテストの結果がボロボロだったんだから補講に呼ばれてるんだよ。このまま成績不振で留年だとかになったら困るのは君なんだからね」


 嘘だよ!

 君が留年とかすると先生だって困るんだよ!評価が下がっちゃうからね!

 評価が下がると来年以降、クラス担任から外されたりするしね!

 クラス担任から外されるとね!お給料とかね!また変わってくるからね!


 正直、クラス担任なんてダルいから、やらなくていいならやりたくないとすら思っているが頼む。

 空気を読んで「明日からは補講に出ます」と言ってくれ。

 そして本当に補講に出てきて小テストで六割以上とってくれ。


「先生って、子ども嫌いですよね」

「何でそんなふうに思った?いやいや、そんなことないさ。先生は子どもが好きだから教員免許をとったんだぞ」


 嘘だよ!

 先生は子ども嫌いだね!何考えてるかわからなくて行動が読めないから怖い!

 大学時代に記念になるかな、くらいのテンションで教育実習に行って、そのまま何となく教師になっちゃったよ!


「子どもって割りとそういうの敏感なんで、みんな知ってますよ」

「はぁ‥‥」


 テンパって「はぁ‥‥」としか言えなかった。

 喫煙を見つかったうえ、生徒たちから子ども嫌いの教師だと思われている。


 もうダメだ。

 総合格闘技だったらマウント取られてボコボコにされてるみたいな状況だ。

 いよいよ補講に遅刻したことを怒りづらくなってきた。


「あの、それで、何を探してるんだったかな」


 先生は逃げるぞ。

 君のクラス担任は、逃げられることからは全力で逃げる男だ。

 できるだけ話を逸らして有耶無耶にし、とりあえず君には補講に来てもらう。


「学校の七不思議って、あるじゃないですか」

「はぁ‥‥」


 また「はぁ‥‥」としか言えなかった。

 何、この子、何の話しようとしてるの?

 初めてラブコメを書きます。

 今まで妄想することもあまりありませんでした。

 妄想の中でもすぐにフラれるので。

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