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テーマ詩集:天体望遠鏡

THE NAKED EARTH

作者: 歌川 詩季

 なにもかも、ほうり出したくなるときもあります。

 半分は青空で 半分は夜空だ

 朝焼けと夕焼けで 赤い環をつくったら

 ふたつを(つな)いだよ


 この惑星(ほし)が 空に包まれてから

 どれくらいの年月が 歳月が 星霜(せいそう)

 どれくらいの世紀が 時代が そして歴史が


 流れ落ちたのだろう

 積み重ねられたのだろう

 刻まれたその(あと)さえも 過去になったのだろう


 そんな永いこと 空にくるまれていた惑星(ほし)

 もう いいかげん

 脱ぎ捨てて ()き出しになりたいなんて

 思ったのなら それはしかたがない


 ほんのちょっとの裂け目をみつけて

 爪を立ててやれば ほら

 ぷるんって めくれて

 ()き出しの地球が 虚空(こくう)にころがる



 太陽と月の出来レースに さよなら

 日替わりの雲のロールシャッハ・テストにも さよなら

 骨董(こっとう)品のプラネタリウムにだって さよなら


 

 ()き出しの地球は 虚空(こくう)にころがる

 空にくるまれていたのを 脱ぎ捨てたら

 こんどは (うつ)ろが 惑星(ほし)を覆い尽くす番だった


 こんなのが欲しかったわけじゃない

 青空と夜空に 半分こされてるのと

 からっぽのなかに ぽっかりと浮いてるのと

 二択から選んだ そんなつもりもない


 脱ぎ捨てた空をさがしたら

 しわくちゃのまま ほったらかしにされてた

 ずいぶんと大きくひらいてしまった裂け目に

 すがりつく気持ちで もぐりこんだけど

 空は かつてとおなじようには

 惑星(ほし)をくるんではくれなかった

 ごわごわした着心地をがまんして

 また なじむのを待つなら

 ひょっとして いつか もとどおり

 空は惑星(ほし)をくるんでくれるのかもしれない

 そんな 淡い期待で あまったれのご都合主義で

 地球は 脱ぎ捨てたしわくちゃな空にもぐりこむ



 空と


 虚空と


 二択を選ばされたときづいた地球は


 太陽と月の出来レースを

 日替わりの雲のロールシャッハ・テストを

 骨董(こっとう)品のプラネタリウムをだって


 ほんとは ちょっとうんざりしながら

 楽しんでやろうって そんなふうに思うようになってた



 朝焼けと夕焼けでつくられた 赤い環で

 (つな)がれたふたつの空

 青空と夜空に 半分こされた惑星(ほし)

 空にくるまれることを 選んだ惑星(ほし)


 また永い年月を 歳月を 星霜(せいそう)

 また永い世紀を 時代を そして歴史を


 脱ぎ捨てて ()き出しになりたいなんて そんな考えが

 また頭ををもたげることもあるだろうけど


 空にくるまれて 永い年月を 歳月を 星霜(せいそう)

 空にくるまれて 永い世紀を 時代を そして歴史を

 めんどくさいよね。

 大切だとしても。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵な自然のテーマの作品ありがとうございます。 剥むき出しの地球!迫力があります。
[一言] タイトルも中身もとても好きです! 壮大な作品ですね。 太陽と月の出来レース、日替わりの雲のロールシャッハ・テスト、骨董品のプラネタリウムとワーディングが絶妙で非常に印象的でした。 惑星もそん…
[一言] 歌川詩季様が美しい情景描写の紡いでいらっしゃる と、ほんわかしてみていたら そんなに甘くなかった 環境に優しく、 地球に優しく、 そんなキャッチコピーは それこそ人類が nakedな頃まで…
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