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3話

ルシアから魔法や礼儀作法を教えてもらう日々を過ごしながら宮殿内をパトロールという名の散歩していた。

まだ、僕は宮廷魔導師としては実質見習いみたいな物なので教えを受ける以外にパトロールなどの雑用もしている。

まぁ宮殿内で何か起きたりする訳もなく、ルシアからの熱烈なスキンシップから解放される貴重な心休まる時だった。

中庭に差し掛かった時、子供がまるで迷子になったかのように辺りを見渡しながら彷徨っていた。


「どうしたんだい?こんな所で」


声を掛けてからびっくりした。

恐らく10歳にも満たない女の子だろうに、溢れ出る気品や、身なりの良さがただの子供ではないと思わせた。


「貴方を探していたの……ルシアと仲良くなった男の子がいるときいて」


どうやら僕を探しているようだ。


「君は誰だい?」


「私はメアリー・アリア・メイベル。この国の王女よ」


王女と聞いて素直に信じれるぐらいにはその子は可愛らしかった。

髪色は銀色のショートカットで胸どころか全体的にスラリとしている。

ルシアが宝石のようなら王女は見るものを惑わす花のような可憐さがあった。


「それで僕を探してたのは何故?」


「私と結婚して頂きたいの…私には貴方がいいの。私やルシアのような醜い人を嫌わない人って貴方以外見たことないもの」


「ごめんね。僕はまだ子供だし、好きな人もいるから君と結婚はできないんだ。」


相手は王女様だし、僕は当たり障りなく断ろうと考えた。


「どうして…?好きな人ってルシア……?私と結婚した方が幸せにしてあげるよ?立場も私の方が上だし、なんでもお願いきいてあげれるよ?」


「確かにルシアとは仲が良いけど…別に好きって訳じゃ…」


「ふぅん。そう……わかったわ。また来るね……次は逃がさないから覚悟していてね?」


そう言って立ち去る王女に僕はなぜか目が離せなかった。

王女が立ち去った後、僕は慌ててパトロールを再開するのであった。



パトロールが終わり、自室にて休んでいた所にルシアがやってきた。


「トニーお疲れさま!」


「ありがとうございます。でもいつも通りですよ?」


「今日はちょっと違うでしょ?」


「なんのことでしょうか…?」


「はぐらかすなんて悪い子ね。ほぉ〜ら、正直に言っちゃいなさい?」


「実は……」


僕は先程の事を話すとルシアの顔がだんだんと笑顔になっていった。


「そう、やっぱりそうなったわよね。」


「どういうことですか?」


「ごめんなさい、何でもないわ。それよりその王女様には注意しておいた方が良いかもしれないわね。私のトニーを取られたらたまったものじゃないもの」


「別に僕はルシアの物ってわけじゃ…」


「えぇ、わかっているわ。今はまだ……ね。もしその時が来たとしても絶対に渡したりしないから安心して?」


そう言いながらルシアは僕の頭を撫でて抱きしめてくる。


「はい……」


「いいこいいこ」


そう言って今度は頬ずりしてくる。


「あの、ルシアさんそろそろ離れてくれませんか?」


「ダーメ!トニーに私の匂い付けておくの!」


「あの、流石に恥ずかしいので……」


「えへへ、照れてるトニー可愛い!」


こうして僕は夜通しルシアにスキンシップされ続け、次の日寝不足になりながら公務をこなすのだった。

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