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世界一の魔女になりたくて  作者: 銀楠
魔女ウルティアの復活
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入寮①

主人公の名前はロウェル・シモンズ

共和国の出身なのにイギリス姓という致命的な設定ミスに気がついてしまいました

まあ名前を変える予定はないのですが…

あまり気にしないで読んでください

 


「良く来たね後輩たち。私は三年の寮長、ウィステリア・エヴァンズだ」


 階段を優雅に降りてくる彼女の言葉を私達は黙って傾聴する。


「寮内は基本的に教員でも立ち入れないことになっているから、マクミラン先生に変わって私が説明させてもよ」


 全員の注目を浴びる中、ミス・エヴァンズは緊張の欠片もないように言葉を続けた。


「色々説明しないといけないけど、まずは寮長の説明から。寮長は各学年に一人、全員で三人居る学年の代表のことだ。伝統で、三年の寮長が寮全体の代表をすることになっている」


 ミス・エヴァンズの話がそこで一度区切りを迎えると、またミス・カサンドラが手を挙げる。


「エヴァンズ先輩」

「ウィステリアで良いよ。赤髪の君、名前は?」

「エミリー・カサンドラです」

「ああ、カサンドラ卿の……で、どうかしたのかなエミリー」

「では、寮長とはどのように決めるものなのでしょう?」


 ミス・エヴァンズはそう問われることが分かっていたかのように笑ってみせた。

 そして、答える。


「勿論、選挙だよ」


 その言葉に新入生の半分程が顔を明るくし、半分程がその逆の反応をした。

 つまり共和国の出身は喜び、王国の出身は肩を落としたのだ。

 そんな新入生の反応にミス・エヴァンズは困ったように苦笑いしている。


「まあ、こればかりは民主制を取らざるを得ないからね…」

「その通りですわ。集団の代表は、全員の総意で決めるものです」


 と、ミス・カサンドラは何故か胸を張った。

 その様子を見て、私は肘でクラウをつつく。


「どうした?」

「…私、ミス・カサンドラは苦手かもしれません」

「そうかい。気が合うね」


 良い悪いの話なら、良い娘なのだと思う。

 礼儀は正しいし品性もある。育ちが良いだけあって気品というものが備わっているのだ。

 しかしちょっとだけ思考に偏りがあるようにも思う。

 そういう人は少し苦手だった。

 そしてそのミス・カサンドラがまた手を挙げる。


「ウィステリア先輩」

「またどうかしたのかな、エミリー」

「その寮長はいつ決めるのでしょうか?」

「二年と三年は学年始めの日に、一年はまだ顔を合わせたばかりだから一月(ひとつき)後に決めることになっている。寮長をやると卒業後色々有利だから、是非やると良いよ。勿論、選ばれなければならないけどね」


 そう言った瞬間、ミス・エヴァンズの視線が私の方を向いた…気がした。

 クラウが肘でつついてくる。


「なんですか?」

「今ウィステリア先輩、ロウェルのこと見なかった?」

「私もそう感じました。気が合いますね」

「もしかして知り合い?」

「いえ…エヴァンズ卿といえば共和国の有名な議員の名前ですが、面識はありませんね」


 知り合いの可能性を検討しようとして気が付いた。

 そんな訳がない、ということに。

 しかし、先の彼女の視線はどうも気になるというか、引っ掛かるものがあった。


「さて話を戻すけど、次は寮内での注意事項だ。ルールを破ると罰もあるから厳守するように」


 その後、ミス・エヴァンズは寮生活における注意点とルールを幾つか私達に言い聞かせ、最後に部屋割りの紙を全員に配って退場していった。


「ロウェルはどの部屋だった?」

「あ、まだ見てませんでした」


 半分に折られた羊皮紙を開く。


「獅子寮の102…ですね」

「おっ、じゃあ私と同室だね。ラッキーラッキー」


 談話室には左右に階段が続いていて、獅子寮は右側。ちなみに、反対は鳳凰寮というらしい。

 談話室に集っていた私達はそれぞれの紙の指示の下に左右へ別れていった。







「広いですね」

「ああ、思ってたよりは快適だ」


 私とクラウは各々のトランクを置きながらそう言った。

 物理的にも広い部屋だが、窓から雲海が見えるのもあってかなり広く感じる。


「さて、早速荷解(にほど)きをしますか」

「まあ、私もそうしたいところだけど…」

「何か問題でも?」

「いやほらさ、クローゼットも棚も共有じゃん? ちゃんと振り分けておかないとさ」

「ああ、確かに…」


 物が混ざったり失くなったりしては面倒だ。


「けどその前に…」

「ええ、もう一人を待たなければなりませんね」


 この寮は全て三人部屋。

 つまり私とクラウ、そしてもう一人同居人が居るということだ。

 その人が揃わないと寮生活の諸々を決めることができない。

 可能なら気が合う人が良い。

 もしもミス・カサンドラだったら目も当てられない。


 噂をすれば影というか、丁度そんなことを考えていると部屋の扉が開いた。

 そして三人目の同居人が入ってくる。


「おや、君は…」

「………」

「えっ…あっ……えと、あの…」


 三人目の彼女は先程の大きな杖と大きなお胸を携えた白髪の少女だった。

 大きなトランクを持って立ち尽くし、私達の顔を見ておどおどとしている。あまりコミュニケーションが得意なタイプではないのだろう。


「そんなところに立っていてもなんですし、入ってはどうですか? えっと………」


 そういえば、彼女の名前を聞きそびれていた。何と呼べば良いのかが分からない。

 そしてどうも、クラウも同じ事を考えていたらしい。


「そうだ、まずは自己紹介をしよう。これから三年間苦楽を共にすることになるんだからね」


 

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