白鬼の自白(末)
白鬼が語る...様々な【末】について
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
場所はまた鬼無町にある純喫茶【桃太郎】に戻る。
コーヒーの香りが漂う静かな店の中に、二人の男性が座って話をしている。
外見からにしては外国籍の男性2人には見えなくもないが、二人共の顔立ちが南アジア出身の人だと分かったとしても...片方の肌色は白く、少し違和感を感じさせる。
そこで、肌がより白い方の男はグラスに残っている緑色のメロンソーダを見ながら、スプーンで残っているアイスを口まで運ぼうとしたとき、突然動きが止まった。
自分は自ら伝承の羅刹の参謀だと説明しながら、白鬼と名乗った男はただ今、突然表情が険しくなった。
それを見た相手、ヴィシュヌ神の化身でありながら、暗黒時代に現れると言われた救世主的な存在の師となる斧を持つ者、パラシュラーマ...又の名はラジャンという現世の名前を持つ男はその異変に気づき、思わずに問いかけた。
「何があったのでしょうか?」
「いや...参ったな...この能力は制御できると思ったのですが、さすがに重要な見所には映画のDVDみたいに早送りとかスキップができませんね...私がすでに未来で分かったことの一つはまさに現在進行形として物事が動いています。」という冗談のように軽い口調で話したが、話の内容は全く軽くなかった。
白鬼という名の男は痛そうに自分の目を手で抑えながら、次のように言い始めた。
「さっき私はあなたの息子たちに会うことは今のやるべきことだと言いましたが、残念ながら私たちが彼らと会える前に先客が現れたようです。」
「先客というのはまさか...」と何か悟ったかのようにラジャンの名をしている男は質問を口にしてしまった。
「はい...魔王の末裔はあなたの息子、羅亜夢と接近中です。しかし、安心してください。隣には敏腕ボディガードが付いていますので、たぶん危害までは及ばないと思います。一方、駱くんはとりあえず大丈夫ですかね。隣にいる方は大丈夫じゃないようですが...」と自分の眼で見えた光景を直接に説明しながら、相手に安心させようとした白鬼だった。
それに対して、ラジャンは心配というより...何かが気になる顔をした。
そして、彼はまた質問を白鬼に話した。
「その末裔のことを...詳しく説明していただけませんか?私は知る限りでは、あの古の魔王の子孫は全員戦の中で命を落とされたと聞きましたが、つまり...生き残りがいるということですよね。」と口調は相手に問い詰めたかのようになった。
それを聞いた白鬼と名乗る男の方は、一気に目の前に置いてあるクリームソーダの残りを食べた。
そして、食べ終わった後に一息を吹いた後に彼はようやく説明...というよりまるで懺悔のように聞こえた話をし始めた。
「伝承上の物語には、ラーマ王子の後日譚の話が主に語られることはご存じかと思います。では一方、魔王が滅んだ後のランカ島、王国はどうなったかと言いますと、簡潔にすれば、私は次の王として王座を継ぎました。私もすでに妻がいたのですが、残された魔王の妃であるマンドーダリー元妃様を自分の妃として迎えた。無論...義姉上とはあくまで王位継承権をより正当化するためにしただけであり、彼女には触れることさえも何もしませんでした。今風に言うと、良きパートナーみたいな関係でしたかね...」とここまで説明した白鬼の目が少し曇ったように見えた。
「しかし、しばらくして彼女の【妊娠】が分かったときには私にも驚きました。そこでこの眼で私の未来を確認した後、私はその運命を全て受け入れると決意しました。例えそのお腹にいるのは兄上...古の魔王の子供だと分かったとしても、自分の子のようにあの子を育てようと。そして、ずっと隠していた秘密がバレた日が訪れたとき、私は見えた運命の通りに追放され、二度と王座にはもう戻ることはできなかった。伝承の中にはラーマ王子の助けで私は再び王座を取り戻したと言われましたが...」
ここまで話を進めた白鬼はここで一旦口をつぐんだ。
「それは...とても辛い運命だと分かりながら、それでも受け入れたあなたには責められることが決してないはずです。私もあなたもまたこの運命の歯車の一つしかありませんから...」とここでラジャンは同情の気持ちと共に言葉を送った。それを聞いた白鬼...ヴィビーシャナは少し笑顔で相手に御礼をした。
「ありがとうございます。あなたも大変な気持ちを背負っているのに、気を遣わせてしまいましたね。大丈夫ですよ...すでに結末が分かったとしても、それに抗うために罪のない子供を殺すなんて...白鬼という名の元で、私はそのようなことができるほど私の良心が許されなかったことも関係します。それとも兄上と同胞を裏切ったという後ろめたさへの贖罪も関係するかもしれません。とにかくそのときの私は十分罪を償った。これで私は解放されるかと...思いました。」とどこかで少し吹っ切れた気持ちで彼は話を進めた。
「実は...王国を去る前に義姉上からあるモノを受け取った...いや、託されました。それは何か説明された後にそれを持って逃亡しました。そこで、とある瞬間全てが真っ暗になり...気づいたらここ...この異国の地にいました。」
「あるモノ...ですか?」とやはり誰でも気になるはずのその言葉に反応して、ラジャンは気になった様子を見せた。
「はい...そのモノは二つに分かれて、これからの世界の終焉とは大変重要な関係性を持つモノです。それを抱えながら地に吸い込まれて、異国の地に現れました。しかし、地に飲み込まれた時は奈落に落ちるかと思いきや...この地への片道チケットになったとは...正直それは読めなかったのです。まるで、筋書きに書かれていない出来事が突然何者かが上書きしたようでした...」とここでラジャンは白鬼に問いかけた。
「これもまた運命、それとも何者の筋書きでしょうか...それで、この地に辿り着いて、ここまで生きてきたあなたはこれからはどうしますか?」
「私は...すでに自分のこれからの未来と役目が見えました。結果として、私はただ運命の通りにある訪れをここで待ち続けるしかできません。しかし、あなたは違います。これからやるべきことは別の場所にあるはずです。例え、自分の運命が分かったとしても決して抗えないとは言っていませんよ。私もここで託されたモノを簡単に何者かに渡さないという自分なりに抗ってみることにしています。そして、そのモノの2つの中に片方は...」
会話は終わりだと思ったら...また別の歯車の影響でまだまだ続くようだ。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ようやく白鬼の本名が明らかに...まあ、なんとなく見当が付くではないかと思います。
魔王の末裔の復習と白鬼の運命を受け入れる覚悟...このすれ違いについては果たしてどのような展開に導くだろう...
本当に運命は抗えないだろうか...
そして、あるモノとは...
いろんなことが起きすぎて、作者も置いて行かれる気分です(おいおい!)
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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