業の矢先(使命と復讐)
末裔が明かした...使命と本当の目的
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
都内のある高いビルの屋上
設楽・羅亜夢の命令で場所を風に運ばれた形で移動させられた3人
ラームの以外には二人の人物が面に向かって、戦闘態勢で武器を構えている。
片方は肌と髪が真っ白で可愛い少女の姿をして、ヴァーユの子、ハヌマーンと自称している孫・悟空は三叉槍を手にして、
片方はまだ名前も知られていない肌色が黒いに近い褐色の人は金剛杵を構えている。
突然外国観光客を扮して、ラームに近づけたこの人は何者かラームは知らない。
一つのヒントはさっきサトラが相手に言った言葉にある。
羅刹...
いくつかの不可解で不思議な出来事を体験したラームは頭に浮かぶ可能性を否定はしなかった。
この人もまた...日本的に言うと【鬼】...みたいな存在...
肌色が黒いに褐色だと言っても、南アジアでは珍しいという訳でもなく...
正直言って、自分とは見分けがつかない人間だ...
それを考えているラームの目の前に二人の会話が再開した。
「うちの旦那に何をするつもりだ?まさか...ずっと遠い昔のことを今でも根に持っているわけじゃないよな?」と最初にはサトラから煽りに近い問いかけが相手に投げられた。
「あ...真なる魔王の復活とラーマの血を継ぐ者の殲滅は我々、ラヴァン家が代々受け継がれた使命なんだ...それに固執することに何が悪いことなのか?」とラヴァン家の者と名乗った人は冷静に答えた。
「それに固執するって俺は偉そうに言う資格なんてないさ。しかしな...主をどうぞ煮るなり焼くなり好きにしてくださいと言えるほど俺は許せるわけないじゃけん。まずは貴様の腕前を試させてもらうぜっと!」と言い終わったすぐにサトラは素早く相手に距離を縮めて、トリシューラの刃先で相手に突こうとした。
しかし、相手の反応も早くて、手に持っているヴァジュラで攻撃を受け止めた。そこで、今度は相手がサトラに煽った。
「ヴァーユの子の速さはこの程度か...遅すぎるな...お父さんが悲しむぞ...泣いてしまうぞ...なー!」と煽りと共にサトラの攻撃を弾けた。
「へっ...生憎...ラクシャーサ一匹に対しては全力を出す必要が全くないからの...ハンディをつけてくれた御礼まで言ってほしいぐらいだ。」とまた煽りで相手の煽りをぶつけた。
「はっ!猿一匹の戯言はよせ...大人しく自分の主が目の前に殺される瞬間を見せてやってもいいぞ...」とかなり相手もサトラに負けないほど強気を見せた。
そこで、相手を攻撃を交えながらお互いに煽りまくった二人の間に別の人が会話に割ってきた。
「待て...二人は言葉でコミュニケーションが取れるぐらいだ。まずは話し合い...っ!」と話しを割ってきたラームだったが、突然の何かが自分に向かって胸に当たろうとした瞬間...別の何かで弾かれた。
よく見ると、それはまるで目に見えない透明な鎧のようにラームの体に纏われた風だった。おかげで自分への攻撃が防がれた。
これは...サトラの仕業...なのか?
「全く...お人好しすぎるぜ、旦那はよ...店の出来事があって、念のために仕掛けておいてよかったじゃ...おい!武器を隠しやがって、ラクシャーサって正々堂々に戦うという言葉を覚えるには脳みそが足りないようじゃな...まあ、うちも正々堂々なんてくそくらえだけどな。こうなったら、もっと暴れてもいいんだぜ...」とニヤリと笑ったかわいい少女は後ろにケダモノがいるじゃないかと感じさせてしまうほどの気配が漏れ出している。
「試しにやってみただけだ...さすがボディーガード付きの偉い人だな...警備万全か...でも、一つだけ謝ることがある。店での出来事は想定外だった。少なくともあんたか弟さんに当てればいいんだが...どうやら関係ない人が巻き込まれたな...いや、それとも関係があるか。」とさっきラームに拳銃のようなものを向けて何かの弾を発射した人は意外な興味深い言葉を口にした。それを聞いたラームは相手に質問をした。
「カレンさんはどうなるんだ?」という質問に対して、相手は知らないような仕草で両手を上げた。
「さあな...そこも面白い点だ。確かに伝説の矢の破片が込められたタマは、伝承上にはあのラクシュマーナ王子を瀕死状態まで追いやったんだけど、破片だけじゃ完全に殺せないな...しかし、少なくとも昏睡状態まで行けるんじゃない?そもそもあんたたちには死ななくてもそのような状態になってもらってもこっちは満足だ...」と淡々に物騒なことを言い放った相手にはラームも息を飲むすら忘れてしまった。
そこで、主の代わりにサトラは相手にこう問いかけた。
「あれ?殲滅するのは使命じゃなかったのかい?矛盾してなんかくせーな...というかてめえの本心は別にある...そうじゃないか?」というサトラの鋭い推測が当たったかのように、相手は笑みを見せた。
そして、こう言った。
「ほ...ヴァーナラも脳みそが体のように小さくないね...さすが魔王様と互角に戦える者の勘だと褒めてやってもいい。無論...真なる魔王の末裔であるラヴァン家の者としては果たすべき使命があるが、それと別に...私の私情というか...ラーマの血を継ぐ者の死と魔王の復活を実現することで、魔王の末裔が望んでいる我々の本当の目的も果たされる。」という相手の説明にラームは思わず口を挟んだ。
「本当の目的...それはなんだ?」という質問に、相手はラームとサトラを見ながら、次のように言った」
「それは...【復讐】だ。」
「ふっ!それはもうとっくに知っているじゃけん!俺たちを滅ぼす気ぐらいは...」と言ったサトラの推測に相手は笑い出した。
「はははっ!まあ...それもできれば何より最高なんだけどな...私が言った復讐というのはあんたたちを滅ぼすより...ある者を苦しめるためだ...」
想定外の言葉でラームとサトラは次の言葉を話すことに躊躇った。
それを見て、思わず不気味な笑みが浮かべてしまった相手はついに本当の目的...ある者の名前を口にした。
「そう...我々のラヴァン家にこの復讐という使命を与えた...あんたたちも知っている者だ。ラクシャーサでありながら、同胞を裏切り、人間側について、後に王国の王座を自分の兄から奪った...あの参謀様...【ヴィビーシャナ】だ!」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回は第85話の続きになります。ラーメン編からの夢の世界からの竜王のL〇NEやり取りからの...いきなりとんでもない爆弾が投下された感じで話に追いつけませんでした。(作者も...(笑))
ついに明かされる魔王の末裔の本当の目的...そして、想定外の名前を口にしました。今後の展開はかなりシリアスになりそうです。(どうせぶらり旅回を挟む気満々ですけどね...すみません(笑))
ラームたち以外にも他のキャラの出番も待っていますので、バランスよく?登場させたいと思いますので、気になる点がいっぱいあるかと思いますが、それまでは別のキャラの話を楽しむかお待ちいただければ幸いです。
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
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