竜王の試練(青蓮華)
青蓮華竜王...次の試練準備済み
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
或る場所
部屋の中に置いてあるスマホは通知音が鳴った。
誰かの手に取られて、画面が確認された。
それはあるチャットアプリのグループトークだった。
そのグループ名は【竜王】
グループチャットの内容はこのように示された。
弐号)
現状報告
尊敬するお方からのお告げを頂いた我々【竜王】は、復活する魔王に【試練】を与えるために封印から解き放たれ、次々と現世に出現しました。大切な同胞の1体を失ったが、結果的に魔王は【力】の試練を突破することになりました。小生を含めて、すでに東京に到着したあと2体の中、参号は現在次の試練、【血】の試練に取組中です。
捌号)
ご苦労。
参号はすでにこのチャットルームに入室したようだが、今このメッセージを見ておるのか?
参号)
はっ!見ております!
捌号)
そちらの状況を説明せよ
参号)
血の試練を行うための準備が整えました。あとはあの魔王がこちらにご来訪することで試練が進行できます。
捌号)
よかろう...
参号もご苦労...と言いたいところだが、試練はこれからになるので、それが全うするまでは油断をしてはならぬ。
参号)
はっ!重々理解しております。この身を以ったとしても試練の完遂に尽力いたします。
弐号)
大変頼もしい!参号なら、この試練を任せた小生の采配には悔いがありません。良い結果の報告を待っているぞ。
捌号)
よろしく頼む。
参号)
はっ!
捌号)
我の同胞でもう1体の五号の所在は分かったか?
弐号)
五号の所在は分かりましたが、どうやら我々より何十年前から人間として生まれ変わった道を選び、今は普通の人間として生きています。
参号)
誠か!我々、誇り高き竜王の中には行動が一番読めない五号にしてはらしいといってはらしいが...では、まさか人間になったって任務のことを忘れたわけではないだろうな?
弐号)
ああ...小生は実際に確かめに行った。竜王の力は失ったが、記憶は五号のままだ。人間として生きている記憶が混合しているが、試練の時が来たら、任務を全うすると約束した。
捌号)
とりあえずそれまでは自由にさせてやれ。今は次の試練に集中するんだ、参号。
弐号には取り纏めの役、ご苦労様。
これからもまた大変なことになると思うが、引き続きよろしく頼む。
尊敬するお方とこの世界の行方のために!
弐号)
この世界の行方のために!
参号)
この世界の行方のために!
というメッセージを送信した後に一旦スマホが置かれた。
そして、さっきまでスマホでグループチャットを見て、やりとりしていた人物が誰かに声をかけられた。
「すみません...」
「あ、はい。どのような御用でしょうか?」と来客に出迎えたのは神社の神主さんの格好をしている青年だった。
「宮司様はいらっしゃいますか?今年では私...厄年ですので、お祓いをお願いしたいのですが、毎回宮司様にお願いしたのです。」というお客さんの要望には青年はこう答えた。
「申し訳ございません。今日は大久保さんが用事でお出かけしています。代わりに私が留守番をしています。」
「そうですか...残念だ...ところであなたは...」とお客さんは青年への疑問を口にした。
「ああ...私はここの見習いとして何か月前にお世話になっています。」
「そうか...どおりで見慣れない顔だと思った。あと...変な言い方かもしれないけど、あなたの瞳の色はとても奇麗だね。こんな奇麗な青色の瞳をしている人を見たのは初めてだ。一瞬外人さんの青い瞳かと思ったけど、それとも違うな...」と神主見習いの青年の瞳色に惹かれたお客さんだが、青年はただ優しく微笑んで、こう話した。
「お褒めいただき、ありがとうございます。この色は【青い睡蓮】の色だと呼ばれています。とても奇麗だとよく言われました。大変珍しいので、初対面の人はお客さんと同じことを毎回言われましたよ。」
「本当に奇麗で珍しい目をしていますね...あ、いけない...あなたの目に見惚れてしまったみたいだわ...何をしに来たか一瞬忘れたわい...ハハっ。」とお客さんは少し恥ずかしそうな顔をした。
「じゃ、宮司様に会ったら、肉屋のケンイチさんがお祓いしてほしいと伝えてもらえる?」
「かしこまりました。宮司様へのご用件を承りました。戻ったら、すぐお伝えいたします。」
「では、よろしくね。あ、そうだそうだ...帰りに力様にもお供え物しないと...」と一回お辞儀して、外を出たお客さんを見た青年は後を追った。
すると、鳥居の隣に設置された水鉢を支える渋い顔をしている鬼の形をする珍しい石像の前にさっきのお客さんは供え物として、紙パックのお酒、鬼〇しを石像の前に置いた後に合掌して、何かをお祈りした。
「昔はね...夜になると、この石像から痛いとか...熱いとか...という謎の声が聞こえたんだ。その時の宮司様は水をかけてくれたおかげでその謎の声が止んで、さらに奇妙な病気にかかった子供たちも治ったらしい。私も子供の頃から両親が必ず供え物をして、私が無事に成長できますようにって祈った。そして、私も自分の子供にも同じことをした。もう子供も自立できるほど成長したしな...本当に力様のおかげじゃな...」と自分の話に浸っているお客さんを見て、青年も笑顔になりました。
「大変いいお話ですね...確かに宮司様も毎日欠けずに力様にうちの井戸水でかけましたね。今日も出かける前にも。」
「ああ...それほどのパワーを持っているというの?私もこんな年だが、まだ健やかに過ごしていますから...まあ、さすが厄年になればお祓いもしてほしいね。すまないね...こんな年のおじさんの話し相手になって...宮司様への伝言を頼むぞ。」と言って、お客さんはもう一度お辞儀して、その場から去った。
そして、一人になった神主見習いと自称する青年は笑顔で...突然独り言のように話し始めた。
「だってさ...本当にすごいですね、あなたは。大丈夫ですよ...計画通りに例の【鬼切丸】も手に入れたので、あとは魔王の血があれば、血の試練が始まる...それまでは耐えてくださいね...」と全く動かない鬼の石像が生きているかのように話しかけた青い睡蓮色の瞳の青年だった。
さあ...いつでも来てください...古の魔王...
我ら竜王の試練があなたをここで待ち構えていますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿です。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
竜王の試練...前回の話からかなり久しぶりだな...(第52話参照)
これで第2試練が本当に始まります!
試練の内容は?魔王の運命は...いかに!
どうなりますかね...?
(たぶんそれまではまだまだ遠い...(笑))
チャットでのやりとりができるという便利の時代になりましたね。
と言いながら、全ての竜王がまだ揃っていないし...
あと...タイトルの名前には何かしらの関係性があります。(意味深)
紅蓮華とは違いますが...鬼という共通点がありますね...某作品と...(笑)
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
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