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ぶらり旅(拉麺編④)

魔王...ラーメンを堪能し、心の在処を見つけた


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

ふ~

どうなるかと思ったけど、大丈夫そうだ...

と考えた蘭華(ランカ)は安堵のため息をついた。


この人?は肌色が変わることに関しては、スリランカでの出来事ですでに知っている。

しかし、その時とは違う色になれるとは...逆に色は何バージョンがあって、変わる条件は何だろうという興味を持ってしまった。

あの空色のようなのは、戦うときに変わると思ったけど、前に店のドアを切ったときとか喋る猿さんに遭ったときは変わらなかった。

本気モードというものなのかな...

では、今の赤色は?

うん...何か発動条件があるはず...

さっきまで何もなかったのに、私...確かに箸の持ち方を教えるだけだった。

...

え?

まさか...

私の手とこの人?の手が触れ合った後、確かにこの人?はなんか蒸気が顔から出てきて、肌色が変わったのはその時だったし...

いや...古代インドの伝承で全ての世界に名前を轟かせたあの魔王に限って...ここで私と手を触れただけで顔...体が真っ赤になるとか...恥ずかしさの表し方が初々しすぎるな...


ない...ない...


と実際には100ポイントもらえるぐらいのドンピシャ正解の答えは何も言わないまま、ランカはその考えを頭から消去した。

そして、さっき巨漢のために注文したつけ麵の食べ方を見せる同時にちょっと一口食べてみたい気持ちも混ざっりながら、彼女は麺を箸で掴んで、つけ汁にたっぷり付けてから一気にすすった。


うん...!

この濃厚な味が麺に絡めて、美味しい!

魚介も入っているからか複雑な味に仕上がった。

では...初めて見た魔王はどのようなリアクションをするのかな...

とまた観察タイムに変わった。


さっき巨漢が行儀よくない食べ方をしてしまったから、今度はちゃんとあまり箸のサイズに合わない手で箸を持ち、ランカの真似で麺を掴んだ後、汁につけてから、巨漢の口に一瞬吸い込まれた。

その一瞬だけでもランカの後ろには吹いた風を感じた。


しばらくして、目の前にいる巨漢の表情は一つも変わらなかった。

どうかなとランカが訪ねようとしたときに、巨漢の口から一言が聞こえた。


「美味...」


それを聞いたランカももう一度安堵の気持ちになった。

よかった...とりあえず食べられて、美味しいと言ってくれて、ここに連れてきた甲斐があった。

さーて、こっちもさっきの巨漢の真っ赤な肌色に負けないぐらいスープが真っ赤なラーメンを食べようっと!

とランカはさっき箸が止まった自分のラーメンを食べることを再開した。

うん!これこれ!

やはり大辛じゃなきゃ...辛いもの好きとしては刺激が足りないね...

匂いからだけですぐ分かるほどの強烈な唐辛子とニンニクの刺激!

脳内では危険ということはもはや動物的な本能だ...

それでも食べる人はどんな神経をしているのだろうか...

それでも食べる...

辛さへの探求心は本能を打ち勝ったかのように彼女は食べ続ける!

辛い!

インド料理とは違う辛さだ...

インドで使われるスパイス類じゃない...

にんにくと唐辛子というシンプルな組み合わせとスープに込めた複雑の風味が...

スープの中に入っている溶き卵のまろやかさで効果が抜群!

辛い!

辛いけど...もっと食べたくなる!

もうここで水とかを飲んだら、この楽しさが途中で終わってしまうという儚く、切ない気持ちまで感じてしまった。

くちびるがヒリヒリと感じても...

汗がなじんだとしても...

と無我夢中で食べたランカだったが、何かが思いついた。

これも...いけるかな?

と目の前の巨漢に向かって、次のように言った。


「これ...食す...試み...いかが?」

と言ってから、相手が食べている途中のどんぶりを自分のラーメンのどんぶりと交換して、麺が乗っているどんぶりまで取った。

いつもの動じない巨漢の顔が怒り出すではないかと思ったら、なんだか幸せを感じる柔らかい表情が一瞬で元通りになった。

相手が差し出した真っ赤なスープのラーメンを箸を掴んで、口に運んだ。

そして、さっき交換したときにもらったスプーンでスープをすくって、飲み込んだ。

そこで、ランカは考えていることを口にした。

「なんだか最近は香蓮(カレン)ちゃんぐらいかな...ごはんを一緒に食べることって...まあ、数日前からあなたも部屋の中に一緒にご飯を食べたけど...なんだろう...拾った野生の熊に餌を与える気分だったよ...失礼だと分かったけどね...ふふっ、やはり誰かとこうやって一緒に食べると、楽しいね...まあ...通じないと思うけどね...っ!」と相手が聞き取れないことを利用して、ちょっとしたいい話を話したランカだったが、彼女はまた表情が固まった。

その理由はほかの誰でもなく、拾った野生の熊と呼ばれた巨漢を見たからだ。

その巨漢は今異変が起きた。


体全身から()()()()()汗が止まらない...

Tシャツがもはやびしょ濡れている...

さらに目に疑う光景は別にある。

辛さにやられたかのように虚ろの目をした巨漢と首が360度ブンブン()()()()()

さすがにこれがどう対処すればいいか分からないランカは辛いラーメンを巨漢に食べさせたことを少し後悔した。

辛いものなら、全然大丈夫という先入観があるけど...ここまでバグってしまうとは...

とあわあわになったランカだったが、次の瞬間...


ここで巨漢の首がピン!と普通の位置に止まった...

何か目をシャキッと覚めたように巨漢の目つきが変わった。

そして、ランカに向かって、こう言った。」


「心...在処...知る...記録...所望する」


え?記録したい?

まさか...何か思い出したの?

記録...あ!地図みたいにすればいいじゃん!

と思って、ランカは店員に鉛筆と紙を借りると頼んだ。


鉛筆を手に取った巨漢は一気に紙に何かを描いた。

これは...地図じゃない!絵だ!

その心の在処のイメージが浮かんだかのように鉛筆で書かれた絵は正確で、詳細まで細かく書かれた。

完成した絵を確認したランカは驚いた。

へ...これは...

場所はすぐ分かる...

なぜかというと...行ったことのある場所じゃないけど、はっきりと場所の名前が書かれたからだ。


その絵に書いてある文字は漢字で...

【鬼王神社】である。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


今回もまた拉麺編の続きになります。


ついに...魔王はついに!ラーメン(精密に言うと、つけ麺と辛いラーメン)を...お?た!食べた!!!


この感動の瞬間が届けられて、作者としても大変嬉しいでございます(何がだ?...笑)


お待たせしすぎてすみません!これで心置きなくしばらく別のキャラに登場させます(おい!笑)


1-2話で終わらせるはずの拉麺編は4話まで伸びました。これはこの2人のぎこちない会話と奇想天外な展開が書きたい気持ちがいっぱいあると思います。今後もまたこの2人でお届けしたい所存です…なにせよ…羅刹羅闍との日本ぶらり旅ですし。


激辛好きなランカの意外な面…いい話をしようと思ったら、まさかこの展開…


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

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