ぶらり旅(拉麺編②)
魔王...ラーメンを食す...前に箸を割る
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
魔王と一緒にラーメン屋に入った蘭華は考えた。
本当に大丈夫なのかな...今更だけど...
彼女はラーメンが食べたいという気持ちはもちろんあるが、それより好奇心の方が大きい。
あの魔王は【麺料理】に対して、どのような反応をするのかということに...
私の考えでは、仮説の通りにこの人?は古代インドにいたと仮定すれば、その時代にはその地域には麺の形にする料理は存在しないはず。
だから、かなり驚くはず...いや、もしラーメンは私が初めて見た食べ物となったら...私はこれがどんな料理だと考えるだろう...
スープ...汁の中に細く切られた何かが浸っている。
あとは...薄く切られた煮られた肉...煮卵の半分...メンマは細い茶色の何か...海苔は薄っぺらい黒い何か...それらが細く切られた何かの上に乗せられ、後は細かく切られたネギは...草かな?がパラパラと乗せられる。
あ...そっちに頼んだのはつけ麺だった...えーと、片方はただ細く切られた何かが器の上に乗せられて、別の器には汁があって、その中に肉や具材などが入っている。
...
やっぱり知っている料理を知らない人に説明すると、かなり説明しづらいな...
相手はどれぐらい事前に知っているのか分からないと、加減が難しいな...
さらに言うと、まだ食べ方まではどう説明すればいいか考えていない...
まあ...本物が来たら、リアクションを楽しみにしよーっと
と少しランカの顔に笑顔が浮かんだ。
それを見た魔王と呼ばれた巨漢の頭の中は...予想通りと言えるほどにあることを考えている。
ラーメンやらツケメンやらは無論興味深いが...ところで、壁に何かの絵が描かれている...それは大きな唇か?...さらに灰色の壁と柱のところに何かの落書きが書かれている。それはどのような意味を表したいのかあまり理解できないが、今の時代ではこれが【美】だというなら、それはそれだ。
無論...余の何より美しいものは愛する我が君の表情だ...それを否定する者は余が自ら存在まで消滅させる!
それにしても特に今見せている笑顔は、初めてちゃんとお顔を拝めたときから...様々な表情の中に...其方には笑顔が一番似合う。いや、どんな表情も美しい...うん...これは中々選びがたい...と考え込んでいる。
二人の間には沈黙が続いているが、お互いの頭の中にはかなり面白い考えが展開されている。
そして、ついに注文したものが運ばれた。
「お待たせいたしました。つけ麺のご注文のお客様は...」と店員が運ばれたどんぶりの置き場所を訪ねたら、ランカは反応して、「そっちです。」と言って、巨漢の方に手で指した。
「はい。では、こちらは大辛にんにくラーメンになります。」と別のどんぶりをランカの前に置いて、「ごゆっくりどうぞ~」と言って、厨房に戻った。
ランカがチョイスしたのは真っ赤なスープとニンニクプラス唐辛子の強烈な香りが食欲にそそる辛いラーメンだった。
一方、巨漢のことを考えて選んだのは通常のラーメンではなく、つけ麵だった。
魔王だし...辛いは行けるかと思うけど、とりあえず無難で辛くないつけ麺にした。
考えてみたら、食べ方が分からない人にはお手本を見せるのが一番手っ取り早いよな!
そう考えて、ランカは箸を取って、左右に割った後...それを親指と差し指の間に挟んで手を合わせた。
そして、「いただきます!」という言葉を口にした。
そこからは観察タイムになった。
相手の巨漢はランカの動きを真似しようとして、その大きな手で箸を取って、割ろうとしたが...力加減がまだ分からないか...割った後の箸を指の力だけで折ってしまった。
それを見たランカは慌てて、「力...より弱く...」と巨漢に言ってから、もう一回やり直すように促した。
それから...何回の力の調整の成果...ようやくきれいに割った箸が折れずに済んだ。
テーブルの上に置いた何本かの箸の残骸を見て、蘭華は申し訳なさそうな顔をした。
店員さん...すみません...
あとは罪のない箸たち...練習台になってくれてありがとう...次にはまた箸になるか分からないけど...このような運命にはならないことを願うよ...となぜか犠牲になった箸に感情移入してしまったランカだったが、気づいたら目の前の巨漢はさっき自分がしたポーズをして...
「イタダキマス」まで言った。
それを見たランカはなんだか嬉しそうで、涙が出そうな顔をした。
さすが...古の魔王は飲み込みが早いね...関心関心...不器用な一面も見られて、ふふっ...ちょっと可愛いなと思っちゃった...
では、食べ方はまだだよね...さーて
「今...食す...よろしい!」という片言の古代言語を口にして、ランカは箸を動かした。
魔王のラーメンを食すという初体験...始まる
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回も拉麺編の続きになります。
ついに...魔王とラーメン(精密に言うと...つけ麵だが)のご対面!これで食べられると思ったら...出来上がったラーメンを食べる前になんと箸を割るところで一旦ここまで!
どんだけ待たせるのか、作者!(すみません...)
ぜひ次回は続きになりますので、お楽しみにしてください。
そして、2人の頭の中の考えのベクトルがヤバいほど違ったりして、ジレンマですね...笑
あと、本当に知っている料理をそれが全く知らない...想像さえできない人に説明するには骨が折れそうです。
さらに時代も文化も違うので、昔の人が異文化と触れ合ったときにはまさにデカ〇チャーの気分ですかね。
ちなみに箸の割り方はマナーとして、左右に割るのがマナーとしてはよろしくないらしいです。こちらもさっき調べたことで分かったのです。マナーとかは難しいですね...
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
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