ぶらり旅(拉麺編①)
魔王...ラーメン屋に入る
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに・蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
地上に上ってきた場所から少し歩く余と愛する我が君...
「ラーメンヲタベニイコウ」という彼女の言葉には全く意味分からないが、推するにこの【ラーメン】は食べ物ではないかと思う。
どのようなモノなのか見当が付かない。
しかし、愛する我が君がわざわざ余に勧めるモノであれば、味はどうであろうが食べづらいだろうが...余はただただ全てを食すのみ!
そして、それを考えるうち先ほどの場所から遠くないところにどうやら辿り着いたようだ。
ここか...
目の前にあるその建造物は単純な四角い形をした。
青色の外壁と外側に突出した縦長い金属の板には3つの色に分けられた。
建造物の1階の中を見ると、人間たちがいることは分かった。
そして、何かを食べている様子も見られた。
それは...何なんだ。
見たこともないあの料理と食べ方を見た余は疑問が浮かんだ。
そのとき、愛する我が君は余に建造物の中に入ることを誘導した。
建物の中に入ろうとしたら、さっき人間たちが何かを食べている空間の横には細狭い階段が待ち構える。
それを登って、余の体にはピッタリの幅の広さで壁を腕を擦りながら進むと、少し広かった場所に着く。
愛する我が君は何かを確認しているのか、薄っぺらい木の皮のようなものに書いてある文章を読んでいる。
ああ...あの料理はどのようなモノか分からないが、一生懸命これを選んだ愛する我が君を見ると、誠に至福だ...
少し時間が経ったそのとき、愛する我が君は余に中に入ってみようと誘いの言葉を送られた。
さっき見た1階の中の空間とはモノの配置は違ったり、塗装された色も全く違うせいか全く違う場所だと思った。さっき見た場所は明かりがかなり強いことに対して、この場所には少し明かりが薄暗い...
そして、外壁はまたレンガや木でもなく中には見通せる透明の薄い板で作られた。
それを見た余は、この透明の薄い板は街の中や乗せられていたデンシャの中にも窓として使われたことに気づいた。
この薄い板は防御のために作られたためじゃない。仮に余が拳で破壊しようとしたら、一発で破壊されるだろう...
中の様子が分かるために...または外の様子を見るために窓に設置するためだったんだ。特に空気が冷たいこの国では、余が住んでいた国に比べて、冷たい空気が入ることにはよろしくないから、この薄い透明の板は二つの機能を持っている。
大変興味深い...
この透明の板の素材はガラスではないかと思う...しかし、このような大きさと透明度は余が噂で聞いたものの想像を遙かに超越した。
本当に余が今いる世界には余がいた世界から何千年の後なんだと改めて思った。
人間の基本的な行動は変わらないが、様々なことが変わった。
歩くよりあの鉄の箱に乗ることとか...
小さな鉄の板に話しかけるとか...
そして何より...食べ物も余が知らないモノも多く、食べ方にも分からない。
と様々なことに関心しているうちに愛する我が君は動き出した。
彼女は一つの木板に囲まれた透明な板にあるくぼみに手を入れて、その板を横にずらして開けた。
なるほど...これは扉か...
愛する我が君が住んでいる部屋の分厚い鉄の扉とは違って、こう開けるんだ。
そして余たちはあの空間の中に入った。
余たちを待ち構えたのは人ではなく、光っているデカい鉄の板だった。
その中にたぶん同じガラスの板が埋め込まれたようでその明かりの中には何かの絵がいくつか並んでいる。
それから、そのデカい光の板の前にたたずむ余たち...
どうやら愛する我が君は何を選ぶか考えているらしい...
一生懸命余のことを考えてくれた彼女を見て、ただそれさえもこんなに胸がいっぱいになった。
今すぐに伝えたい...
例え其方が猛毒を余に飲むように言っても...余は迷いが一切なく毒を飲み干すだろう...
だから、安心して選ぶがいい...と伝えたい言葉が上手く伝わるか余と其方が会話できる言葉には限界がある。
あ...こんな焦れったい状況のいくつかを味わった余は崇高の神に今の全ての人間の言葉が話せる力を授かるようにと懇願したい...例え余の他の能力を奪い取られたとしても...余の気持ちを愛する我が君に...
とまた自分の中の葛藤を考え込んだそのとき、愛する我が君が再び動いた。
彼女はまず薄っぺらい何かを光る板の横側にある隙間に入れようとしたら、それが吸い込まれた。
なるほど...あのキップみたいだ。しかし、また再び出ることはなかった。
その次に、彼女は光るガラスの板に一回...そして、何回か差し指で触り、触られる度に絵が変わった。そして、何回か触った後に...彼女は最後に触った瞬間...その光の板から何かが出てきた。
キップみたいだが、もっと薄っぺらい...
そして、彼女はそれを取った。
その後、何かの金属が落ちて、金属に当たった音が聞こえた。
何の音か考えるうちに愛する我が君はデカい板の右下にある穴に手を突っ込んだ。
そして、何かを取り出した。
それは...何枚かの小さくて...薄くて...丸い金属だった...
これはどのようなからくりなんだ。
薄っぺらい木の皮みたいなものを入れて、キップみたいなものと金属が出てきた。
これは何かの取引なのか...そうだ!売買だ!
しかし、余の時代では...木の皮は金属と等価とは考えがたい...
これも今の人間の取引のやり方のか...
本当に飽きないな...取引の違いに大変興味深いだ...
愛する我が君は次に取った行動はそのキップみたいなものを別の人間に渡して、その人間はその空間の中にいくつか置いてある机と椅子に座るように案内された。
そして、どうやら厨房みたいな場所に歩いたその人間は何かを作ろうとした様子は余が座っている位置から見える。
なんだ...愛する我が君が自ら食べ物を作ることではないのか...
少しガッカリした余を見た愛する我が君は余に話しかけた。
「安心...あなたのは...ツケメン...美味...」
ツケメンか...
ラーメンとは違うのか...そもそもどのような料理なのかさっき見た絵の中でもまだ理解ができなかった。
しかし...本当に何もかも新鮮の気持ちで物事を見るのはこのような気持ちなのか...
全ての知識を修得したと思われた者からにしては、まだまだ勉強不足だったな。
では、学ばせてもらおうか...今の時代の料理...ラーメンやツケメンとやらを!
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません...ついに拉麺編が再開しました!(ほぼ4ヶ月待たせてしまってすみません<m(__)m>
ようやくランカちゃんと魔王の話になって、ラーメンが食べられると思ったら...まさかの寸止め!まだラーメンができあがりません!ぜひ次回は続きになりますので、お楽しみにしてください。
そして、久しぶりの魔王の溺愛ぶりが再び!ヤバいっすね...笑
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
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