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斧の自白(天命)

第6番の化身【斧を持つ者】が語る...下った天命と放浪生活の訳について


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに・蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

純喫茶【桃太郎】


店内ではAxeというハンドルネーム...いわゆるヴィシュヌ神の第6化身と呼ばれた男は、自分の過去について目の前にいる白鬼と名乗った男に語っている。

自分は何者か...どのような背景だったのか...コーヒーカップを見つめながら、どこかで悲しそうで苦しそうな顔をしている。

さっきまで語った言葉をただ静かに聞いたVibsはただ微笑んで、こう言った。

「私の能力を使えば、あなたの過去が分かる...かもしれません。というよりすでに分かった部分もあります。無理に話さなくてもいいです...でも、こうやって抱えていることを誰かに話すと、気持ちの整理になると思いますので、私で良ければ...聞かせてください。」

それを聞いたAxeは、何かに戸惑いながらも話の続きをすると決めた。


「ありがとう...ございます。あなたが知っている話が混ざっているかと思いますが、まずはさっきまで話しましたが...そのときの店の常連客である神崎(かんざき)紀子(ノリコ)と出逢って...私の何もかもが変わりました。店でよく一人で入って、必ず毎回()()を頼みました。私は料理があまり得意ではないのですが、モモは唯一作れる料理です。まあ...そのときは料理担当の人に作ってもらったのですけどね...蒸す前に具を包むのは私の役割でした。そこで、ある日私は彼女に尋ねました。なぜ毎回モモを頼んだのかって。答えはですね...『このモモから優しさを感じたんです...変な理由ですかね』と言って、そのときの彼女の微笑みは一生忘れません。まさに運命というのはこれじゃないかと思いましたよ。それから、時間が経ったなと気づいたら...私たちはもう家族になりました。私はただ料理屋の店員で...妻はパートも家事もして、生活はかなり厳しかったが、二人の暮らしはお互い支えながらなんとかできました。さらに家族は2人から3人に増えて...そして、4人になりました。決して裕福とも言い難い生活でしたが、家族がいるから乗り越えられたというよくドラマとかに出てきたあれみたいです。実際には本当に大変なことがいっぱいありながら、幸せな日々を送りました。そう...大変有意義で...安らげる休息でした...」と言ったAxeはコーヒーカップを持ち上げて、照明に反射した黒い液体を見つめて、苦笑を浮かべた。


「この通り...今はこの生活をするのはまさに再び【天命】が下ったからです。」と言って、コーヒーを飲み干しました。


「幸せな日々が続いた...と思ったある日突然()()が訪れました。自分の使命を忘れないよね?と言う声のような展開もなく、雷に打たれたような感覚もなく...ただ静かに...()()()()()()()という命令だけが脳裏に現れました。そして次の日...私は家族を置き去りにして、旅立ちました。」と言う話の途中にVibsは眉をひそめて...「ある場所...ですか?」と思わず気になって、質問してしまう。

「そうです。その場所はもう皆が知っている【ヒマラヤ山脈】でした。山頂とかじゃありませんが、頭の中に示された場所まではかなり登りました。自分はネパール生まれと言いながら、北の方ではないので...慣れないことをしましたね。それは天命に従うだけなので、苦悩とか達成感とか何もありませんが。そして、その場所にたどり着きました。しかし、私を待ち構えているのは神様ではなく、私...というより私の体だった...と言っても変か...()()()()()()()()()()()()()()()の体でした。ここに来る目的はヒマラヤ山脈に眠らせている私の本当の体の【回収】だったのです。自然の冷凍庫の中に冷凍保存されたのはまさにこんな感じですかねと驚きました。そして、私はあの不滅の体を触れた瞬間...二つの体が【融合】しました。ようやく私は全てを...取り戻しました。」

そう...

記憶も...

知識も...

これから自分がやり遂げるべき使命も...全て思い出しました...()()()()()()()()()

「そのとき、最初に感じたのは使命感ではなく...罪悪感でした。一生忘れない妻の微笑みと共に決して消え去ることができないこのやるせない気持ちで涙を流し...しばらくそこに閉じこもりました。ようやく頭の整理ができた私は山を降りて、各地を放浪する生活をしはじめました。家族には生活には困らないように私が休息に入る前に貯めておいて、スイスの金庫に預かったお金を妻に送りました。ずっと会えなくても私は家族を大事にします...今でも...妻と息子たちを忘れるときなんて一度もありません。まあ...使命を優先して家族を捨てた今の私にはそのような言葉を言う資格なんて...」と言ってから、口をつぐむAxeを見て、Vibsは何も話さないまま...ただ話を聞いただけだった。


「心残りがあるとすれば、妻にちゃんと結婚式があげられなかったことですかね。様々なところに放浪して何年が経ちまして、日本に戻りました。しかし、そのときにはノリコはもう亡くなりました...再会も果たせず...そして、残された息子たちに向き合う勇気さえもなくなった私はこうして...日本でも放浪する生活をして、今に至りました...ということです。」という言葉を話した後、AxeはVibsの目を見つめて、次のように言った。


「ありがとうございます。話を聞いてくれて...」という感謝と共にAxeは少し寂しそうな笑みを浮かべた。それを聞いたVibsは少し頭を下げて、「こちらこそ話をしてくれて、ありがとうございました。これで私もこれからどう動くべきか方向をなんとかつかめました。」


「これからというのは...世界の終焉に関係するのですか?」という問いかけに対して、Vibsはただただいつもの優しい笑みでAxeに向かって、こう言った。


「私がこの国に来る理由とか経緯についてはまだ話していないですよね。それはちょっとおいといて...私の役目について話しましょう。」と言って、Vibsの表情が真剣になった。


「私は、()()()()()()()()()()()()()の運命の矢先を見届けると決意しました。それは私の役目です。」


ラーマとシーターの末裔じゃない...

ラーマの末裔()シーターの末裔...だと...

その言葉に込めた意味を理解したAxeは驚愕のあまりに目を丸くして、口を開けた。


「そして、暗黒時代が訪れたときに現れる【世界を浄化する者】の師になるあなたのこれからのやるべきことは...まず、あなたの()()()()()()()()()です。」


純喫茶に漂うコーヒーの香りは、ひとときの休息に終わりを告げたかのように...白鬼の告げた言葉は様々な運命の歯車を動かしていく...様々な場面と様々な方向に...

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。

追憶というシリーズにしようと思ったのですが、本人が語ることで前回と同じ自白というタイトルにしてみました。


使命と家族...その葛藤と罪悪感を毎日苛まれる第6番の化身が語る言葉...かなり重い話になりましたね...さすがに作家もふざけることが書けませんわ...(今回はね)


白鬼と名乗ったVibsはどこまで知っていて、どのような動きをするのか...まだまだこれからですね...気づいたら、思ったより展開が多すぎて...もっとペースを上げないとと実感しました。他のキャラの話も...肝心な世界の終焉も...まだまだいっぱい書きたいことがあります。


原作を知る方なら...その最後に置いた伏線に違和感と感じるはずです...なぜ「と」を加えるのか...ぜひお楽しみにしてください。原作をリスペクトしているからこそ...面白い展開が容易できればと思って、いろんなことを考えています。


いい加減にランカちゃんと魔王の話にしたいですが...いつラーメンの話になるんだ?お待たせしてしまい、すみません!(<m(__)m>→これで2回目...


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


2022年としてはこれは納めになります。どうか来年もどうぞよろしくお願いいたします。

良い良いお年を!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

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