斧の自白(休息)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
第6化身【斧を持つ者】が語る...ひとときの休息について
いつからこの世に存在したのかもはや忘却の海に沈まれた...
【永久の命】を授かった者の一人としてはこの不滅の体と長い...長い間過ごしてきた。
自分がそのような存在だと分かる前にはただただ普通の人間として生きたこともある。
そのときは若気の至りと言えばいいのか...かなりのヤンチャだった。
生まれる前から、力と武器で法を執行する【王族・武人階級】と知識を人々に与える【聖職者・司祭階級】の均衡を取り戻す存在になるという予言までがあった。
そして、ある事件で復讐心に駆られた私は、あるクシャトリヤ...いわゆる偉い人を一人殺した後、次々に決闘に挑戦しにきた者を片手の【斧】で薪割りのように振り回して、切り刻み...切り落とし...叩き割った。
気が付けば、挑戦者がいなくなった。
皮肉のようで...【21人の王殺し】になった私は本当に予言の通りに二つの階級の均衡をこうして取り戻した。
そして、自分の手はもう洗い流しきれないの血が染み付いてしまった。
怒りと復習心に支配された贖罪として、私は普通の人生を捨て...長い間隠者の道を歩んでいた。
人間の世界から離れて暮らした私は、魔法や戦法...武器の使い方から呪術まで様々な知識を蓄えてきて、全てを修得した。
時間を持て余すからやったかと最初思ったのだが...あるときに気づいた。
これはまるで何者に教える【師】として強制的にやらされているみたいだった。
そう...そのときだった。
あの方とこの目でかかるのは初めてだった。
そのときにあの方の言葉は私の全てを変えた。
私は、世界の守護神ヴィシュヌの化身の【パラシュラーマ】であり...永久の命の上にこれから訪れる世界の終焉と暗黒時代を浄化する最後の化身の師になると告げられた。
全ての事実を知った私は自分の使命を受け入れて、覚悟を決めた。
そして、守護神様に一つのお願いをした。
その内容は「私を普通の人間にしてください。」ということだった。
無論、その使命を果たすべきの時が訪れたら、そのときでは自分の役目を全うすると誓った。
それまではしばらくの間...その使命を忘れさせてください...
その望みは叶えてくださった。
私は以前の記憶がなくなった一人の人間になった。
精密に言うと、出産後にすぐ亡くなった赤ん坊の魂の代わりに私の魂が入れ替わった。
そう...輪廻の正式ルートではないが、いわゆる私なりの永遠に近い人生の【休暇】とでも呼ぼうか...それともただひとときの【休息】と呼ぼうか...
名前は【ラジャン・ラーマ・シン】
ネパールという国で生まれて...後には日本に来ることになった。
日本に来て、インド料理屋で働き始めたそのときの私は何もかも分からないことだらけだった。
毎日は慣れないことばかりで、言葉もあまり話せなかった。
今と違って何十年前の日本はもう今とはいろんな意味で大変だった。
覚悟があったものの、出稼ぎのために日本に来た右も左も分からない状態の私にはとても耐えがたい環境だった。
これは休息と呼んで良いのかと疑問を浮かべるかもしれないが、長く生き過ぎた者としては甘いも酸いも人生と誰かが言ったように何でも人生だということだ。
限られた人生が味わいたいというのは贅沢なお願いに聞こえるが、私にとっては贅沢というよりこれからの運命を考えると、これぐらい大目に見てくれと私が今思ってしまうな...
しかし、そのときの私は何も知るわけでもなく毎日必死に生きようとしていた。
そこで、私の運命を変えたもう一人の存在が現れた...
そう...彼女だった。
彼女が店の扉を開けた瞬間から...私の休息を本当に心から安らげる休息にしてくれた。
私の最愛の妻...神崎・紀子が私の人間としての人生に関わったそのときから...私はもう二度と自分の使命が思い出すことが訪れるときを何より恐れていた。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
追憶というシリーズにしようと思ったのですが、本人が語ることで前回と同じ自白というタイトルにしてみました。
ヴィシュヌ神の化身はメインとしても10つの化身が存在します。その中にこの第6番目の化身はこの物語とどう関わるのか...ぜひお楽しみにしていただければと思います。
自分的にはこれが転生ではないと言うのは、死んでから輪廻に入り、生まれ変わるという訳でもないからです。だから、これは輪廻転生ではなく...ただ魂を別の体に映すだけのことでした。この現象は何と呼ぶべきでしょうか?
ヴァルナというのは日本でよく言うカーストです。古代インドから根付いたこの制度は日本まで言葉が使われたのは興味深いですね。ちなみにカーストはもともとポルトガル語らしいです。
いい加減にランカちゃんと魔王の話にしたいですが...いつラーメンの話になるんだ?お待たせしてしまい、すみません!(<m(__)m>
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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