不可解な出来事(追跡)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
交錯するそれぞれの思いの中…不可解な出来事の追跡開始
現実の世界...
バナナのジュース専門店「WUKONG」
店内にはいつもの賑やかな雰囲気に包まれながら、店の一角だけは困惑の雰囲気が漂っている。
一見は、一人の女性がテーブルに突っ伏して寝るように見えるだけだが、一緒にいる人たちの表情は尋常じゃないほど驚愕している。
「古海...さん...」あまりにも突然すぎた出来事に駱の口から眠りについてしまった女性の名前しかボソッと出て来なかった。
それに対して、そこにいる羅亜夢は驚愕と同時に隣にいる孫・悟空に向けて、怒りが混じった口調で尋ねた。
「一体...これはどういうことなんだ...」
それ聞いたサトラ本人は、立ち上がって眠っている香蓮の様子を見るために寄ってきた。
そして、カレンの体をゆっくり触ると、そよ風のような風が彼女の手から出現して、その周りのものまで軽くなびかれた。
とそのとき、彼女はカレンの背中の方を見つめて、何かを発見したようだ。
カレンの背中にはなんと...小さな針と同じ大きさぐらいの吹き矢にも見えなくもないものが彼女の背中に刺さっている。
それを素手で取るわけではなく、サトラはまた風を操って、その針のような吹き矢のようなものをそっとカレンの背中から抜き出した。そして、自分の目の前に運ばせた。
「これは...」と目の前にあるものに対して、不思議の表情をした。
彼女を見ているラクとラームまでにも思わず唾を飲み込んだ。
「なんだ?」という想定外の言葉に、真剣の表情をしている二人は思わずポカーンという顔をした。
「え...?」という言葉がこぼれたのはラームだった。
「それは...何かの金属に作られた針の形をしているには見えますが、なぜ...これが古海さんの背中に刺さっているのかあなたにも分からないという意味でしょうか?」と急に冷静さを取り戻したラクは自分の頭を整理すると同時にサトラに問い質した。
「いや...そりゃ見れば分かるけどさ...俺のさっきの疑問はな...なんでお嬢ちゃんに刺さるという疑問の方なんだ...って、ちょっと待って。」と言ってから、目を閉じて集中し始めたサトラ。
しばらく経つと、彼女は目を開けて、こう言った。
「こりゃ...厄介なことになったじゃ...」と言ったサトラに対して、今度はラームが質問した。
「それはどういうことだ?あなたの風で何かが分かったのか?あと...さっきみたいにその風で天井から落ちた照明を戻すことができるなら、なぜ今回のことが防げなかった。」という質問よりは尋問の口調になってしまった感じだが、その問い詰めにはサトラが説明をし始めた。
「説明するとね...俺でもこれを防ぐことができなかったんだよ。」と言って、風で浮かんでいる吹き矢のようなものを指した。
「さっき風神の力を借りて、風でこの針みたいなもんがどのように風に運ばれて、お嬢ちゃんの背中に刺さるのか記録みたいなもんを読んだじゃけん。そこで、判明したのはもともとはね...旦那、それを撃った人の狙いはあなたのはずなんだよ。」という言葉に、ラームは驚いた。
「俺...?」というかなり驚いたラームから出た言葉をスルーして、説明を続けた。
「そして、風の流れを読むと驚くことに...まるでお嬢ちゃんがこの吹き矢を引き寄せたかのように矢は軌道を変えて、不自然でも良いところに上の方向に行って、最終的に落ちてさらに軌道を変更した吹き矢はお嬢ちゃんの背中に刺さったんだ。」という説明が終わった。それを聞いたラクはあり得ないと言いたかったかのような顔をした。
「そんなのって、科学的にあり得ない...物理学的に不可能だ...例えその吹き矢には特殊の金属でできて、古海さんにはそれを引き寄せるような磁力を持ったとしても、兄さんの背中から通って、彼女の表の体の部分に当たるのはまだかなり理屈を極限まで曲げたような仮説で説明ができたとしても...あなたが言った軌道では...あり得ない...」と何回もあり得ないと繰り返したラクにはかなり目の前にできた出来事の説明をするのに必死で、焦りまで感じた。
「だ・か・ら...そんなあり得ないことが起きるのは必ず不思議な力との関係があるということじゃ。俺の風を操る力を見てもまた科学とかを言うあんたにはよっぽどこのような現象に否定したいよな。」というサトラの言葉には、ラクが反論できなかった。
そこで、ラクは別のことに気づいた。
「というか...いつもの俺の仮説だと...その危ない出来事には兄さんの代わりに俺が被災者になるはず...なんで、俺じゃなくて...古海さんが...」
「それはな...この出来事は防げないと言ったはずじゃ。あんたが旦那の代わりに被災すると同時に...彼女もまたあんたの代わりに不幸な出来事を引き受ける...まあ、運命みたいなもんだ。あんたがまた非化学と言いたいと思うが、俺の見解はこれだ。それより...今風の流れを読んで、撃った人の行方が見つかりそうだから、俺はそいつを追う。あんたと旦那はお嬢ちゃんの面倒を見るのじゃ。」と言って、店を出ようとしたサトラだが、ラームに呼び止められた。
「待って!僕も一緒に行く...その犯人に目的を自分から聞き出したい。何かあれば、あなたに守ってもらうけどな...」という言葉に、なぜかサトラはニヤリと笑った。
「いいぜ...旦那には危険にさらしたくないけど...俺が絶対守るから...では、一緒に来て下さい。」と言って、店を先に出た。
ラームはもう一度ラクの方を見て、申し訳なさそうの顔をしながら、次の言葉を最後にして、サトラを追って、店を出た。
「ごめんな...古海さんはお前に任せた。」
不思議で不可解な出来事の連続で一人にされたラクはただ呆然とするしか...できなかった。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回は眠り姫になってしまったカレンちゃんの現実の世界でラームたちのこの出来事に対するそれぞれの思いが交錯する場面を書きました。
不思議な風の力を持ったとしてもこの事態が防げないサトラの疑問と冷静な対応
守られたことに対して、困惑と怒りの感情を表したラーム
非科学的なことを必死に否定してきて、そらに今回は自分ではなく、他の人まで巻き込んでしまって、罪悪感も感じたラク
珍しくシリアスな感じに書いた作者も今後の展開には楽しみです(書くのもお前だけどな(笑))
完全に他のキャラのことが忘れられたとは言われないようにできるだけ均等に登場させるつもりです...(ただ登場を遅らせるだけです。)
そろそろ魔王を登場させますか…できればですが…次の展開を練っています。
本当にここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
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