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羅刹妃の追憶~信託~

古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...


羅刹羅闍(魔王)の妃が語る...託された未来を...

...

やっと姿を消したかしら...

女性は周りを見渡してから、自分の頭の中に何かを考えている。

あの(ヴァナラ)、確かにヴァーユの子に違いない。

私があの【矢】をどこかに隠したと知って、それから目を離した隙に盗んできたね。

...ご苦労様...

そう...()()()()()だったわ。

わざわざあの王子様(ラーマ)の手に届けるこちらの手間が省けるから...

礼を言うよ。


...

私は、魔王ラーヴァナ()を愛していいる。

例えあなたは世界に恐れられた魔王であっても...

例えあなたは物のように敗北者側の囚われた女性たちを戦利品のように何人弄ぼうとしても...

結局、あなたは私、この王国の妃の私のもとに帰ってくる。

それだけで十分...だった。

あなたは、()()()()()と出会ってしまい、それがきっかけでこの大戦が勃発するまでは...


よりによって、あの子に...ある感情を抱いてしまったのか...

これは天罰なのか...それとも運命なのか...

この世界でその感情が抱いてはいけない唯一の存在に...あなたは【恋】をしてしまった。


それでも、私はあなた一筋だ。

決して妬ましい気持ちなんて一切ない...

女性は少しため息をつきながら、窓の外を見つめた。

しかし...あなたの恋の行き先はただの()()しか待っていないのもすでにあの【予言】で分かっている。

あなたはただ無自覚にあの子に対して、感情が芽生えただけだった。

もしそれが定めというのなら...私にも自分の考えがある。

これは羅刹羅闍(魔王)の妃の務め...

それは変わらないこと...

私は、夫のこともこの大戦も止めることができない。

しかし、あの矢があれば...そして、あの王子なら、私の計画が達成できるはず。

だから、私は託した...

あの矢で魔王を()()することを...


そして、その封印を解ける者もまた特別な条件が課せられる。

あなたの封印が解き放たれたそのとき、あなたは理解したはず...

それはいつになるか分からない...

例え何千年...何百万年...永遠に訪れないかもしれない...

そのときには私はまたあなたに巡り会えるか分からない...

しかし...少なくともある【血筋】を受け継ぐ者はあなたとの出逢いが果たせるでしょう。


ああ...大地母神(ブーミ)様よ...

あなたのご加護で...

どうか...羅刹羅闍を目覚めさせてくれたまえ。

あなたが抱いたその愛と思われる感情は...【恋愛】ではなく、【親愛】だという真実を...


本当に無力の私は申し訳ない気持ちしかない。

そう感じたのは夫に対するだけではない。

この大戦で命を失った全ての命...特に私の子供たちよ...

許してくれ...この戦が止められなかった私にもその罪を一生背負背負って、残りの人生を過ごすわ。


ここまで言ってしまうと、あの子にも謝らないとね...

許してください...()()()()...

あなたの本当の母親は...きっと...あなたにはこのような運命を望まない...

こんなことになるとは思わなかった...はず。

しかし、運命はときには逆らえるときもあれば、抗えないときもある。

そして、あなたの意思で運命に抗うと決意するときが必ずやってくると私は信じている。


静かな夜空を見つめながら、女性はホッとしたような安堵の笑顔をした。

これで私の役割が終わる...

今はこの大戦の結末を見届けましょう...


次は...任せたよ、悲劇の妃様と呼ばれたあなたに...()()()()()

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


今回は追憶編になりました。魔王の妃の企み、そしてあの矢についての秘密を少し明かしました。妃様は割と良心の方のキャラクターで、自分なりに夫を止める方法を考えたが、自力ではなく、他人に託すという手段を選ぶことも夫への思いの一つの表現かもしれませんね。


今回のキーワードは「親愛」...それは前の話とはつながりがありますので、ぜひこの言葉を意識して、物語を楽しんでいただければと思います。


ここでもう一つの伏線を(また)置いておきます...(いつ回収するか分かりませんが...笑)


次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

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