不可解な出来事(ある矢)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
ある矢の秘密...さらに深まる真相
場所はバナナのジュース専門店「WUKONG」に戻る。
店内のテーブルに囲まれた4人...
褐色の肌色をしている青年、設楽・羅亜夢
ラームの弟であり、メガネを掛けている白肌の男子大生、設楽・駱
たまたまラクを誘って、一緒にこの店に入っただけなのになぜかここに座ることになった女性、古海・香蓮
そして、誰よりも年下にしか見えない真っ白な肌と髪、そして灰色の瞳をしている自称この店のオーナーの少女、ソン・サトラ
微妙な接点を持つこの4人は今同じ空間にいて、会話が始まろうとしている。
「ではでは...さっきの話から再会しようか...話が全く分からないこの二人にも分かるように、俺は復活したと思われる古の魔王と接触した。間違いなくあの魔王であることを確認した。ということは...俺があのとき、魔王にとどめを刺し損ねたということだ。」とサトラという少女が真剣に説明した。
「し損ねたというのは...どういうこと?」と聞いたのは疑問を持っているラームだった。
「誰にも恐れられた古の魔王...その理由の一つとしてはどんなことをしても死なない...不死身なんだ。でも、よく考えてみりゃ...不死身の秘訣には何か裏が必ずあると思ってな。俺と戦友たちが各地で手がかりを探してみた。その結果、あの魔王は【心臓】を秘密な場所に隠れやがった。その心臓を破壊しない限り...アイツは絶対に死なない。そこで俺はその隠れ場所を突き止めて、さらに旦那...あんたの先祖のラーマ王子の命令に従い、ある【矢】を手に入れた。そして、最終の戦いでは旦那があの矢を弓で放って、見事に魔王の胸に刺さったその同時に俺は手にした魔王の心臓を砕いた。これで魔王が倒される...これで勝利が確定する...と思ったが、滅んだはずの魔王は生きていて...そして、世界の終焉が近づいてきた...ということさ...」とかなり物騒なことを言ってから、サトラは無邪気な表情で自分が注文したバナナのジュースをストローで吸って、美味しそうな顔をした。
「ということは...魔王を倒したことに失敗し、現代に復活した魔王は世界を滅ぼす...ということなのか?」とラームは説明されたことに対して、まだ完全に飲み込めなかったが...なんとか理解しようとした。一方、ポカーンとした顔で二人の会話を聞いたのはラームの弟のラクだった。それに気づいたラームは心配そうな顔でラクに声を掛けた。
「ラク...こういう話は信じがたいと思うけど、」と言いかけたときにラクの様子がおかしくなった。
「あり得ない...このような非化学的な...ということはこの少女は、物語で出てきたあの伝説の猿で、さらに魔王が復活したことも...そもそも心臓がなければ、どうやって体が動ける...人工的に作られた心臓に近い小型ポンプでもあるのか...というか、どうやって何千年でもまだ生きている...そして...そして。」と完全に頭の回転が追いつかないラクは混乱状態に陥った。
一方、なぜか一番蚊帳の外のはずのカレンは冷静だった。内心ではまさかさんさん南アジアオタクの親友、蘭華から聞かされた物語でここに聞かれた話を理解するために役に立つとは...と思いながら。
「あの...さっき聞いた話というのはラーマーヤナのかなりクライマックスのところですよね。ラーマ王子が魔王ラーヴァナを倒した話、ちょっと聞いた話とは違いますけど...ということはあなたはその場にいて、まさに当事者ということなの?」
「お姉ちゃんの方はラク兄ちゃんより理解が早いね...」とラクに向けて少し皮肉ぽく言って、カレンには感心した。
「そうだ...我の名はハヌマーン又の名はヴァーユの子とも呼ばれる。今ではサトラと名乗っているけどな。俺こそが!主のラーマ王子と共にあの魔王を倒した者で間違いない!」とすごく偉そうにドヤ顔をした少女だったが、
「いや...倒せていないから、こんなことになるでは...」と突然の冷静さでツッコミをしたのはラクだった。
それを聞いたサトラは立ち上がり、笑顔のままでテーブルの向こうまで手を伸ばして、少女の腕力だと思えない力でラクの肩を掴んだ。激痛のあまりにラクは悲鳴さえも出せなかった。
「ラク兄ちゃんは...ちょっと黙っていてくれないかな?サトラは今、結構激おこだよ~肩骨を粉砕されたくなければ、俺の話の続きを聞け...」と静かな怒りとしゃれにならない言葉で話したサトラはすぐに笑顔モードに戻って、座り直した。ラクもかなりに痛みを感じたかしばらく黙り込んだ。
「確かに魔王の心臓を破壊すれば、不死身ではなくなる...しかし、こうしてまだ生きているからにはそれより何かの裏があるとしか考えられないんだ。」とサトラは言ってから考え込んだ。
「ちょっといいかしら...サトラちゃん?とちゃんで呼んで良いのかな...サトラさんがさっき話したことがもし本当であれば、物語とは異なって、その魔王はまだ死んでいない理由は...実際の心臓が別にいるまたは複数に分けられたりしたから?あともう一つ...王子様に命令されて、ある矢を入手したと言ったけど、実際はあれでは魔王を殺す目的ではないとか...そう考えられないかな?」とカレンは自分なりに立てた推測を話してみた。どちらかというと、今まで見てきた映画やドラマ、読んできた漫画や小説から考えられる展開を述べただけだったが、それを聞いたサトラとラームたちは驚きの顔をした。
「そうだ...あの矢...確かに何かの文字に刻まれた。最初はただの魔王を必ず仕留める呪文だと思ったが、あの魔王の妃...騙された...」とサトラは悔しそうな顔をした。
「本当にそうなのか...」とここでラームが会話を割ってきた。
「それはどういう意味だ...我が主」とサトラはまだ不機嫌のまま、ラームの方に視線を送った。
「これはもしかすると、ラーマ王子...つまり俺の先祖様の何かしらの計画かもしれない。少なくとも俺はそう思っている。」とラームは自分の考えを述べた。
「俺にも知らされていない旦那の企みがあるということか...俺としたことが...へ!やってくれたな...旦那...俺に隠し事しやがって。で?それは何の企みかどうやって分かると言うの?」とラームをにらみつけているサトラ。
「それは今すぐ分からないけど...その矢について何かもっと分かることができればいいが...」と困った顔をしたラーム。
そこで、手を上げたのはカレンだった。
「あの...実は私の知り合いにラーマーヤナとか南アジアについて詳しい人がいて...よかったら、紹介しましょうか。」
それを聞いた他の3人はびっくりした表情になった。
「それはぜひ!」と言ったのはラーム。
「早く言ってよ~お姉ちゃん」と言ったのはサトラ。
「で?その方とは...」と最後に訪ねたのはラクだった。
「その人は...」と言い出せる前にカレンの背中に突然痛みが走った...
背後に何かが当たったらしい...というより、この感覚は撃たれた...?
自分が遭った状況にも理解できないまま、カレンは突然の睡魔に襲われて、眠りについてしまった。
蘭...華...という親友の名前も告げられないまま...
この最新話の最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回は4人同時の会話でお届けいたしました。やはり突然こんなこと言われても理解二追いつかない理系のラク...意外にも親友の入れ知恵で追いついているカレン...
そして、ある矢に関する秘密に近づけたと思ったら、カレンちゃんの身に何が!?
ここで簡単に主役の蘭華を登場させるにはまだ早いと思って、またこじらせてしまいました...すみません!(反省無し...笑)
巻き込まれたカレンちゃんは...一体どうなるか...心配ですね...(お前がやったんだろうが、作者!笑)
何より、次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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