ぶらり旅(食事編)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
ぶらり旅...食事編、スタート
魔王は語る...食とは何か
うん...何にしようかな...とそう思っているのは小麦色の肌をしている女子大生、椎谷・蘭華だった。
彼女が悩んでいるのは目の前にあるいくつかの料理店の看板だった。
うん...カレーは無難だけど...それは「ハスパモン」(彼女がバイトしているハーブ、スパイス & モンキーの名前から彼女が勝手に作った略称)でいくらでも美味しく食べられるからな...
それとも洋食系?
...うん...この人?には食べられるのかな。
ピザとかなら、手でも食べられるし...無難と言っちゃ無難だな...揚げ物系は?その時代にはまだ存在しない料理かも。
と思って、隣に立っている巨漢を見上げた。
そもそも、昔の食事はどんなものだろう...
どのように食べるだろう...
どんな食材で作られるだろう...
それに関しては全く知らなかったな。
私、勝手に南アジアの料理なら、この人?は少なくとも食べられると思っていた。
それはあまり良くない先入観だ。
でも、せっかく外にいるなら、別の料理を食べてもらいたいな...って!よく考えたら...この人?が最後に食事をとるのって、いつだっけ?
とランカは突然ある事実に気づいた。
前回の外食も...結局、ハスパモンに入る前に店の入り口を破壊してしまって、その後もいろいろ巻き込まれて、食事のところじゃなくなった。
その後の数日間、一緒に部屋にいたときは自分のご飯を作ったけど...この人?と一緒に食べた訳ではなく、私は一人で食べた...あ...一人暮らしが長いせいか聞くことさえも完全に忘れた。
とっくに何も言われていないし...いや、言い訳になるけど...ずっと動かないから、もはや部屋の背景に溶け込んでしまったから、部屋には私しかないと錯覚してしまった。
今日の視線でようやくこの人?が部屋にいると気づいたもん。
どっちにしてもやってしまった...
自分が食われるとか考える前に、まずは相手には空腹なのか確認すべきだったな...
と申し訳ない気持ちでいっぱいになったランカは隣にいる巨漢に尋ねてみた。
「あなた...食す...何?」
すると...巨漢が答えた。
「人間...全部」
その二言でさっきの申し訳ない気持ちが恐怖に変わり、ランカの顔は固まった。
...
愛する我が君、なぜそのような顔をしたのか...怖がらせてしまったのか。
それは無理のないことかもしれない。
其方は余に何を食すのかと聞いた。
余の答えで伝えたいのは、人間も含めて...どのような動物の肉でも植物でも全部が取り組めるということだ。
人間だと言っても、人間を無差別に食うではなく、あくまで【食】の中にある一つの選択肢にしかない。
余も含めて、我々の種族はただ弱肉強食の世界で生き残るために食うか食われるかの日々を繰り返すだけだ。
人間とは違いはないはず。
しかし、いつにして我々の種族が人間を食うということは【禁忌】となり、その行動が批判され始めた。
なぜだ...
余としてはそれが弱い者が自分を守るために作り上げた言い訳にしか聞こえん。
人間も別の動物を狩り、その肉を食す。その一方、別の動物に狩られ、その者の餌食となった。
それは自然の理に従うだけであり、何の間違いはないと余が思っている。
今の人間の考え方は変わったのかどうか分からないが、とりあえず愛する我が君の顔を見たら、人間を食うのは不自然なことになったみたい。
其方にはそのような気持ちをさせたくない。
そして何より...どのような状況下でも余は愛する我が君に害を及ぼすようなことは断じて...ない!
そのため、余は言葉を加えた。
「肉...人間以外...食す...可能...」
...
それを聞いたランカはフリーズ状態から解除された。
ふ...よかった...
その全部というには何でも食べられるという意味だったのね。
危うく人間の全てを食べるとかの展開を想像してしまった...
危ない危ない...と額の汗を拭いたランカだった。
では、本題に戻そう...
何を食べよう...
と思ったランカはスマホを取り出して、何かを検索し始めた。
うん...駅に近くに...何が...
美味しいものが...
あ!
これだ!
最近できたラーメン屋が同じビルに集まった「ラーメンビル」!
ここにしよう。
そう決めたランカは隣にいる巨漢にこう言った。
「ラーメンを食べに行こう!」
そして、2人は再び動き出した。
ぶらり旅...食事編が始まる。
この最新話の最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
またぶらり旅の方に戻りました。というか...同時に2つの物語を進行するって、大変ですね...(今更か!笑)どっちでも書きたいですが、少しずつ両方に謎が明かされるかさらに深まるかという感じで進めたいと思いますので、長目でお待ちいただければ幸いです。(分身が欲しい...)
物騒な言葉に凍ってしまったランカ...食という考えになると、何を食べて良いか内を食べてはダメかはやはり国や文化や宗教によりそれぞれが違うので、勝手に一方的に相手の食文化を否定するというのよろしくないと自分が思います。お互いの文化を尊重することが重要かと思います。もちろん、食材も資源と同様に限りがあります。獲り過ぎるとかフードロスなどもまた別の意味で問題だと思います。(真面目な話になってすみません...)
では、お待ちかねの魔王のラーメンへの初体験?どのような展開になるか乞うご期待!(たぶんしばらく待たせることになったかと...すみません!)
何より、次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
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