不思議な縁(デート?)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
2人が再会し、新たな出逢いが始まる
都内某駅前
ある女性は、誰かを待ち合わせしているようだ。
待ち合わせのスポットとされたある忠犬の銅像の前に彼女が立っている。
スマホに表示されている時間を何回も確認して、少しソワソワしている彼女の名前は古海・香蓮。
彼女は前日に設楽・駱という大学生と初めて出逢ってから、実は彼とまた会うように誘い出した。
そして、前日で会ったばかりにもかかわらず...彼からの返事が堅いものの、オーケーをもらった。
今彼女が待ち合わせの場所で立っている理由はそのためである。
到着するのは早すぎかな...
前と違って、誘い出したのは私だし...遅れるのは失礼だから、待ち合わせ時間の10分前に着いてしまった。
あと...かなり服に力を入れてしまったな...
前回会ったときはどちらかというと、シンプルの方のコーデにしたが、今日はガッツリ気合いを入れちゃった。
そもそもなんで私がオシャレをしているのだろう...とふっと思ったカレンだった。
なぜ彼女がそう思ったのか今回の誘いには別の理由があった。
彼女の親友である蘭華のお願いで現在同居中の巨漢の部屋探しを手伝うカレンは今日連絡を取った不動産屋に寄る予定がある。しかし、彼女だけでは決めきれない要因が一つ残っている。
男性の視点からではどの部屋が良いのかということである。
できれば男性からの意見が聞きたいけど...同僚に聞いても、なんで男性用の部屋を探しているのか聞かれるも探られるもなんだか嫌だし...知られたくない。
相談できる同年代の男性を候補から考えたとき、一人の男性の姿が脳裏に浮かべた。
そして、今に至った。
これは...あくまで部屋探しの相談ということであって、決して...
決して...デートとか...そういうなんか...じゃない...
となぜかカレンの頭の中にはハッキリ断言できなかった。
確かに今回は理由があって、また彼と会うことになったけど、正直に言うと...彼女も内心ではまた会いたい気持ちに押されて、積極的になったとも言える。
興味を持っているというのは嘘じゃない...いい距離感で自分と違う意見が述べそうという点は今回の用事には適切な人選だと思う。
でも...なぜか胸の中に自分でもあまり明確にできない何かを感じている。
まるで...理由があるかないか以前に...この人とは不思議な【縁】を感じた。
自分が言った縁とは別の何か...昔から...古のときから...
と考え込んだとき、カレンの視界に待ち合わせしている人らしき人物を認識した。
前回と変わらず普通の黄色シャツとメガネの格好で登場したのは、待ち合わせの相手のラクだった。
「お待たせいたしました。古海さんは到着が早いですね...社会人には5分前行動というものがあると聞いたことがありますが、それより早く行動することにはどのような利点があるでしょうか?」と挨拶代わりにまた唐突な質問をされたカレンは答えを探すのに少しテンパった。
「あ、ああ...予定時間より一本前の電車に乗れたから、それで予定より早く着いちゃっただけよ...」と言ったが、それは一部の嘘だった。
実際は緊張してしまったカレンが部屋でじっとしてられず、早めに部屋を出たからだった。
少し事実とは違うが、結果的に一本前の電車に乗れたのはまた事実であり、全ては嘘ではない。
彼女からの理由を聞いたラクは表情を変えず、ただその回答を受け取った後に、「そうですか。それなら説明が付きます。最近の電車には遅延などの影響でたまに発生する予定の通りの電車より少し前の電車に乗ることができたという現象は決して珍しくもなく、逆に日本の鉄道の正確な時間が世界中に知られたことで固定概念になってしまったのです。少し予定通りではなくても速度を調整したなどで遅れを取り返すことがまだ可能ですので、結果的に徐々に時間にぴったり着きます...」と淡々と自分の考えを述べたラクに対して、カレンは思わず笑みを見せた。
やはり...変わった人だな...って思ってしまった。
「でも、来てくれてありがとうね...設楽くん。あなたのそういう理系なところでは今日の部屋探しの何か参考になれると思うわ。」と御礼と共に期待という気持ちを込めた言葉で話したカレン。
「ふっと思うのですが、なぜこの忠犬は主人がいなくなっても駅で待ち続けるか...気になりますね。」とそこには忠犬の銅像を見ながら、もう別のことを考え込んだラクを見て、カレンは思わず苦笑を見せた。
やはり...変わったね...
「ねえ...ちょっと最近話題になっている物を紹介しようかと思って、もし迷惑じゃなければだけど...不動産屋に行く前に、一緒に来てくれる?」と今度はカレンが話題を上げて、考え込んだラクの顔を見つめた。
それに気づいたラクは少し自分が頭の中の考えに没頭したことを反省して、ちゃんとカレンを見て、改めて話を聞いた。
「最近話題になっている物ですか...個人的にはあまり流行に敏感じゃない方なので...あまり詳しくありませんが、なぜそれが流行るかという着目点にしては興味があります。」という答えにカレンはまるで回答が予測できたかのように驚かない顔をして、次に言葉を述べた。」
「ここから少し歩くことになるけど、最近話題になっているバナナのジュースの海外専門店の日本進出第一号店がオープンしたらしいの。まずはそこに寄ってから、そこからは不動産屋に行く...それでも良いかしら?」と言ったカレン。
「別に構いませんよ。僕は流行る理由に関しては興味がありますが、恥ずかしながら一人で店に入るのは少し抵抗感があって、周りに結構理解不能な人の言動が耳に入ってくるため、別のことが気になってしまうという経験がありまして...二人で行けば、僕がそうなるときに古海さんはちゃんと注意してくれると助かります。」と返してきた言葉は少しカレンに頼る姿勢を見せたラクの言葉はカレンを少し嬉しい気持ちにさせた。
「そうね...では、よろしくお願いします。行きましょう!」と言って、道を案内し始めたカレン。そして、ただ黙ったままで着いていくラクだった。
これはデートにしてはかなり言い難いが、二人の距離が縮まることについては間違いがない。
しばらく駅から歩いて、大通りの歩道の上に歩いた二人はたわいない会話をしながら、目的地に着いた。
「ここだ...えーと、ウーコン?」と店の英語表記の看板を見て、名前の読み方がピンとこないカレンに対して、ラクは補足の情報を足した。
「これは...西遊記に登場した【孫悟空】の名前の英語表記ですね。なるほど、猿とバナナを結びつけるのはかなり安直な発想だと思ったのですが、実際の猿より伝説上のキャラクターと日本の人が聞き慣れない英語の名前で演出に加えたことでより興味を持たせるやり方ではないかと考えられます。どう思いますか?」と自分の仮説について突然カレンに質問を振った。もちろんその不意打ちにカレンは慌てて、適当に会わせただけの言葉を返した。
「ああ...なるほどね。悟空ってあの竜の玉を集める話のキャラクターしか知らないから、その…西遊記?という物語もお猿さんが登場したんだよね...うん、あなたの考えは合っていると思うわ。とりあえず店に入ろうか」とまずは入店することを勧めたカレン。
「分かりました。入りましょう。」とただ淡々と述べたラクは先に店に入った。カレンは後に付いて、店に入った。
最近の映えスポットを思わせる黄色のパステルカラーに包まれている店内に入ったカレンは少しドキドキしながら、注文の受付カウンターの裏に設置されたメニューの電子看板を見て、目がキラキラした。
「へえ...バナナの自然の甘さを引き立つ厳選の牛乳使用か...シンプルでヘルシー感すごいね...」と一緒に来た人の意見を求めようとして話し始めたが、いつの間にいなくなった。
大きくない店舗を見渡すと、ラクの姿を発見したカレンは彼が立っているところまで歩いたが、どうやら様子がおかしい。
いつも無表情のラクだが、表情が固いままでも動揺している様子が分かるぐらい様子が変だった。
気になったカレンはラクに声を掛けた。
「どうしたの?」という質問にラクはすごく真剣なトーンでこう述べた。
「古海さん、今から僕が話すことを聞いて下さい。この間話した不可解で不思議な出来事が起きる可能性が今極めて高い、それが発生させる条件が揃いました。僕から離れていただけますか。そして、もし可能であれば、僕の様子を観察していただけると...お願いします。」とまた突然なお願いにカレンも困惑した。
「一体...何があったの?」という問い合わせにラクは説明をした。
「そこに座っている男性と女の子が見えますか?」と指をあるテーブル席に座っているお客さんに差した。
「ええ...可愛いお嬢さんね...肌すごく真っ白!あと...一緒にいる男性はかなり褐色だけど...外国の方かしら?」というなんともない答えにラクは真実を告げた。
「その男性...僕の兄です。」
想定外な言葉にカレンは驚愕した。
「...え?」
不思議な縁が導く...彼と彼女たちの出逢い...
そして、これから起きる不可解で不思議な出来事とは…
この最新話の最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回は前回の68話の別の視点の群像劇にしてみました。これで前回の最後につなげることができました。
まさかここでカレンちゃんにも関わらせようと思ったときは、こんなデート?みたいな形にすると思わなかったので、結構面白い展開になるではないかと思います。
これで物語が大きく動き出す!(と思います...笑)
たぶんまた別のキャラの話に変わると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです。
この人たちの出逢いはどのように物語の展開に影響を与えるか改めて乞うご期待!
何より、次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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追伸:
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