羅刹羅闍(生配信:その②)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、旅が始まろうとした。
RASETSUチャンネル...生配信第二弾開始
とあるインターネットカフェ
狭い一人用の個室席の中にはまた一人の男性がパソコンの前に座っている。
この男性のハンドルネームはAxe。
彼はヘッドホンをしながら、片手で即席ラーメンのカップを手に持って、片手は箸を持っている。
パソコンの前にも読まれたか分からない漫画が何冊積んでいるが、彼の今の注目で見ているのはモニターが映し出す映像である。
それは...前にも見た某有名配信プラットフォームの動画...
そして、画面には前と変わらずに鬼の仮面を被っている人が何かを話している様子。
(ここからはその配信の内容をお届けいたします)
「RASETSUチャンネル!再び生配信!今の配信を見ている皆さん!こんばんは!鬼ならぬ...羅・説でございます!今日はあの謎めいた存在...鬼と何か関係性があるではないかというある場所を紹介して、解!説!しちゃいまーす!」と相変わらず元気な声で仮面の人が画面に向けて、手を振っている。
「えーでは、このチャンネルを見ている皆さんのコメントを見る前に...なんと!このチャンネルの登録者数は10人達成しました。ありがとうございます!皆さんのおかげさまです!そのために日々頑張っております!では、今日の生配信を見ている方のコメントを確認しましょう...ふむふむ...今日もいつものメンバーですね...登録者数10人レベルのチャンネルは人気チャンネルに成り上がるまではまさに険しい羅刹の道ですね!まずはメンバーを...どれどれ?」といつもの自虐ネタで流しながら、目の前にあるタブレット端末の画面を確認した。
「今日は...Axeさんはいつもより早いですね!後は...Somchai66さん...鬼ぎりさん...Narayaさん...オーキッドさんはいないですね。忙しいのかな?と!新しい方が一人!えーと...これはなんと読めばいいのかな?...Vibs...ヴィブスさんでいいですか?」と新規参加者の名前を口頭で聞いた。
Vibs:それで構いません。皆さん、始めまして。新参者ですが、どうぞよろしくお願いします。
Axe:歓迎しますよ!Vibsさん!ようこそ!
Somchai66:Welcome to RASETSU CHANNEL
Naraya:また物好きな人間が迷い込んでしまったか...愚かな人間よ、歓迎する。
鬼ぎり:それも俺たちも含まれているけどな草
「では、新規さん一人も入ってきたことで、今日の話題の紹介をしちゃいまーす。」
Axe:いつものドキドキ
鬼ぎり:ガチネタ希望
Vibs:こういうチャット、楽しそうですね...
Naraya:ふっ!どうぜくだらない情報でしょう?
「ハハ...Narayaさんには信用されないですね。でも、今回はいつもと違って、ある場所とそこにまつわる伝承について話したいと思います!」
鬼ぎり:伝承って...
Axe:今回は伝承ですね。
Somchai66:伝承...I don't know this Kanji
Vibs:いつもと違うのですか?
「都内シンジュクのあの有名な傾町のビルの間に、突然緑溢れる神社が現れます。
その神社の名前になんと!【鬼王神社】です!すなわち、鬼の王を祀る不思議な神社になっています。この名前は日本全国では唯一です。そして、語り継がれた伝承もまた興味深い点も満載!」
Vibs:鬼の王?
Axe:それも大胆なネーミングセンスですね。
鬼ぎり:マジで魔王崇拝のところじゃないよな草
Naraya:鬼はよく悪者扱いされただけど、もともと修羅とか羅刹とかは上級の魔物だ。亡くなった人間も祀られるこの国では鬼ぐらい...
「お?Narayaさん、いいことを言いますね。その通りと言いたいところですが、正式に祀られる神様の名は【鬼王権現】です。遡って今のその地域にある村のある百姓が紀州の熊野山のお参りに行ったときに起きた出来事が実際の由来です。彼は道中で体調を崩してしまい、そこで遭った鬼王権現を祀る神社を参拝したら、病気が治して、それで村の神社まで勧請したのです。これ...実は鬼ではなく、正確でいうと、3柱の神様の権現...いわゆる神様のアバターということです。」
Axe:ほ...
鬼ぎり:なんだ...結局鬼じゃないじゃん
Naraya:まあ...弱った人間の戯言かもしれないぞ...途中で誰か遭って、何が起きたか本人しか分からないから...
Axe:本当に鬼と遭って、助けられたということですか?
Naraya:まあ...私に聞かれてもね
「いろんな諸説がありますので、真相は分かりません。しかし、気になるのはかなり鬼のことを邪悪の存在だと思った江戸時代からでもこの名前が使えるということです。実はその神社の宮司の方さえも詳細がハッキリ分からないらしいですよ。ある説ではあの平将門公と関係がある話まで!幼名は鬼王丸だからとか...ともあれ、この地域では鬼の王は【災いを払う存在】として認知されました。」
Axe:それもそれで興味深いですね。
Vibs:本当に鬼と遭ったりして、それもすごいことですね。
Somchai66:Momotaro!
鬼ぎり:いやいや!桃太郎と違うでしょう!w
Naraya:災いを払ってくれる...ね...人間は自分がどうしようもないところで神でも天使でも悪魔でも縋ってしまう...さすがに愚かな生き物だ。
Vibs:それも普通かと思いますが...
Axe:Vibsさん。Narayaさんはそういう設定なので、真に受けないでくださいねw
Naraya:失礼ね!あなたも私の力で消し去ろうか!
「なんかチャット内でヒートアップしていますね...ハハ...議論は問題ありませんが、暴言だけはやめてくださいね。あと、神社の境内には渋々の顔で大きな鉢を支える鬼型の水鉢力様が存在します。これは全く違う話ですが、鬼の王の神社で鬼型の物があるって、面白くないですか?」とある画像を共有した。
鬼ぎり:出た!鬼!
Somchai66:Yaksa!
Axe:でも、これはまたさっきの伝承と関係ないですよね?
「そうです。これは簡単に言うとこの水鉢がなんか呪われたようで、そこで神社に奉納された話です。」
鬼ぎり:なんだ...
Axe:まあ...でも何か関係があるかもしれませんね...あまり可能性が低いですが...
「そうですね。これからも私はもっと羅刹と鬼にまつわる伝承や面白いネタを探しますので、今後ともよろしくお願いします!では、今回の生配信はここまでです。いつものメンバーと新規のVibsさんも話を聞いてくれてありがとうございました。次回!またさらに謎に迫る!魔王!羅刹!鬼!では、RASETSUチャンネルのご視聴いただき、ありがとうございました!アーカイブはまた後でアップします!高評価もよろしくお願いいたします!羅・説でした~また!」と仮面の人が最後に挨拶して、手を振りながら、配信終了の画面に切り替わった。
Vibs:面白い話が聞けて楽しかったです。ありがとうございました!
Somchai66:No Thank you!
鬼ぎり:乙!
Naraya:次回はもっとマシなネタを提供するように!
Axe:お疲れ様でした~
【鬼ぎりがログアウトしました】
【Narayaがログアウトしました】
【Somchai66がログアウトしました】と次にログアウトされたが、Axeはまだログアウトしていないままにメッセージが続いた。
Vibs:Axeさん、ちょっといいですか?
Axe:はい。なんでしょうか?
と返事したものの、Vibsからの返事が来なかった。
そこで、突然彼の携帯が鳴り始めた。
それを取り出して確認すると、携帯の画面には非通知と示されている。
それを警戒しながら、電話を取った。
「もしもし...どちら様でしょうか?」と言ったら、電話の向こう側の相手はこう言った。
「久しぶりだな...Axe...いいえ、斧を持つ者よ...」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
今回は好評?につき、RASETSUチャンネル生配信第2弾になります!888
(詳しくは第43話参照)
今回は紹介されたのはある神社の話です。実在します。しかし、これはフィクションですので、ある程度で少し捻った名前で使ったり、話を参考程度で自分の言葉にしました。検索したら、すぐ出ます。もし機会があれば、ご参拝に行ってはどうですか?(作者は参拝に行きました!)
お察しの通り、ここには...何かがあるということはもう匂わせるレベルじゃないですね...めっちゃプンプンします(笑)
前と同じですが、登場したハンドルネームにも注目してほしいです。もしかしたら、その正体が分かるかもしれません (*`ω´*)ドヤッ
推測できるでしょうか?簡単すぎるかもしれないし、全然分からんの方もいるかもしれません。
そして、気になる言葉が出ましたね...斧...Axe...その人の正体は!(興味深い)
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/




