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魔王降臨(滞在)

古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。


元猿王が聞いた...魔王の降臨(滞在)について

アジアンレストラン「Herb(ハーブ), Spice(スパイス) & Monkey(モンキー)


店の入り口は丸い穴が開けられたままだった。

とりあえず覆った布はのれんではなく、もはやカーテンをめくって入店するみたいな形になっているが、【営業中】を様々な言語で書かれた張り紙が貼ってある。

と言っても...今の時間帯では相変わらずお客さんがいない...

どっちにしてもあまり変わらないので、逆に今の入り口が気になる人が入ってくれると狙ったが、見事に外した。


その店の中にオーナーのスリーヤはただ座って、大きなため息を吐き出した。

は...

まいったな...

修理代も稼がないといけないけど...そんなところじゃなくなっている。


そう...彼が悩んでいるのは自分が経営している店より、遙かにレベルが違うことだった。

それは...()()()()()()()()()()という事実だった。

さらに思わない展開になってしまった。

それは...その魔王は店のバイト看板娘である蘭華(ランカ)()()()()()という事実だった。


店の入り口が破壊された日、しばらく連絡が取れなかった蘭華はついに電話を出た。

取り込み中だから、電話に気づかなかったらしい...

無事で良かったものの...話はまた後日にすると言われた。

そして、彼女は次の日に店に来て、頭を下げられた。

いきなりのことでこっちまで驚いたが、理由について聞いてみると、ある事実が明らかになった。

彼女は今、スリランカで出会った【ラーヴァナ】だと思われる巨漢と一緒にいる。

そして、先日で何が起きたか説明され、再び謝られた。

修理代は自分のバイト代から引いても当然だと言われたが、それは彼女のせいじゃないから、今のところは大丈夫だと話した。

それでも、引き下がらない彼女の顔を見て、やれやれと思った。

基本的には好きなことには目がなく、まっすぐすぎるぐらいの性格だからこそ...

悪いことをしたときは素直に謝るし、何か償わないと気が済まない面もここで何年かバイトしたことからスリーヤは分かった。

それより別の重要なところを聞き逃すところだった。

ラーヴァナ...なぜ彼女はその巨漢のことを(いにしえ)の魔王だと思ったのかなんとなく理由が分かる。

スリランカの出来事の動画...鳳先生が言っていたこと...入り口の穴...

最近自分が見て聞いてきたことを思い返すと、辻褄が妙に合っている。

正直自分もその類いの存在の一つでもある。

彼女はそれについては知らないが...

だから、そのときは深く問い詰めることなく、あっさりその話を受け入れた。

とそこで彼女から別の相談が持ち込まれた。


え?...()()()()()()()()()()()()()()()

あの巨漢の?

なんでだと聞くと...ふむふむ...一応あの巨漢は正しい入国手続きをせずに日本に来たらしく...このままだと万一警察たちに怪しまれたら、心配だと...警察たちのことが心配という意味で...

で?...なんでただのアジアンレストランのオーナーである俺にそんな話を?

理由を聞くと...ふむふむ...外国籍であり、様々な経験をしてきた俺なら、何か方法が分かるかもしれないって?

なるほど...

無理!

俺には()()だ...

さすがに善良な外国籍の市民である俺は違法滞在とか...ましてや偽物の書類を用意するなんてできない。

しかし、入手に関しては()()()()()()()()()...

まずは今日中で用意できないため、手筈が整ったら、また連絡すると言って、彼女を帰らせた。


この案件は...【彼奴(あいつ)】に頼るしかないか...

あまりこういう話で頼りたくないけど...

魔王を囲んだ警察が吹っ飛ばされることを想像すると...

ここは仕方ない...

そして、俺はある人物に電話した。

要件を伝え、必要な準備について聞き出すと、通話を終了した。

これで...

俺も違法滞在を手助けたという片棒をかつぐことになってしまった。

まあ...昔のことを考えると、今更善良な人間を演じるなんて...もはや遅い...


()()()の自分には...


としばらくの間に何日前の出来事の記憶に潜ったスリーヤは店員の声で呼び戻された。

「いらっしゃいマセ~ようこそ、ハーブスパイスアンドスパイスへ~!」

お客さんが来たようだ。

「いらっしゃいませ!好きな席でどうぞ!」と接客モードになったスリーヤ。

店員が入ってくるお客さんを案内するところを見て、スリーヤは突然一つのことを思い出した。


その日って...ラームが店に来たな。

この辺で用事があったから、寄ってきただけだったけど...

考えてみると...

蘭華とラームって、何年かバイトで働いた彼女とこの店で親戚がいる彼が...

ここでは()()()()()()()()()よな...


今回もまたすれ違った。

これもまた偶然なのか...

最近の出来事でこういう話に敏感になりすぎたか...

ただの考えすぎならいいけど...

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


今回はスリーヤさんの語り回でした。台詞が最後のところしかなく、なぜか頭の中の考えで語る形になったのか...書いた人も分かりません(笑)


ここでまず言わせていただくと、この物語の舞台は現代日本だと言っても、現実の現代日本ではありません。ファンタジー要素が入った現代日本に近い世界です。

無論...違法滞在や書類の偽装は法律違反になりますので、絶対真似しないでください。

という注意喚起を書いておかないと、コンプラに何かしら問題があるときには大変なので、残しておきます。


前回の伏線を少し回収しますが、いったい誰がパスポートと身分証明書を用意したか...もちろん!次回で明かされません!いつか明かします(笑)


最後に残した蘭華とラームの話...今後の展開にぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

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