邂逅(ヴァーユの子VS羅刹羅闍)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。
強者が拳を交える...戦う意味を探すため
誰もいない荒野と古びた建物
あのナーガとの試練やら力を試すやらに挑もうとしたら、すでに何者かに倒された。
瞬殺だった...
そこに転がっているのはナーガだった者の抜け殻にしか残らない。
そこで次に余の前に現れたのは...
多少姿が変わっても猿の匂いが決して忘れない。
此奴...
「ミツケタゾ...ラクシャーサノオウサマヨ...」
現在の姿の愛する我が君にしか聞き取れない言葉だったが、ラクシャーサという言葉とあの目つきからすると、どうやら余のことを言っているであろう...
とすぐさまにあのヴァナラが急接近して、余に攻撃を仕掛けてきた。
速い!
目で追って手で掴もうとしたら、その姿が目の前に消えて、次の瞬間...すでに余の背後に入り込んだ...正確言うと、今背後にいると余の戦士の勘で気配を感じた。
後ろに腕で背後にいるはずの姿を振り払おうとしてもまた消えた。
この速さ、一戦二戦しか交えたことはないが、
余とここまで互角に戦えるとは死んだ元の猿王以外にはあのヴァナラしかいない...
さすがあの風神の子...
それなら、もはや全力を出すとしよう!
と先にヴィーナを召喚し、手始めに演奏をしようとしたときにはもう...
余の手にはヴィーナが消えてしまった。
目を追った矢先には、あのヴァナラが余も理解できる言葉で口にした。
「これをお探しですか?王様?」
おのれ...
「ほしいなら、取ってきな...お・う・さ・ま」とニヤけた面を見せた。
猿の分際でよくも愛する我が君の前で余を侮辱するとは!
よい!貴様の挑発に乗った!
今日は猿の肉を噛みちぎらないと気が済まないぞ!
武器なしでも余の拳で貴様を叩き潰す!
怒りを抑えきれない余の咆哮が校庭中に響いた!
食らうがいい!!!
余が全力で殴りつけた一撃を同じ拳で受け止めたヴァナラの拳がぶつかり、大きな衝撃波を起こし、周りに強風を起こした。その結果、愛する我が君まで吹き飛ばされた。
いかん!と余はすぐに飛んで、飛ばされた愛する我が君を保護した。
余のしたことが...先ほどはやり過ぎた...相手も膨大な力の持ち主だから、互角の場合はこうなると想定するはず...
力の加減には気をつけないと、
余には愛する我が君を守らないといけない...それは忘れてはいけない。
少し冷静になった余は愛する我が君にお詫びの言葉を口にした。
「謝罪する...其方...巻き込む...」
と愛する我が君はまだ驚いた表情が消えないまま、こう答えた。
「私...丈夫...許す...心配をかけた...」
ああ...
なんということだ...
この余の失態でも許してくれた広大な海のごとく寛大な心...
まるで女神...
否!まさに女神だ!
其方を二度と失わないようにこの戦いには負けるわけにはいかない。
そして、其方を守ることを最優先する。
すでにこの空っぽの心に誓った...
其方を守り続ける...そして、幸せにするとな!
「そっちのお嬢さんはあなたがやらなくても俺は助けてやるから...」と言ったヴァナラの言葉に対し、余はこう答えた。
「戯け!シーターは余が守る!」
「シーター?王様よ...復活してからもまだ寝ぼけているのか?あの娘は俺の旦那の妃、シーターじゃないぞ...」というある事実を口にしたヴァナラの言葉に余は一つも耳に入らなかった。
「黙れ!この猿め!余の目で確かめた...姿が変わっても偽りなく彼女は余の愛する我が君、シーターだ!」と答えた余の言葉に対して、あのヴァナラは呆れた顔でため息をついた。
「は...愚かな王様...では、教えてやりましょうか?妃の最期に何があったか?」とまだ話が終わらないまま、余の体が先に動いた。
余の拳が空振りした感触...避けやがったな...
「まあ、俺はあんたのシーター様に傷つけるために来たじゃないから、今回はただの挨拶だけなんだ...何千年前にはいろいろ事情があったけど...今とは違うッ」とまた余の攻撃を間一髪で避けた。
「問答無用!貴様の口から事実が語るとは余は信じないぞ!」
「じゃ...なんであんたはまだ生きているのかそれも知りたくないのかい?」という言葉にさすが余の攻撃が止めた。
ヴァーユの子、ハヌマーン...
そう...此奴は余の心臓を潰した張本人だ。
その直後にラーマが放った矢は余の胸に貫き、余は死に迎えた...はずだった。
少なくともそのときは覚悟した。
しかし、なぜ余は死なないのか...此奴に何か分かるかもしれない。
何せよ...今の時代まで生き残ったからな...
とそこで突然何かの音楽が流れた。
その発信源を辿ると、どこから取り出したか分からない小さな鉄の板があのヴァナラが手に持っている。
あの板...初めて愛する我が君が余とあの牢獄で出会ったときに照らした謎の光と同じ形している。
そして、それを耳に当てて、あのヴァナラが話し始めた。
余が聞き取れない言葉で...
「モシモシ...オレダ...イマハトリコミチュウダケド...ッテ...ハ...ハイ!カシコマリマシタ!旦那...」
旦那という言葉しか聞き取れなかったが、その表情から見ると、すごく驚いた顔だった。ヴァナラでもこんな真っ青な顔をすることができるんだと思ってしまう。今は何者かとあの不思議な鉄の板で会話をするだろう...
さしずめ此奴のより上に立つ者...
まさか...【ラーマ】
と会話が終わったヴァナラは余に向かって、次のように話した。
「悪いな...偵察も済んだし、次の用事ができた...また次に会うときに話そうよ...お・う・さ・ま」とニヤけた面を再び見せながら言ってから、登場したときと同様に突然飛んで何処かに消えてしまった。
本当に風のように吹いてきて、去ってしまった...
あのヴァーユの子がまだ生きているというのは...
しかし、人間である我が宿敵は...とそこで余は愛する我が君を見た。
可能性もないというわけでもないか...
良かろう...
次に会うときには必ず吐かせてやる...例え全身砕いても、言葉がまだできるように残すとしよう...
さらに気になるのは倒されて、今そこにくたばったナーガの言葉...
【試練】とは...なんだろう...
でも上等だ!
どんな試練であろうと受けて立って、乗り超えてみせる!
今の余には不可能なんて存在しない!
とりあえず愛する我が君と話をしてみようか...
そして、余は愛する我が君のもとに歩き、彼女と共にその場を去った。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ついに...ヤバい戦いがおっぱじめた!という感じでやろうと思ったのですが、このままだと、周辺が全て破壊されちゃうので、少しだけ拳を交える程度にしました。(と言っても周りの人が衝撃波でぶっ飛ばされますけどね…笑)
羅刹羅闍の愛する我が君への溺愛ぶり...さっき暴れ出したのは誰だと思うぐらいの急展開…
一応羅刹(鬼)なので、気性が荒いとか戦いが好む本性はまだ残した方が深みを感じさせるかと思って、特に猿を相手するには…苦手なものと相手する気持ちです。
そして、ヴァーユの子が放った言葉...
何が真実でしょうか…だんだん謎が深める一方です。
次回にもどうぞお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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