不思議な縁(心の再会)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。
魔王は再会する...愛する我が君と
余は...ついに再会が果たせた。
待ちに待った愛する我が君、シーター
まさか...ここ...
アショクバティカで...
まさか...あの小娘が...
小娘に見せられた絵の中には一つだけ見覚えがある。シーターは全く似ていないが、ただこの絵の中に登場した猿らしく生き物...それはさしずめ猿であろう。そして、場所の庭園から連想できるのはあの無礼なヴァーユの子がランカ島に乗り込んだときだ。それなら、場所は間違いなく、ランカ島の中心にある庭園、アショクバティカだ。
そこで行くことを所望すると「ここに行きたい?ここからかなり距離あるな...ちょっとお金が...」とまた訳分からない言葉で返された。
それに気づいたのか小娘が改めて余にも分かるような言葉にしてくれた。
ふむふむ...距離が遠い...金...ない...という意味で合っているだろう。
それは余にとっては支障ないことだ...
そう、余にはあれを持っている!
小娘にこの建物の一番上に案内してもらって、空を眺めた。
力がまだあるなら、あれも呼べるはず。
そして、余は手を空の方に向けて、念を送った。
余の前に現れたまえ!
プシュパカ・ラタ!
その刹那、余が呼んだものは現れた。
余が所有する黄金に纏う戦車...
それに乗ればすぐに行きたい場所に自動的に連れてくれる。
これで小娘と一緒にあの場所に行ける。
小娘はちょっとビックリした顔をしながら、一緒に戦車に乗った。
さあ...
いざ!出発!
...
しばらくの空の旅でようやくたどり着いた。
しかし、余が記憶した庭園とは少し違った。
植物がいっぱいあるが、知らない植物の木がいっぱいある。
もともとこの庭園の名前の通り、アソッカの木がいっぱい植えているからこそアショクバティカと呼ばれた。
アソッカの木はまだあるが、たくさんまでとは言えなかった。
そして、余も見たことのない木の隣に文字と絵が描いてある看板が各所に立てられている。
この植物の名前を示すものだろう...
それはさておき、余が目指しているのはあの大樹だ...
いつも愛する我が君がその木の下で座っていた。
その風景は永遠に余の心に色あせらずに鮮明に今でも覚えている。
そこなら、もしかすると...
と気づいたら、前に歩いている小娘の様子が変に大人しかった。
何もしゃべらずにただ前を進んでいる。
まるで...行き先が分かるようだ。
そして、目標の大樹にたどり着いた。
その木は余が最後に見た時と同じように...そこだけ年齢が止まったようだ。
と思ったら、小娘が手を伸ばして、あの大樹を触れようとした。
何をしようとしたのか不思議に思う余だったが、
あの木を触った瞬間、小娘の様子が変わった。
服はそのままだが、それ以外にはさっきまでそこにいた小娘とは全く違っていた。
そう...身長が少し縮み、あの後ろにまとめた髪も解き、長い黒髪が風になびかれている。
そして、確信したのは小娘が余に振り返ったときだった。
顔つきも容姿も...さっきより若くなって、
徐々に余の知っている愛する我が君の姿に変わった。
間違いない...
間違いなく、余の目の前に立っているのは愛する我が君本人だ。
余がいつもここ、この庭園に訪れた度に目にしたあの姿だ。
振り返ったその笑顔...とても優しく、美しい...
あ...
ようやく...
ようやく...
其方と再会できる時が来たね...
今度は消えたり、いなくなったりはしないだろうなと不安を感じる一方、
今は愛しさであふれている余の空っぽの心。
しかし、いざと愛する我が君のところまで歩もうとしたとき、彼女が先に言われた。
「あなたはこちら側に来ては駄目です。」
小娘の今までの片言と思えない余が話す言葉は流暢にあの口から出てきたが、
「?」
牢獄で聞こえた愛する我が君の声に違いないが、突然の警告に余は戸惑う...
それはどういう意味なんだ。
そして、彼女は話し続けた。
「これを受け取ってください。」と彼女が手にしたのは何かの欠片を手にしている。
「これで一欠片があなたの元に戻ります。全ての心の欠片が集めると、あなたは自分を取り戻すだろう...もちろん、これは心臓という器の欠片でしかありません。この心臓の破片と共に本当の【心】を取り戻すのです。しかし、果たして取り戻したのはあなたが望んだものなのか...私にも分かりません。」
とその破片が浮いているままに余の胸の中にズッと入り込んだ。
そして、彼女は満面な笑顔を見せて、話の続きをした。
「ここで言えるのは...ありがとう...私への気持ちを大事にしてくれて...何千年経っても私への気持ちが変わらないことも...とてもうれしい...」と言った後、その笑顔が消えた。
「しかし、それでも私とあなたは結ばれることが決してなりません...それは運命だからじゃない...それは...私...た...ち...は...」と声が途切れ途切れになった会話が途中で止まり、いつもの小娘の姿に戻って、眠りに落ちた。
小娘の姿に戻った愛する我が君...いったいどちらが本当の姿だろう...
自分の心を探す...か...
余の空っぽの心はともかく...其方と結ばれないことになっても構わない。
残りの破片を集めれば、今度こそシーターが消えずに現れるかもしれない。
それだけは余の【望み】だ。
そう決めた余はこの小娘...いや、もはや愛する我が君と呼ぼう。
其方と共に行動すると決めた。
だから、「もし...付く...あなた...恨む」とい其方の片言を聞いたときはかなり驚いた。
そんなに余のことを一緒に行動を共にしてほしくないのか?
理由はよく分からないが、余の心はとっくに覚悟を決めた。
だから、後で外を出た後には戦車に乗って、其方を探した。
そして、其方が入ったあの不思議な鉄の巨大の鳥の後を付いて、愛する我が君を追ってきた。
この知らない地まで...
何という国だったか...
ああ、そうだ。
「ニホン」という異国に...
そして、また其方と会ったとき、今の其方が分かるような片言の言葉で...今回は余の気持ちを伝える番だ。
一生ついて行く、決して二度と離さない...と
(これは「一生...付く...離す...否」の本当の伝えたい内容だった)
そして、余の異国の生活の物語もまた開幕した。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ついに...再会を果たして、心の破片を探すために...シーターだと思われる彼女とともにいるために...魔王が来日しました...ここからの展開は日本になりますので、お楽しみください!乞うご期待!
ご興味ある方はぜひ登場した言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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(2022/03/21)挿入絵を追加しました!




