表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/219

羅刹羅闍(ファーストコンタクト)

古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は運命によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。


王が思い知る...知らない文明との初の接触の大変さを

目が覚めた。

余はどれぐらい眠っていたのか分からないが、感覚...五感を通じて、体中に伝わってきた。

風に運ばれた匂い...聞こえてきた音...

とりあえず余はまだ生きているという実感が少しずつ湧いてきた。

...にしても余の覚醒から怒濤の展開が続いていた。

愛する我が君とどこかに面影がある小娘との出会い...

()()()の消滅...

牢獄の脱出からの大蛇(ナーガ)との戦闘...それまでは楽勝だったのだが、

あの小僧...間違いない。

()()のさしがねであろう。

余のしたことが...予感の通りに潰そうとしたが、まさか予想外のことになるとは...

しかし...

【汝が全てを終焉に導くのはまだ早い。今はその時ではない。】

終焉を導く...確かに余は全力を出したら、この世界だって破壊できるかもしれない。

しかし、それはもう昔の話...

()()()()()()との出会いで余の考えは変わった。

だから、何者かのあの言葉には少し引っかかる。


うん...

「ネ...」

うん...

「ネッテバ!」

と気づいたとき、寝起きした余の横に声が聞こえた。


さっきからいた小娘だ...

表情から見て、何か怒っているように見えるが...その怒りは余に向けているのか?

何か言っているけど...やはり意味が分からない。

学問に長けた余でも理解できない言語とはな...


そこで気づいた...

余は、まだこの小娘と()()()()()()()()()()()()ことに!

...

聞きたいことが山ほどあるが、まずは何を言わないといけない...

何かを...

しかし、小娘の顔を見ていざ話そうとしたときに、余は別の物に目が奪われた。

あれは...なんだ?


四角い鉄の箱の中に人間が動いている!?

人形劇なら、見たことがあるが、中に人間が入れる大きさではあるまい。

これはどんな仕掛けなんだと余は起き上がって、あの鉄の箱を触ってみた。

!?

固い感触が手に伝わった。

中に小人が入っているかと思ったら、どうやらこの幕が鏡のように映されたようだ。

小娘が持っていた光が出せる鉄の板も十分驚いたが、また摩訶不思議な物だ。

と...よく周りを見ると、もっと驚く光景が部屋の外から余を待っていた。

窓から外を覗くと、宮殿より高い四角い建造物が数え切れないほど建っている。

この光景...余は見たことがないぞ。

建造物がこんなに高く、さらに並んでいることには...ここが人間の宮殿なのか?

しかし、外装から見ると、装飾もほとんどなく、代わりに人間や物の絵画が飾られている。

やはり文字のようなものが絵画の中に書いてあるが、読めない。

ここは本当に余が知っている()()()なのか?


「ランカ...」と一つ言葉を呟いたが、背後からまた小娘が何かを言った。

「エ...ナンデワタシノナマエヲシッテイルノ」

どうやら...余が今存在している場所は余が知らない別の()()みたいだ。

見たことがない物...

聞いたことがない言葉...

読み取れない文字...

余の目の前にある全てが余の思考を混乱させている。

初めて触れた文明にはいったい余はどうやって順応すればよかっただろう。

意思疎通すらまともにできない余は...と思ったとき、小娘の声が聞こえた。

またか...悪いが、何を言っても余は分からないぞと内心では思ったが、

突然小娘が話した言葉...片言だが、余が知っている言葉だと気づいた!


「私...ランカ...問い...あなた...羅刹の王(ラクシャーサラージャ)...(しか)り?...否?」


「...然り...」


これは余と小娘が初めて交わした...意思疎通として初めて成立した()()であった。

最後までお読みいただきありがとうございました。


古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


初めて違う文化とか文明と接触したときって、どうやって理解するかその大変さを伝えたいと思い、なんとか言葉にしました。何千年前の人がいきなり現代の世界を見たとき、カルチャーショックのところじゃないよなと自分が思いました。パニックになって、頭がおかしくなりそうかと...


ご興味ある方はぜひ登場した言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もしお気に入りやご興味があれば、「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も受け付けます。


毎日更新とはお約束できませんが、更新をできるだけ頻繁に続けますので、お楽しみいただければ何より幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ