蘭華(ランカ:再び)
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は運命によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。
彼女が明かされるその秘密とは...
東京都内 某大学の食堂
時は椎谷・蘭華のスリランカの旅から1週間が経った。
「で?...スリランカから戻ってきて、何の連絡がないから心配したら、急に呼び出されたけど、何がどうなっているの?」と相手にかなり怒りが混じった声で話しはじめた蘭華の親友である、香蓮の声が再び食堂に響いた。前回とは違い、夕方の時間だからかそこまで人がいなかった。逆にそのせいか香蓮の声はもっと響いた気がしなくもない。
「え~と...ごめんね。連絡ができなくて、いろいろバタバタしていたら、香蓮ちゃんにすっかり安否の連絡を忘れて...」と相手の蘭華は申し訳なさそうな顔を見せた。
「こっちは早退までして来たのよ...まあ、少なくともあんたが無事だと分かるだけで良かったわ。」
「香蓮ちゃん...」と心配した親友の言葉に蘭華が感動で目がウルウルになった。
「本当に香蓮ちゃんはいい人だね...なんで彼氏ができないだろっぶ!」と話の途中の蘭華は香蓮からの強烈なデコピンを食らった。
蘭華は「...痛~」とおでこを手で触りながら、香蓮の方を見つめた。
「さっきの一言は余計よ...そのお・仕・置・き...で?結局どうなっているの?あんたの鬼ヶ島、スリランカの旅...」という質問よりは尋問に近い声のトーンだったが、蘭華はかけられた圧から緊張を和らぐためにつばを飲み込んでから、ゆっくり話を進めた。
「あのね...一つ分かったことがあるの...」という突然真剣な声のトーンで話した蘭華に香蓮も真剣に聞いていた。
「それは?」
「実はね...」
「もしかして本当にあの論文テーマに使えるネタを掴んだの!?」と香蓮の表情が一瞬明るくなった。蘭華の回答が聞けるまでは...
「実は...スリランカのカレーって、かなりインドやネパールのカレーと違うんだよ!」
という話のオチに香蓮は思わずテーブルにかけた肘を滑らせて、顔をテーブルにぶつけそうになった。
「スリランカのカレーはね...本土のインド半島とはまた違って面白いの!南インドに近いから、南インド系とは似ている。でも、温かい気候で良く取れたココナッツミルクをベースで作られたカレーも多い。これもタイとか東南アジアにも似ているね。あと、スリランカのカレーはチキンならチキンだけのように1種類の具材を煮込んで作るのが特徴なの。それで、お皿の盛り方もワンプレートにカレーとお米とおかずを一緒に乗せるんだ。あとねあとね...インディアーッパという米粉を練ってそうめんのような形にして蒸したものがあって、お米の代わりの主食になるの。本当に興味深いね...」という蘭華の止まらない説明がここで終わったが、目の前にいる女性はあの説明に対して、納得がいかないというより激怒が溢れているオーラが出ている。肉眼でも認識できるぐらいに...
「決めた...私が鬼になって、悪い子のあんたを懲らしめてやるわ。」という冗談抜きのゴゴゴゴゴゴが聞こえるぐらいのトーンで蘭華の顔を見つめ、鬼の形相になりかけている香蓮だった。それを見た蘭華は次の話題に早くしないと、自分がどうなるか察して、慌てて話を進めた。
「あとね...実は相談があるの...」と蘭華の言葉を聞いた瞬間、香蓮の顔は普通の表情に戻った。
「相談?何を?」と問いかけたが、蘭華の反応から見て、何か戸惑っているに見えた。
少しの間の沈黙が続き、蘭華はやっと話した。
「あの...私の部屋に来てほしいの...香蓮ちゃんに見せたいものがある。」
最後までお読みいただきありがとうございました。
古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
スリランカのカレーはインドのカレーと違うのは知っていたが、未だに食べに行ったことがない。近いうちに行きますか...スリランカ料理屋(笑)
ご興味ある方はぜひ登場した言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
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