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羅刹羅闍(覚醒)

古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍(ラクシャーサラージャ)「ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...もしこの物語は運命によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか。


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷(しいたに)蘭華(ランカ)」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出した。


さあ、羅刹羅闍の覚醒をしっかりとその目で見届けるがいい!

余の前に何が起きた...


あの姿と声でまた愛する我が君と再会できると確信した余の前に現れたのは...()()()だった。

幻なんかじゃない...それは絶対に間違いない。

しかし、実際に別の人間は目の前に立って、こちらに歩いてきた。

この娘が着ている服装...どこの国の物だ?

下半身に纏っている()は太ももまで見えて...このように短いのは初めて見た。

装飾品も見当たらない...庶民の娘か?

健康的に肥えていないが、そこまで痩せていない。

さらになんだ?あの光?

一本の線のように真っすぐ照らす光...なのに熱を全く感じない。

実際には熱くないが、見ると心が少し安心する奇妙な光だ。

あの四角い金属板みたいな物から出るのも不思議だ。

その板から光を出すのは神のなせる業にしか思えない...

まさか!この娘は(かんなぎ)なのか?

どこの神様の使いでこのような業が使えると言うんだ。

あとさっきから気になったが、この娘が話している言葉が全く()()()()()()

余は知らない服装と言葉と神業に近いあの光...

本当に不思議だ...

記憶がまだ曖昧だが、これは体験したことがないだけはハッキリ断言できる。


娘は少しずつ余のところに近づけてきた。

しかし、余が身動きができない以上、抵抗する術はない。

ただ目で追うことしかできない今の余は無力だ。

さっき愛する我が君に誓って気持ちが高ぶったのに、弱くなって動けないこの体は無様にもほどがある。

笑えないな...


この娘を見たところ、余の胸に刺さっている矢に何か気掛かりだが、それは無駄だ...

小娘の其方は抜くことができないだろう...


しかし...よく顔を見ると、

この娘とはまた妙に親近感を感じる。

愛する我が君に比べて年齢は上だが、顔がよく似ておる。

面影があるというか...愛する我が君が最後に顔を見たときの何年後にはこの姿に近いではないかと考えられる。


で...今度は何?

矢を調べたようだが、無理だ。

抜け...な...?

何かを読もうとしているぞ。

で、その矢を触るのか?

まあ...何をしても無駄だ。

抜け...な...?

...?

矢が...消滅した!?

なんだと...どのようなまじないを使った!

待って...なんか体が熱くなってきたぞ...

余の力が...さっきまで衰弱していたこの体は力が体中に湧いてきた。

おおおおおおおおおおおおお!

()()()()()()()()

...

...

...

ふ...ようやく体が言うことを聞いて、立ち上がることができた。


思わずにこの娘をまた見てしまった。

改めて見ると、やはり愛する我が君と似ている。

さっきのまじないもいい、この顔もいい...

この娘...本当に()()だ?


でも、余にとっては害ではないことが確かだ。

とりあえず...愛する我が君とのつながりがあるかもしれない。

まずは何か話さないと...

ダメだ...

言葉を発することが久々すぎたせいか...うまく声が出ない。

どうすればいい

ただこの娘を見つめるだけでは何も伝わらないのは余でも分かる。

と思ったその時、

!?

揺れ?

...何か来るぞ!

不思議のほどに戦士の勘が久しぶりに働いているようで、危機感を知らせてくれた。

()()()()()()()()というにな...


おっと...出たか...

あれ、大蛇(ナーガ)じゃないか。

奴め、余がここから出ることを邪魔しようってんのか?

上等だ。相手してやる!...久々の戦闘で肩慣らしでもするか。

と思ったが、隣にいる娘の動揺が見えて考えを変えた。

今は愛する我が君との再会ができる唯一の手がかりだから、

ここでこの娘を死なせるわけにはいかない。


仕方ない。守ってやる...

ここで戦うと、この娘が巻き込まれてしまう。

まずこの牢獄から脱出するのが最善のようだ。

説明する時間もないから、このまま抱えていくか。

...

このようにまたシーターを抱きしめることができればどれほど幸せなのだろう...

今はそのようなことを考えるところじゃないか...


じゃ、飛ぶぞ...失礼するよ、娘!

...

上の岩盤を通り抜けて、なんとかその牢獄から抜けたようだ。

周りは...森か...

ここはランカ島だろうか...そのようだが、余の知っているとはなんか違っ!?


何かが余の足に絡めて、余を地面に投げ落とされた。

まさか...あのナーガが追ってきたのか。

娘...まだ死んでいないよなと自分が抱えた小さな体を確認するとまだ生きているようだ。

というか、驚いた目で余を見たではないか。

しかし、もっと驚いたのは余自身の体のを見たときだ。

この姿...この色は...まさかこの力が残るとはな。

()()が使える。

と考えたら、すでに敵が目の前にいた。

ここならもっと暴れる...まずはこの娘を置いて、これでっ!?


娘を地上に置いた瞬間、また強い衝撃を受けて、飛ばされた。

この蛇野郎、相手の油断のところを突くとは...なかなかやるな...っ!?

大蛇の牙が余の肉体を深まで噛み砕き、そして余は宙に放り込み、再び地面に何度も叩きつけられた。


ぐあ!?

痛み...久々に感じた...体の痛み

痛えな…ハハ

しかし、この程度の痛みでは余は殺せねえぞ!

あの牢獄で感じた心の痛みとは比べ物にならないぞ!

そして、何度殺られようとも余は死なない。

()()()()には、決して余は殺されることはないんだよ!

と相手を素手で掴み、投げ飛ばした。

これで少し大人しくして去ってくれたらいいが...まだまだ戦いが続きそうだ。


しかし、もう見捨てられたかと思いきや、まだ余のことを見捨ててくれないとは感謝する。

これで戦える...この娘が守れる...

せっかくまた生き残る機会を与えてくれたんだ。

これからは余の戦い...

過去との決別をして、其方との未来のための戦い。

待ってろ、愛する我が君(シーター)...其方のもとに行くから...


崇高なる神よ...

唯一余が崇拝する【破壊神】よ...

余に力を与えてくれ...

この試練を乗り越える力を!


修羅の鎧、召喚!

武装展開!

金剛腕(こんごうわん)散開!


さあ、始めようか...殺戮の時間を!


見せてやる...これは羅刹羅闍(ラクシャーサラージャ)の戦いだ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。


日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


今回の物語は第20話の邂逅とつながって、そのときただ黙っていた羅刹羅闍の頭の中に覗き込む形になります。蘭華の行動に対して何を考えたか20話と読み比べるとより楽しめることができるかと思いますので、ぜひ!

そして、ついに始まるバトルっぽい展開!次回に楽しみにしていただければと思います。


もしお気に入りやご興味があれば、「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も受け付けます。


毎日更新とはお約束できませんが、更新をできるだけ頻繁に続けますので、お楽しみください!

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