白鬼の自白(未②)
白鬼が見た...その先には
古代インドに語り継がれる叙事詩【ラーマーヤナ】、ヴィシュヌ神の化身【ラーマ王子】の愛する【シーター妃】を奪還するために耗発した羅刹羅闍【魔王ラーヴァナ】との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生【椎谷・蘭華】がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
時は蘭華たちがまだ実家の豪邸に向かう途中で、場所は近畿地方にあるホテルに戻る。
そのホテルの最上階で一番広い部屋の中には4人がそれぞれのところに座っている。
そこで、その中の一人、白鬼又は参謀様と呼ばれた白城という男がソファーに座って、彼の前にはスマホを彼に向かって構えている東南アジアの人らしい顔立ちと肌色をしているスリーヤがいる。
どうやらそのスマホで動画を撮っているらしい。
しばらくして、その撮影が終了した。
「これでいいのか?」とスリーヤは白城に訪ねた。
「はい...これで問題ないでしょう。」と白城
とそこで部屋にいるもう一人、白い髪と肌の色をしている孫・悟空が質問を投げた。
「なんで俺のスマホで撮っているのじゃ?別に元猿王さんの方で撮っても大差ないだろうに。ゲームがやりたいのじゃ、バタバタでログインボーナスもまだ受け取っていないのじゃ!」
「お前な...こんな大事な話は俺が持つには荷が重すぎるわ。何があったら、無事に届けられる確率が一番なのは力もない一般人間と変わらない俺より、お前の方だから。」
「だからと言って、後で送っても変わらんじゃろ?」
「...確かに...いや!ちょっと我慢しろ!」とサトラとスリーヤの口論が始まろうとしたとき、白城が優しい笑みを浮かべて、こう言った。
「二人共...ありがとうございます。とりあえずサトラにスマホを返してもいいですよ。そして、ここにいるみんながそれが手に入るようにクラウドにアップロードしておいてください。」
そこで、スリーヤはサトラのスマホを返そうとして、サトラの方向に投げ出した。
サトラは投げ込まれた自分のスマホが落ちないように風で受け取って、自分に運んでもらった。
「乱暴な男じゃな...」
「どうせお前なら何とかキャッチできただろうが...」とまた口論の火種が引火しそうな言い方をしたスリーヤとサトラだが、ここで部屋にいるもう一人の南アジアの人っぽい男性...竜王の一員である陸号は3人に向かって、やっとここで会話に入った。
「あの...なぜここまで未来が見えて、何が起きようか分かったのに...止めようとしないのですか?」とその質問は白城に向かった。
それを聞いた白城は笑みの表情を変えずにこう答えた。
「私が見たものは未来と呼べば、一番簡単に説明がつくのですが、これは決して確定されたものではありません。正直自分が過去...現在...未来...その全てが見られる眼を持っているのはそれが分かって何とかしようとするためではなく、ただの観測に過ぎません。特に未来を無理矢理に変えようとしたら、また別の未来が生まれます。果たして...それがより良き結果になるのか逆に私には分かりません。」とここで白城が立ち上がった。
「私の考えは他の者とは違うかもしれませんが...私にしては結果が分かったからこそ、どうやってその結果にたどり着くときに私たちにとっては有利に運ぶ...つまりその過程をどうするのかは大事です。だから私は翠猿に捕まえられることも...椎谷家に着く前にランカちゃんと逢うことも...慎重に考えた末に自分ができることがやり遂げる...これは最善の道ではないかと思います。果たして本当に最善なのかはやってみないと分かりませんけどね。」とここまで説明された陸号は相手に頭を下げた。
「ここまで考えて来られたには何かの策があると理解しました。自分も何かできる事があれば、遠慮無く言って下さい!」
「あなたには一つの任務を与えます。」
「それは...」
「捕まえられないことです。あなたはラヴァン家と翠猿が結託している今、人質として価値がかなりあります。犠牲になるのは私だけで十分です。」
「そんな...」と陸号が申し訳なさそうな顔をしてから、決心が付いたようだった。
「分かりました。あなたに協力する以上、せめて足手まといにはなりません。あなたの言うことを従います。」
「ありがとうございます。では、あなたの件にはサトラが面倒を見ます。いいかな?」とサトラの方に見た白城。
「仕方ないじゃけん...俺以外頼れるもんがいないじゃ...参謀様の頼みはいつも引き受けるぜ。」となんだか偉そうな態度をしたサトラ。
「あなたにもありがとうございます...」と白城は次にスリーヤに話した。
「価値というもので比べるつもりじゃありませんが、あなたには私の芝居に付き合ってもらいます。」
「まあ...演技は得意とは言えないけど、伊達に長寿しただけじゃないと証明してやるわ。いろんなドラマも映画も観てきたからな...セリフなしのただの表情だけなら問題ないよ。」
「それはとても心強いです。」と白城は部屋にいる他の三人を見て、最後にこう言った。
「では皆さん、よろしく頼みますよ。」
そして、時間は白城たちがランカたちと会う前に早送りした。
まだ車の中にいる4人はサトラの風で飛んでいる。
あまり車が通らない道のおかげか誰にも目撃されないまま、合流地にされた場所まで無事に辿り着いた。
そして、サトラは陸号を先に豪邸に連れて行くようにした。
そして、黒いスーツの人たちがいる場所に移動して、ランカたちが乗っている車に風で乗せたメッセージを送り、突進した車を浮かばせて、無事に着陸させてから、サトラは巨漢のところに向かった。
一方、ランカを無事に送った後の白城とスリーヤが乗っている車の中...
「なあ...ひとつ聞いていいか?」と突然スリーヤが言い出した。
「なんでしょう...」
「あんたはその眼を持って、後悔したことがないか?ほら...誰しも後悔があるじゃないか?俺の後悔はもう分かったと思うが、あんたにはその力がありながら、自分の兄さんが止められなかった。それには後悔していないのか?」
「随分昔の話ですね...そうですね。そのときは後悔はしましたよ。でも、今になって少し分かる気がしてきたのです。この力の正しい使い方は...本音で言うと、運命に抗おうとすることはとても疲れました。それでもこれが私の役割である以上...全うすることも私が選んだ道です。だから...今は後悔はしません。」
「そうか...それなら別にいい。は......お互い長生きすぎたよな...全くよ。」とスリーヤはちょっと長めのため息をした。
「はは...ある意味では贅沢な悩みですね...お客さん来ましたよ。」と白城がここで会話を終わらせた。
そして、翠猿が訪れた。
スリーヤは驚いた表情で何かを言ったが、白城に止められ、そして白城は大人しく翠猿に連れて行かれた。
全ては白城...白鬼が考えた筋書きの通りに物事が運ばれたのであった。
今回の感想↓
前回の続きの前日譚みたいにしました。
結局白鬼は動画で何を語ったかは...まだ言いません!w
出したいけど、なんかパンチのあるやつが足りないなと思って、お預けにしました。すみません!
彼が持つ力は万能のようだけど、本人の性格が違うと、使い道が変わりますね。
チート能力をいいことに使ったら、もっと世界が良くなるのに、悪いことに使うよくあるあるパターン。
こっち自分の信じる正しい道を進む的な感じでまた違いますね。
自白という結構前に出したタイトルもここで2番目に!
彼が思ったことも本音も少し聞けたかと思います。
少し力を持つ者の苦労が理解できればなと思います。
でも、これで計画通りというどこかの漫画の主人公の顔が浮かべますねw
デスなんちゃらのw
さて...一体次には彼のメッセージが聞けるだろうか?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
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改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
また、お陰様で...この作品は30000PVに達成しました!!!
本当にありがとうございます!
この作品を描き始めてあと少しで4年が経ちます。
それでもまだ読んでくれている読者がいる限り、やめるつもりがありません。
(もしかしたら、別の作品を書くこともあるかもしれませんが...並行にしたいです)
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




